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「自己犠牲」よりも「自他活性」

「難しいことを簡単にヤル! っていうのがプロだよな」

昔読んだ本でアントニオ猪木さんがこんなことを話していました。ネイマールのPKを見た際、真っ先に頭を過ぎった一言です。

格下の日本相手に1点も取れずに引き分けでは、サッカー王国のプライドが許さない。ファンやマスコミも納得しないでしょう。ここで外したら何を言われるか。想像しただけで吐き気を催します。

なのにポーンと軽くシュートを放ち、当然のように決めてしまう。2010年・南アフリカW杯のパラグアイ戦における遠藤保仁選手のPKを思い出しました。助走時間を長く取り、ボールを一切見ず、相手GKのかすかな動きから重心の傾きを察し、逆方向へ蹴る。

理屈は理解できます。でも大舞台で実行し、成功させるにはどれほどの練習とメンタリティの鍛錬を要するのか。ほとんどサッカーを見なくなったので、私の中のネイマール像はいまだにFCバルセロナ時代のそれです。でも様々な経験を積み、30歳になった彼はあの頃とは全然違いました。

最も感服したのは、中心選手としての責任感と視野の広さです。「俺が俺が」の発露を抑え、チームのためにどういう選択がベストかを即座に導き出し、周りの戦力を見極めて動かす。なおかつここぞの場面では力強く前へ出て、己もしっかり輝かせる。

個人技で世界最高峰の力を持つ選手がそれに加えて全体への繊細な気配り&目配りもできるようになったら、そりゃ無敵です。南米予選でブラジルが圧倒的な強さを見せたのも納得。「他人を活かすための自己犠牲」とは無縁の「己を殺さず他人も活かす」プレイヤー像は、今後の働き方を見据えるうえで参考になりました。

勝手に「自他活性」という言葉を創りました。どちらかを殺すよりもずっと難しい。だからこそ挑戦のし甲斐がある。実践していきます。

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