地域開発ハンドブック

地域開発ハンドブックでは、今後100年続く新しい地域に向けて取り組む方々を対象とした地…

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地域開発ハンドブックでは、今後100年続く新しい地域に向けて取り組む方々を対象とした地域を貫くコンセプトのつくりかた、具体的なステップについてお伝えしています。

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    地域開発ハンドブックでは、今後100年続く新しい地域に向けて取り組む方々を対象とした地域を貫くコンセプトのつくりかた、具体的なステップについてお伝えしています。

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まとめ|地域開発ハンドブック

はじめに本マガジンは、都会でキャリアを積んだビジネスパーソンが、地方でビジネスマインドを発揮するための本である。地方に根ざして暮らしたいと考え始めた人々が、各々の地域で2040年に向けて豊かな関係をもつ地域をデザインできるハンドブックを目指している。 都会に住む人々は、根っからの都会っ子と地域から都会に出てきた人たちの二手に分かれる。後者の人々は、地域になじまず少し浮いた存在で、「この場所では居場所がない。でも、ここではないどこかに、自身の活躍できる場所がある」と多かれ少な

    • 地域特化型メディアの開設により、「地域の人と人の関係」を深める

      事業概要広告が掲載されたフリーペーパーではなく、地域社会に有益な情報を届ける、地域特化型メディアの開設 実施上のポイント顔が見える情報に特化(「~地区の~さんが亡くなった」等) 紙からデジタルへのシフト 大活字化や端末配布などによる高齢者対応 市民・行政・事業者・金融をつなぐコミュニティマネジメントシステム のプラットフォームの足掛かりにする 詳細適用地域(人口/ 生産量 等):人口1~2万程度のエリア毎 予算とプロジェクト期間(目安): 立ち上げ/1~2年、運

      • 地域の特性を活かしたスポーツを導入し、全国から競技者が集う地域へ

        事業概要地域におけるスポーツ振興においてメジャーなスポーツの整備ではなく地域の地理特性を活かして「日本全体を探しても、ここだけでできる」スポーツを見つける 実施上のポイント1. 地形や歴史等の背景を分析し、独自性の高い要素を抽出 2. 競技人口が少ないマイナースポーツから探す 3. ヨーロッパの自然や歴史に関連したスポーツを参考にする 詳細適用地域(人口/ 生産量 等): 自然・歴史資源を抱える地域 予算とプロジェクト期間(目安): 2~3年 ※東京マラソンが準備期間

        • 地域のシンボルを活用した駅前の再開発の成功事例を学ぶ(金沢市・金沢駅、女川町・女川駅)

          事業概要駅前開発の際は、町をあらわすたった一つのシンボルに特化し、ランドスケープデザインを実施、開発する 実施上のポイントなんでもある町ではなく、○〇がある町を目指す 駅前は地域内外が行き交う玄関口。駅ビルなどにより、コモディティ化させず、地域のシンボルを印象付ける 市民が集まるアゴラ(議論・広場)を設置し交流を促す イタリアの事例を参考にする 詳細適用地域(人口/ 生産量 等): 全地域 予算とプロジェクト期間(目安): 5〜10年 事例「金沢市・金沢駅」 金

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        まとめ|地域開発ハンドブック

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          PRだけに頼らない、新しい地域マーケティングへの転換(ニセコ・倶知安町)

          お知らせ本投稿より、地域開発において汎用性の高い施策事例を一つずつ丁寧にご紹介します。地域の発展を担う皆様が、一層ご活躍される一助となれば幸いです! 事業概要地域においてPRや広報などにより広く周知し拡散する方法ではなく、マーケティングによってターゲットを絞り見込み顧客/ 市民を獲得した上で、 営業と同じプロセスで市民や顧客を「一本釣り」する 実施上のポイントターゲットを設定し、住民は一本釣りで獲得してくる 主要なKPIを人口ではなく、地価に設定する。人口をKPIにする

          PRだけに頼らない、新しい地域マーケティングへの転換(ニセコ・倶知安町)

