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悩む選択 v2-72:上司は従う対象 vs 上司は疑い・刃向かい・意見する対象

今日の悩み:
A.上司は従う対象。経験・知識・スキル・知性がより優れており、ちょっとの威圧感も。組織のことを考え、素直に従う。

B.
上司とは疑い、刃向い、意見する対象。経験・知識・スキル・知性がどうのにかかわらず、組織のことを考え、素直に従わず、意見をぶつける。


以下、小話。

陸軍の将校が部下に命じた:
うちの部下はオレの言うことはなんでも聞く。勇敢で強い兵士だ。統率力に関しては海軍・空軍なんて話にならない。戦車に向かってひるまずほふく前進だ!部下は将校に従い、沈黙してうなずくと、ほふく前進。戦車にひかれてしまった。。。

空軍の将校が部下に命じた:うちの部下はオレの言うことはなんでも聞く。勇敢で強い兵士だ。統率力に関しては陸軍・海軍なんて話にならない。パラシュート無しで飛行機から海に向かって飛び降りるんだ!部下は将校に従い、沈黙してうなずくと、パラシュート無しで飛行機から飛び降りた。海の上であってもたたきつけられてしまった。

海軍の将校が部下に命じた: それなら、こっちはこれだ! 小型哨戒艇をフルスピードであの岸壁に突っ込んでみろ。

「はぁ? アホか! 俺を殺す気か? 船も無駄だ。馬鹿も休み休み言ってくれ。」と、沈黙もなく間髪いれずに大反論。

海軍の将校は笑顔で「海軍の兵士が最も勇敢で強いだろ!」。「これこそが統率につながるんだよ」。

「ビジネス寓話50選(博報堂ブランドデザイン編、アスキー新書)」に記載されていた寓話を脚色。

つまり、上司に反論し、命令に従わないことが、「真の勇敢」だ、ということです。それほど上司に歯向かうことは難しい、という全く笑えない、経営者としては真摯に受け止めるべきメッセージです。沈黙の服従の怖さを揶揄してます。

「真の勇敢」が無いために、組織は大惨事になります。経営の失敗に関する本を読むと、部下はわかっていたのに、上司に伝えられなかったケースが紹介されます。自動車メーカーも、電機/電器メーカーも、金融機関も、食品メーカーも、商社も、電力会社も、飛行機事故や、医療事故の事例も・・・

こんな「言えない」圧力が蔓延すると、人が亡くなることも。。。法律違反や多額の損失のみならず。自動車メーカーや食品メーカー、電力会社、飛行機事故では何人が亡くなったことか。。。

ただし、「真の勇敢」は部下に求めるもの、ではありません。組織として、リーダーが、部下が自然に勇気不要で上司に歯向かえる、意見できる環境をつくらないといけないのです。

「真の勇敢」が不要な環境づくりが、リーダーのリーダーたる役割です。

「若手が率直に発言していたら、回避できたかもしれない悲劇 - の原因を分析する多くの人が、必ずと言っていいほど次のように指摘する。人々はもう少し気骨、すなわち勇気を持つべきだ、と。」(「恐れのない組織」(エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳、英治出版))

これはダメダメです。上司が威圧的や暴力的ではないにしても、経験と知識がよりあるはずで、自信も醸し出して、何かを発言されたとして、且つ、部下への評価と給与を握っていて、誰が反論できるのでしょうか、意見できるのでしょうか。それを気骨を持てと、部下の責任に強いるのはありえないです。責任転嫁です。

組織というものでは、上司なる存在は、普通にしているだけで、部下にしてみたら威圧的に必ずなる、のです。上司とはそう思われてしまう存在なのです。組織とはそういう場所なのです。部下の、率直な、素直な、意見を排除する存在にできているのです。誰が上司になっても、普通にしたらそうなるのです。

「何でも言っていいよ!」と言ったとしても、言えないのが普通と思うべきなのです。「何でも言っていいよ!」とは言うべきなのですが、顔がイライラしていたり、怒り口調で威圧的に言われたら誰も何も意見しませんし、意見の後に反論されたり、評価・査定の時に蒸し返されたり、なんて経験があったら誰も何も言いません。

だから、”極端”に、「何でも言ってイイと思われるスーパー安心」上司、にならないといけない。リーダーがそれを組織内に醸成しないといけない。

愛嬌と、笑顔と、自分は常に正しくないと思える心の強さと、色んな意見を望む、若い部下からの意見を望む、そして受け入れる度量の広さと、それを社内に徹底して求める信念。そして、仮に未熟な、曖昧な意見であったとしても、そこから示唆を得る想像力と思考力と。その意見で人格を評価したり、査定に関与しない。

せっかく、しゃべってくれたのに威圧的に全面批判したり、取るに足らないと無視したり、陰で後から批判したり、評価を低くしたり、そんなことをしたら元の木阿弥。個性を尊重し、関心を持ち、寛容に意見を傾聴し、反映する。

しかしリーダーって大変だ。。。日々、自らを磨いて精進しないと。。。

とにかく、上司とは、疑い、刃向い、意見する対象、なんです。それぐらい極端に社内には伝えるべきです。でないと、組織は沈黙で崩壊しえるのです。なので、ボクはB.派です。

・経験・知識・スキル・知性がどうのにかかわらず
・上下関係にかかわらず
・年齢にかかわらず
・役職にかかわらず
・勤続年数にかかわらず、
上司とは、疑い、刃向い、意見する対象、です。

上司の指示に、沈黙して何でも従う、なんて愚行が無い組織。
勇気を絞り出してやっと意見が言える、なんて責任転嫁をしていない組織。
意見を素直に言える姿勢が当たり前の組織。
自然に社員がそういう姿勢になる組織。
こんな組織をつくる。リーダーの大切な仕事です。

上司はかわいい赤ちゃんと思ってね。やさしく諭し、意見してあげて。ボクの経営スタイルです。。。あ、赤ちゃんだと意見をスルーしちゃうか。

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