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映画「ムーンライト」を観て

8月13日「ムーンライト」という映画を観た。原題は「Moonlight」。2016年のアメリカ映画で、バリー・ジェンキンス監督の作品だ。

キャストは、シャロン役の(「リトル」こども時代)アレックス・ヒバート、(ティーンエイジャー時代)アシュトン・サンダース、(「ブラック」大人時代)トレヴァンテ・ローズファン役のマハーシャラ・アリなどである。

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あらすじは、
名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校では“オカマ”とからかわれ、いじめっ子たちか ら標的にされる日々。その言葉の意味すらわからないシャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だ った。高校生になっても何も変わらない日常の中、ある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初 めてお互いの心に触れることに・・・
と、いうところから始まる内容。

で、観終わっての感想。

黒人社会の中でも、差別やいじめは存在する

黒人の問題は、人種差別を真っ先に思い浮かべてしまう。でもこの映画の中では、その黒人社会の中でも、「差別」や「いじめ」が起きている点に、普通の映画との違いを感じた。それを受けているのは、シャロンという名の主人公である。彼が持つ内気で少し女性的な姿。そこで、ターゲットとなってしまう。どの世界でも、このような「差別」や「いじめ」は存在する。が、当然ながら、それは黒人社会でも同じように存在するということである。

主人公の母親に育てられたら、誰もが普通には生きられない

それにしても、シャロンの母親がひどい。子育てを放棄し、男を連れ込む。さらには、薬物にも手を出す。そんな中、シャロンは家にも帰れない。逃げるようにしているところに、救いの手を差し伸べてくれたのが、ファンとテレサだった。心の優しい2人は、シャロンが訪ねてくることを拒まない。心のよりどころになる。そんなファンに対し、感謝もなく敵意をむき出しにする母親。子ども時代のシャロンの唯一の救いは、この2人に会えたこと。そして唯一ではあるが、友達のケビンがいたことだと思う。

生きるために、変わらねばならなかった主人公

心のよりどころであった、ファンが死ぬ。テレサはそのあともシャロンの心を支え続ける。ティーンエイジャーになったシャロンにも、相変わらず「いじめ」が続いた。そして、ついに堪忍袋の緒が切れる時が来る。友だちのケビンを使い、シャロンを殴らせる。何度も何度も殴られても向ってゆくシャロン。友だちのケビンにそのようなことをさせた相手を許せず、ケガをさせる。そして、少年院送りとなってしまうのだ。

月明かりの中では、青く見えるという話

映画の中の前半で、「月明かりの中では、黒人の肌の色が青く見える。」というようなエピソードが出てくる。その月明かりの中で、ティーンエイジャーのシャロンはケビンと一線を越えてしまう。
その後、大人になった2人が再会する。ケビンは料理人になっていた。シャロンは、麻薬の売人となり、金色のかぶせ歯を上下に装着、風貌も一変していた。ケビンにはその姿が信じられなかった。
ただ、心の中には、昔のシャロンが残っていた。彼は、こうでもしないと、世の中で生きて行けなかったことは、想像の域を脱しない。
シャロンにケビンの肩に、子ども時代のように寄りかかる。

シャロンは、もしかしたら、母親のような愛がほしかったのではないだろうか?でもそれを受けることができなかった。同性のケビンに対する愛は、そんな屈折した幼少期が成したものではないだろうか、と感じるのである。

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