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【本106】『処方箋のないクリニック』

著者:仙川環 出版社:小学館文庫

総合病院のすみっこに作られた総合診療内科。青山倫太郎が患者やその家族の話をじっくりと聞きながら、治療しています。そんな倫太郎のモットーは、「誰もが不安になっているこんなご時世だからこそ、よろず相談所が必要なんだよ。」。

検査する→病名をつける→薬を処方する→手術する、だけでは、全てが治療できないのが今の世の中。寿命が伸び、生き方が複雑になり、心配ごとがたくさんあり、守るべきものも多く、ただでさえ、病気になると不安がつきないのに、完治に至るまでのプロセスをネットで検索すれば、それこそ、民間療法から高度医療まで多種多様な選択肢がヒットしてきます。

どうすればいいんだろう。

病院の先生に尋ねたいことはたくさんあっても、いざ病院を訪ねても「3分診察」と言われるほど、一瞬の診察。これでは、患者の不安は募るばかり。倫太郎が言うようにこれからはじっくりと話を聞く医療が必要になってくるのかもしれません。治療の選択から、家族との関わり方、人生の閉じ方まで、じっくりと向き合える医療のあり方。これからの大きな課題だと思いました。


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