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「デザインやり直し!」が来た時の正しい対策をクライアント目線から考える

最近は減ってはきましたが、かれこれ20年弱デザイナーやクリエイティブに関わる方と仕事をしています。

アートディレクター、プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、テキスタイルデザイナー、エディター、ライター、レイアウトデザイナー、カメラマン、スタイリストなどなど、たくさん面白くて楽しいお仕事をさせてもらいました。

取り組んでいた方たちも気づいたら様々で、デザイン学校に通っている現役学生から、marimekkoで活躍されていた大御所まで、国柄も日本のみならず、フランス、ドイツ、イギリス、フィンランド、スウェーデン、タイなど幅広くお付き合いをしてきました。

そんな多様性に富んだお仕事の中で、新人ーベテラン、日本ー海外問わず確実に共通して言えるデザイナーの反応があります。

それは1stデザインやラフが上がってきた時に私(クライアント)がぶつける

「修正してほしい」「デザインやり直し」

といった内容のリクエストが来た時、1000%涼しい顔をしながらも(人によってはあからさまにムッとする反応もありましたが)

「あ、はい。。(ええぇ~~~・・、どこが!?)」

このようなリアクションを確実に感じます。隠しても分かります。
表情、声色、目線、すべてで感じます。
もし現役のデザイナーでこの記事を読まれている方も実はあるあるでは
ないでしょうか。

ただし、互いのゴールとしてはいいものを作ることは共通なので、修正ややり直しは当たり前のはずです。
とはいっても、人間なんで自信満々にドヤ感で出したものを、修正となると
自分のデザイナーとしての魂を否定されたような気がするのでいい気はしないのは理解しています。しかも納期や他クライアントの案件もありますし。

ただ、これはクライアント側の依頼時のディレクションや互いの共通認識のズレや、デザイナー側の好みやクセも遠からず影響はしているとは思います。
ただ、そこでイラついてもへこんでも仕方ないので、今回はデザイナー側ではなく、私が位置するクライアントとしての立場から正しい「やり直し対策」を考えたいと思います。


まず、クライアントは大きく分けて2パターンに分けられます。

A:担当者にクリエイティブリテラシーが無いのでフワっとした依頼
B:担当者のクリエイティブリテラシーが中途半端に高く、依頼が妙に細かい
これらは、デザイナーなら少し会話をしたらリテラシーの有無は判断できるはずですね。

まず、Aの対策から
<A:担当者にクリエイティブリテラシーが無いのでフワっとした依頼>

このタイプは、主体的に依頼しているのではないので依頼もざっくり(ひどい場合は「とりあえずイイ感じにしてください」など)しています。そして主体的ではないのでバックに必ずクリエイティブ評価を下す責任者がいて、修正は担当者ではなくそのバックにいる責任者が言うがままに修正を依頼してきます。
ゆえに、このタイプはその場で修正ではなく、プレゼンの時は「ふんふん」と聞いていながら持ち帰って数日後「実は・・」といった修正をしてくることがほとんどではないでしょうか。

では、どうすべきだったか。
・依頼を受けた際、デザインを判断するフローと責任者の確認
・依頼時フワっとしていたら、追加MTGを申し込み、責任者に同席してもらい重要な幹(絶対に踏まえておく部分)を直接聞く
・プレゼン時は、3パターン持っていく
 ①依頼内容をある程度触れておきつつ自分が今やりたい好きなデザイン
 ②ヒアリングした幹を確実に抑えたドストライクパターン
 ③中間案デザイン(①と②)

予防策としてはこれでOKです。
特に、責任者の判断基準を、直接面談は無理でも間接的にでも聞いておくことが無駄な工数を削減するポイントです。

そして、プレゼン時。ここもポイントでして。
人間、やはり費用かけて依頼した以上「選びたい」ものなので1つだけだと
もっとパターンを見たいとなりますし、多すぎたらわからないとなります。

ゆえに3つ出します。こうすればどこかに引っかかるはずだし、修正となってもやり直しではなく、前向きアレンジという形になります。

次に、Bの対策を
<B:担当者のクリエイティブリテラシーが中途半端に高く、依頼が妙に細かい>

このタイプは、デザイナーからすると「ただただウザい」と思います。
話を聞けば聞くほどに、「そこまで言うならお前がやれよ」と確実に心の中でつぶやいてしまうパターンです。
この場合、難しいのがデザイン判断を担当者が行うのか、上位者が行っているのかが見えないことです。リテラシーが高いのであれば社内でもその立ち位置のはずなので、上位者はただうなずくだけというパターンもありますが、上位者がさらにリテラシー人間だと担当と上位者でぶつかるというパターンもあるからです。

結論からいうと、この場合は担当者を味方につけるというスタンスをとるほうが良いです。
理由は、担当者が判断をするのならばそれですんなりOKだし、担当者vs上位者という構図になった場合も、担当者と共同戦線を張って上位者を抑えこむクリエイティブの武器をあげれば結果的には抑え込むことができるし、うまくいってもいかなくても担当者の心中には共同戦線を張った同志というラベルがデザイナーにつくので次の仕事も回してくれる可能性が高くなるからです。

ゆえに、このスタンスはメリットしかないのです。

どうすべきだったか、の流れは実はタイプAとあまり変わりません。
加筆する部分としては、担当者と時間をかけてコミュニケーションをして、2点を聞き出してください。
・担当者の大事にしている幹は何か
・何を期待して私に依頼しているのか

1つ目は、言わずもがな。2つ目は、リテラシーが高いということは依頼したデザイナーのことをある程度把握して期待値を持っているからです。
それは、テイスト、世界観、スピード、量、コスパなど様々です。
ここを確実に抑えておかないと、担当者のメンツもつぶれてしまいます。

デザイナーの皆さん、商業デザインの受諾業務である以上はアウトプットと同じくらい前始末が重要だとクライアントとしては感じています。
このような感じで準備してみてはいかがでしょうか。

以上、クライアント目線でのデザイン対策でした。




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