          第2章まとめ#3-24

          地域を維持するなめらかな経済の作り方グランドデザイン策定及び産業創出のプロセスにおいて、地域は常に資金不足の状態にあるため、地域外から外貨を獲得し、域内に入ってきた資金の流出を防ぐ仕組みが必要不可欠である。 それは4つある。作る過程を楽しんでもらう「プロセスエコノミー」、つけ払いの「記帳経済」、域内消費の促進の「地域通貨」、社会保障費の削減のための「時間年金」である。 地域における種々の問題地域開発の具体的な手法に入る前に、大きな問題についてあげておきたい。1つ目に、地域資

          ビジネスモデル④基金運用方式によって、人材の長期的育成を図る#3-23

          伝統産業承継基金もう1つの方式として、人材育成に焦点を当てた基金がある。伝統産業などに代表される、衰退期にある産業において、人材育成に対して投資を単独でできずに技術が継承されず、さらに衰退していくというサイクルに入っている産業が多い。ここで、業界団体や地銀等で基金を設立し、業界全体で人材育成を進めてゆくという枠組みである。 この基金によって給付対象者は、自身が研鑽する段階において生活費の補填を受け取り、現役として活躍する段階に入れば収入のうち数十%を返済するという形式である。

          ビジネスモデル④基金運用方式によって、人材の長期的育成を図る#3-23

          ビジネスモデル④基金運用方式によって、産業の長期的継続を図る#3-22

          地域において、超長期の投資を促すものに基金運用方式がある。不動産においてもファンドが出てきたが、今回基金と表現したのは、その目的と回収方法に違いがあるからである。 まず目的についてだが、「基金を運用することで、産業の維持継続を図っていくこと」が挙げられる。ファンドはリターンの大きさを追求する場合が多いが、これから説明する地域開発や伝統産業の継承においては、 大きなリターンよりも続けることの方が難しい。よって、リターンの最大化ではなく、維持継続のための仕組みによって実施する必要

          ビジネスモデル④基金運用方式によって、産業の長期的継続を図る#3-22

          ビジネスモデル③自治体方式型の地域開発は、今まで解決できなかった課題を解決する#3-21

          地域開発という際に、最も一般的な方式は自治体が主導となり予算を獲得し、推進するものであろう。だ が、自治体による地域開発推進には縦割り組織による統合的な開発の難しさ、単年度予算による超長期 の大規模投資の難しさなども存在する。 では、自治体が特に担える役割とは何なのか?それは、民間や教育機関が拠出しづらい領域に対する予算付にある。例えば、近年深刻化している「貧困家庭における子どもの教育不良。それに伴う貧困の連鎖」 の問題に対しては、民間の学習塾や公教育ではフォローがしづらい。

          ビジネスモデル③自治体方式型の地域開発は、今まで解決できなかった課題を解決する#3-21

          ビジネスモデル②不動産方式により、地域における中古物件市場の課題を解決する#3-20

          地域開発における大きな課題の一つに不動産の中古物件の売買や賃貸の市場が存在しないことがある。 これによって過疎地域になるほど、不動産投資が集めづらい状況にある。 そこで登場しているのが、行政主導で実施されている「空き家バンク」の取り組みだ。空き家バンクとは、空き家物件情報を地方公共団体のホームページ上などで提供する仕組みのことを指す。 行政側では、地元の方々から広報誌やホームページなどで空き家情報を広く募集し、移住・交流希望者向けの物件情報を収集して提供している。一方、空き家

          ビジネスモデル②不動産方式により、地域における中古物件市場の課題を解決する#3-20

          ビジネスモデル②不動産方式によって、予算に左右されない長期的かつ統合的な開発を行う#3-19

          地域開発にあたり、コンセプトに応じた長期開発が必要不可欠である。そのため不動産ファンドを設立し、 長期投資が可能な体制を構築した上で開発を進める。土地や不動産、施設利用権等を小口証券化・流動化させ、顧客として販売することで、配当や売買益だけでなく、節税効果も見込まれるスキームのため富裕 層からの資金調達がしやすくなり、単年度の予算の寡多に左右されない長期的で統合的な開発が可能となる。 次回投稿にて、より詳しく地域開発における課題について述べる。 (次回へ続く)

