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「PAPER WALL エキュート品川店」の思い出

2020年初夏。

勤めていた書店を辞め、次の職場を探していました。某感染症の影響で切られたとかではなく、思うところがあって契約満了のタイミングで離れようと決めていたのです。

「まあ大丈夫だろう」と高を括っていました。

甘かったです。

面接を受けても受けても不採用。オンラインのエントリー段階で弾かれることもありました。経験よりも年齢に目を向けられたのでしょう。

ご縁のなかったお店のひとつが、今年の3月末に閉店した「PAPER WALL エキュート品川店」です。

前の職場への反省から「次は自分が通いたいと思える本屋で働こう」と決めていました。ここは駅中の書店には珍しく、ふんわりとしたオシャレな空間で居心地がいい。さらに選書の傾向や店頭の黒板から、書店員の熱いメッセージが伝わってくる。ミシマ社の「ちゃぶ台」をすべて置いていたことも大きかったです。

穏やかな店長が面接をしてくれました。

いい感触ではあったのですが、先方が求めていたのは週20時間に満たないアルバイト。私はフルタイムでがっつり働きたかった。なんとなく「難しいかな」と思いました。

後日、履歴書が送り返されてきました。「このたびはまことに残念ながら」という文書と一緒に。ここまでは普通です。しかし最後に店長の名前と共に「小説執筆、陰ながら応援しております!」という一言が手書きで添えられていました。面接で話したことを覚えていてくれたのです。

心が救われました。「もう書店じゃなくていいや」「小説書くのもやめようか」と考え始めていた矢先だったので、とても励まされました。その後noteと出会い、翌月にいまの職場に採用され、どちらもどうにか続いています。

遅ればせながら、あの時はありがとうございました。閉店してしまって寂しいです。またどこかでお会いできることを願っています。

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