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「ドラゴンボール」で気になったふたつの場面

「甘え過ぎ」とは思いません。クリリンもチャオズも生き返ることを想定して死んだわけではないから。

ただ「軽いな」と感じる場面もふたつありました。

ひとつは魔人ブウが暴れ、多くの人が亡くなったとき。悟空が「大丈夫。ドラゴンボールで復活できるから」と話したのです。さらに他の願い事との兼ね合いをどうするかというテーマで(3つまで可能だった)「みんな元に戻してって神龍に頼んだらいいんじゃね?」みたいな提案をしました。

人の命に関するくだりが、メカニックな処理手続きとして語られている。しかも主人公の口から。書店員がバックヤードで「あの本、だいぶ減ったな」「大丈夫。注文できるから」「売れ残ったら全部返せばいいんじゃね?」と話すのと変わりません。

もうひとつはラディッツとの戦い。悟空が彼を後ろから羽交い絞めにし、自分ごとピッコロに攻撃させて死ぬシーンです。クリリンと「死ぬってのはけっこう嫌なものだな」「安心しろ。すぐに生き返らせてやるから」と話していました。

地球を守るために現状の条件下でベストを尽くすという観点に立てば、悟空の行動は我が身を犠牲にした英断でしょう。ファンを悲しませないための配慮も含まれていたはず。ただ蘇ることが前提というのが。。。

一方で、少年マンガとして秀逸な展開だったのも事実です。

それぐらいの捨て身じゃないと倒せないほどサイヤ人が脅威だと読者に伝わる。後から来るベジータとナッパへの幻想と危機感を膨らませることもできる。あの世で悟空に修行させれば急速なパワーアップが可能だし、彼がいなかったからこそ悟飯をピッコロが鍛え、絆を育む感動的なストーリーも生まれました。

一話完結型ではない週刊の長期連載だと、どうしても細かい部分への目配りが難しいのかもしれません。いまの「ドラゴンボール超」がどういう設定なのか気になりました。

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