          ビジネスモデル②不動産方式によって、予算に左右されない長期的かつ統合的な開発を行う#3-19

          ビジネスモデル①村民権方式によって地域の第2市民を育み、経済を回す#3-18

          関係人口を増やす施策として、「第2市民制度」がある。これは何かというと、住んでいる人々を第 1 市民としたき、住んではいないものの頻繁にその地域を訪れる人々のことである。 第2市民制度の導入にあたってポイントとなってくるのは、地域との接点・交流のハードルを下げることだ。 例えば、会員限定のバスや電車の優待を付与することで訪問する際の利便性を引き上げること、地域の特産品を定期宅配し地域の商品を手に取りやすくする、定期的に開かれる「村民会議」によって意見交換や投票を行い地域の意思

          ビジネスモデル①村民権方式によって地域の第2市民を育み、経済を回す#3-18

          地域開発における4つのビジネスモデルとは#3-17

          具体的に地域開発を実行する際に組むべきビジネスモデルはどのようなものか、長期的に開発予算が確 保できるものに絞って紹介したい。ここいう、ビジネスモデルとは、地域外から外貨を獲得し地域の資産価値を向上させることを目的とするものである。 本投稿では、以下にて4つのパターン名の紹介に留め、次回以降で丁寧に解説する。それぞれがどのようなものか想像を膨らませておいていただけると幸いである。 (次回へ続く)

          地域開発における4つのビジネスモデルとは#3-17

          五戒その五:人口減少の中、自治機能を成り立たせるためには新しい技術を使え#3-16

          地域開発の為には、AI・ブロックチェーン・ロボットなどの新技術をベースに新しいインフラを作る必要がある。人口減少の中、少人数で自治機能を維持する必要があり、既存のインフラを利用することはコストが割高になりかねない。そのためテクノロジーを活用し、効果的に自治体運営を行っていく。 導入を検討する技術として、スマートハウスや自動運転、ドローンやスマートグリット、ブロックチェーンやクリーンエネルギーなどがある。新技術の導入にあたり、エネルギー領域に焦点を当て、新技術に変更する自治体

          五戒その五:人口減少の中、自治機能を成り立たせるためには新しい技術を使え#3-16

          五戒その四:地域に大きな価値をもたらすロジスティクスとは#3-15

          地域開発において、重要なのはコンテンツよりもロジスティクスである。要するに「地域に訪問する際の時間的/ 金銭的なコストが適正で確実にアクセスできること」が重要なのだ。これは、交通の要所であったことを原点として世界の主要都市が発展してきたことを見ても明らかである。中国では黄河と大運河の結節点に位置する開封が栄え、日本においては江戸時代に五街道を中心に日本は発展した。事例をもとに考えてみよう。 1 つ気をつけることがあるとすれば、どのような人に来てもらうためにどの交通手段を強化

          五戒その四:地域に大きな価値をもたらすロジスティクスとは#3-15

          五戒その三:完成品を与えるのでなく、作るプロセスを開放して巻き込め 〜プロセスエコノミーの時代〜#3-14

          「完成品」ではなく「過程」を見せるプロセスエコノミーとは 地域は継続的につくるものであって終わりがないため、「過程」が重要である。裏側にある人の想いや努力、試行錯誤の過程を開示することで、市民やファンを巻き込みながら開発を進める。プロセスエコノミーの例としてクラウドファンディングが挙げられる。完成品を楽しむだけでなく、創る前の構想段階から創造経過も含めて価値を共有することを重視しているのだ。 プロセスを開示することのメリットは、多くの人が感じ始めていることだと思うが、改め

          五戒その三:完成品を与えるのでなく、作るプロセスを開放して巻き込め 〜プロセスエコノミーの時代〜#3-14