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くにん
2021年6月23日 23:35
突然自分のお尻に生じた強い痛みに驚いて真っすぐに駆けだした駱駝は、背中に理亜を乗せたまま、そして、引き綱に掴まっている王柔と羽磋を引きずったまま、切り立った岩壁の側面に刻まれた小道の縁から空中へと、勢いよく飛び出してました。 ブオオッ。ウオゥツ・・・・・・。ブ・・・・・・? 痛みから逃れたい一心でとにかく前へ進もうとする駱駝の脚は何度も回転をしますが、もはやそれは地面に触れてはおらず、前に進
2021年6月19日 18:52
当然のことながら、隊の前の方を歩いていた男たちも、何者かが崖の上から攻撃を仕掛けて来て、自分たちの後方の隊が大混乱に陥っていることは承知していました。でも、ここは岩壁と崖っぷちに挟まれた細道で、ある程度広くなったり細くなったりはするものの、その最も細い部分の道幅といえば駱駝の横にそれを引く男がようやく立てるほどしかありません。 そこへ、攻撃を受けた場所で壁際に避難した男たちが引き綱を離した駱駝
2021年6月16日 20:55
ここで、物語は少し時間を遡ります。 時の頃は冒頓たちがヤルダンに入る前で、場面はと言えば、切り立った崖の中腹に刻まれた細い小道を、王柔や羽磋を先頭とした交易隊が駱駝を引きながら進んでいるところです。 細い小道の左側には切り立った砂岩の壁があります。小道の右側は崖になっているのですが、薄暗い崖下がどうなっているのかは道の上からは見通せず、道を踏み外して落下でもしたらどこまで落ちていくのかわかり
2021年6月13日 22:24
呪いの青い光が見せる世界は、人が眠った際に見る夢と同じで、それを見ている者にとっては現実と何ら変わりがありませんでした。つまり、自分が見ている世界が過去に経験した出来事であるのかどうかなど、それを見ている者が考えることはないのでした。そこで起きる出来事にただ心を痛め、あるいは、涙を流すだけなのでした。 冒頓も、眩しい白一色の世界から浮かび上がっては目まぐるしく変わっていく場面の一つ一つを、全力
2021年6月10日 19:10
青い光に飲み込まれてしまった冒頓の視界は、太陽を直接見た時のように真っ白になり、何物の姿形も見えなくなってしまいました。「クウゥッ・・・・・・」 鋭い痛みを発する両目を押さえながら苦しげな声を出す冒頓の耳に、母を待つ少女の奇岩の声が聞こえてきました。「お前のせいで、わたしは長い間一人だったのだ。お前も苦しめっ。苦しむんだっ」 それは彼女の心の底から発せられた声で、そこには彼女が長い間経験