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プロジェクトのビジョンを生み出す合言葉「物件から物語へ」(前編)

vol.39 〜ブルースタジオ語録シリーズ第3回〜

今回は「物件から物語へ」という
ブルースタジオ語録について、
前編・後編の2部構成でご紹介していきたいと思います!


前編

1そもそも、なぜ物語なのか?

まずはこちらをご覧ください。

こちらはブルースタジオでリノベーションした、
鹿児島県は大隅半島にある「日本一海に近い小学校」
旧鹿屋市立菅原小学校です。

今回は、
この菅原小学校のリノベーションをもとに、
「物件から物語へ」という、
ブルスタ語録について解説していきます。

菅原小学校は、
「おおすみの人と自然が先生です。」というコンセプトで、
宿泊施設「ユクサおおすみ海の学校」に生まれ変わりました。

ご覧いただいた映像は、
この菅原小学校がある鹿屋のまちの素晴らしさを、
住民の方に対して、改めてブルースタジオがご紹介したものです。

魚の目に水見えず、人の目に空見えずで、
同じまちに長年暮らしていると、
そのまちの良さは当たり前の日常になって、
なかなかその良さに気づきにくくなりますよね。

実際に、
住民の方がこの映像を見る前は、
「先生?」「教えられることってなんだろう?」
といった声も上がりました。

他の場所にはない、そのまちの魅力に気づくことができるのは、
案外、そこに暮らす人よりも、外から訪れる者なのかもしれません。
動画をご覧いただいた通り、
この場所にしかない、たくさんの魅力が見つかりました。

こうして、
単なる物件としてとらえるだけでは見えてこなかった、
小学校の新しい役割が、
暮らす人やまちの物語を作っていくことで
まちのビジョンと共に浮かび上がってきました。

なぜ物語が必要なのか、
その答えは、
「建物の役割とまちのビジョンを見つけるため」なんですね。


2 物語を作る前の下準備

では早速、
「ブルースタジオの物語の作り方」をご紹介したいのですが、
その前にやっておきたい下準備があります。

 ①まちの魅力・特徴を見つける
 ②そのまちが抱える社会的課題を知る

かなりハードル高そうです…

でも、安心してください。
方法は至ってシンプルな「散歩」です。
アリストテレスも、ルソーも、カントも、
名だたる巨匠が愛してやまない、
あの「散歩」です。

散歩のゆっくりとした速度が、
車や自転車で通り過ぎるよりも、
より解像度高く、その場所の風景を映し出す気がします。
(きっと人間の脳の処理速度に、一番親和性が高いんじゃないかと。主観ですが…)

歩きながら、
商店街の店舗の種類や人の流れ、
住宅街の庭先に飾られている草木、洗濯物、自転車、車…
道路の幅や、公園などの公共施設の立地や規模など、

住む人々がどんな風にそのまちを育てていったのか
じっくり眺めていくことで、
そのまちや場所の構成要素が見えてきます。

例えば、
 ・親子連れが多い
 ・古着屋さんが多い
 ・公園が多い
 ・宿場町の名残りで古い長屋が多い
などなど、

まちの特徴が見えてきたら、
次は「そのまちの抱える社会的な課題」を見つけていきます。
こちらも散歩から見えてくることは多いです。

 ・空き家が多い
 ・自転車の利用者が多いけど駐輪場がない
 ・親子連れが多いけど公園や遊び場が少ない
 ・駅前にお店が無く夜になると真っ暗

こうやって、
散歩でフィールドワークしながら見えてきた、
まちの特徴や課題から仮説を立て、
史実や実態調査で根拠と照らし合わせると、
やがて、まちが進むべきビジョンも徐々に浮かび上がってきます。

そして、そのまちの特徴に、この時代に必要な要素、
例えば、
 ・コロナ禍でリモートワークスペースが必要
 ・洗面台は玄関入ってすぐの場所がいい
 ・高齢者の方を見守れるまちに開かれた間取り
 ・小商ができる家
などの要素を掛け合わせることで、
役割を失った建物に、再び未来を担う新しい役割が生まれていきます。

次回は、
物語を作り上げてくためになくてはならない3つの要素と、
菅原小学校が物語によって、
どのように生まれ変わったのかをご紹介したいと思います。


後半

3 物語に必要な3つの要素

4 生まれ変わった菅原小学校の物語




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