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本とデートする♡

みんな本を読まなくなったとか、本が売れなくなっているとか、嘆きみたいなものを各方面から聞くけれど、はたして本に関わる我々はそもそも空間や空気感を使って本のもつ魅力を最大限にプレゼンしているんだろうか?と、ここオランダはロッテルダムの本屋さんを訪れてみてそう思った。中を歩いて回っているとあれもこれもと本当に目移りするし、何時間でも居たくなる。横に縦に斜めに、本や文房具等、客を飽きさせないようにディスプレイが工夫されていて、どちらかというと本を売っている本の店というより、ここは本を通じて人生の楽しみ方をおしえてくれるアミューズメント・パークに近いかも。

近頃ではあらゆる媒体が生活の中に溢れている。スマホもそのひとつ。スワイプするだけでドキドキが手のひらからむくっと浮き出てくる今、人々はなぜ重い紙の束をわざわざ選ぶだろうか?交通費をかけてまちなかまで出向き、帰りはごそごそと鞄の中に重荷を担いでしてまでも、本を見に行きたくなる、買いに行きたくなる仕掛けをつくらなければ本はそっぽを向けられてしまう。でもそれっていったいどんなだろう?

きっと人は複雑な事を求めていないと思う。

例えば、ここの本屋さんで少しキュンとなったのは「blind date」と名付けられた商品。ブラインド(目隠しの)・デートとは友達同士でお互い引き合わせたいお友達を紹介するために食事をセッティングすること。もちろん恋愛目的のお食事デートだから呼ばれた方は待ち合わせの日までテンションがすごく上がるもの。それにちなんで、中からどんな本が出てくるかわからないように、小包みたいにそっけない紙で本を覆いかぶせる。薄いのやら分厚いのやら、カラフルな糸で結ぶれた恋の小包を手に取る人にドキドキしてもらう。そしてそこには手書きのメッセージも添えられているから、本への恋に手繰り寄せられる。誕生日プレゼントみたい?それともただの福袋?こんなシンプルな売り方だけれどもとても魅せられるし、「デート」って言われると気になってしまうところが本当に上手いよなぁ。この茶色い包みの前を何度も行き来してしまった。それもオランダ語がわからないのに思わず欲しくなる!さらに憎いのが、このデートの山は旅行本コーナーとファンタジー本コーナーの境目にさりげなく設置されている。

明日も本屋でドラマが生まれますように。。

カーペットの色や、むき出しの壁、上ったり下りたりの「遊び」がいい!

このノートは、ここロッテルダムの船の上 Avontuur で書きました。

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