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YouTuber事務所の未来について:目指す形は科学と芸術が融合する場所

こんばんは。お久しぶりすぎる投稿で申し訳なさでいっぱいですので、本日は少し踏み込んだ題材を扱っていきたいと思います。テーマはタイトルのとおりですが、ずばり

YouTuber事務所の未来と今後の在り方について

昨今は猫も杓子もYouTuberデビューですっかり1つの自己発信のスタンダードになってきた一方で、UUUMやVAZなどの大手事務所からのクリエイター(YouTuber含む演者の総称)脱退も起こり、何かと話題が尽きないYouTube業界です。本日はこちらについて現在業界人であるソクラテスがいくつか論点をピックアップした上で徒然なるままに書かせていただきます。

個人的にこの業界で働いていてYouTuber事務所の今後を議論する上でポイントとなるのは以下の3点だと思います。

・YouTuber事務所の活動意義について

・YouTuber事務所が提供する価値について

・YouTuber事務所の最適な運営形態について

先にいつもどおり結論ありきで書かせていただきますが、それぞれのポイントに対するソクラテスの答えは次のようになります。

どんな形であれ、YouTuber事務所の行きつくところはクリエイターファーストの理念です。クリエイターの数だけ異なったニーズがあり、チームの数だけサポート形態はあります。決してそれが1つに集約することはなく、今後も事務所やクリエイターの細分化はどんどん続くと思います。ただその中で事務所に求められている価値は少数クリエイターのニーズに応えられる個別性の高いサービスとクリエイター活動に必要な一般的サービスの2種類に大別されると思っています。あとは事務所の規模やクリエイターの趣向によってこれらを最適化していくことが最大の価値提供となります。

個人的な理想形として、あくまでもクリエイターの想いを中心に置いた上で、事務所としてはしっかりクリエイターの特性を踏まえた最適な活動戦略及び収益化戦略を提唱できるパートナーになれたらと思っています。その中で実務的な部分では、コンテンツ制作やブランド立ち上げなどクリエイターの個性が全面に打ち出されるような活動はクリエイターと事務所が一体となって泥臭くやっていき、代替性の効くサポート業務についてはテクノロジーを駆使して最適化して両者の負担を最低限に抑えるオペレーションを実現してほしいです。

詳細は以下でそれぞれ掘り下げていきます。

YouTuber事務所の活動意義について

YouTube事務所の在り方ですが、個人的には以下の質問が肝になってくると思っています:クリエイターを事業の中心として位置付けるか、数あるメディアのうちの1つとして位置付けるか?

上述させていただきましたが、端的な結論はクリエイター第一にしないとYouTuber事務所としての価値は成立しないと考えてます。逆の発想になりますが、クリエイターファーストではないYouTuber事務所(つまりメディアとしてのYouTuber事務所)になんの価値がありますでしょうか?

これを考えるにあたって参考になるのはテレビ局だと思っています。テレビ局の価値を列挙していきますと、1)テレビというリーチの強いメディアチャンネルの保有、2)番組などの企画力とそれを実現するためのコネクションが挙げられます。

これをYouTuber事務所に当てはめるとどうしょうか。そもそもYouTubeはYouTuber事務所が保有するものではなくGoogleが所有するものである上に一般公開されているので別に使おうと思えば誰でも利用できます。また企画についても大抵の場合、YouTuber自身が書いている場合が多いです。もちろん最近のトレンドでもありますように、YouTuberが有名な放送作家と組むケースがあると思いますが、このケースに関してもあくまでもクリエイターの特性・趣向に合うようなものでないと意味がありません。

YouTuber事務所が提供する価値について

まず何より先に申し上げたいのがYouTuber事務所は大変ということです。クリエイターは1人の人間なので、当然個別性がめちゃくちゃ強いです。また何より大前提として一緒に仕事をする人は”クリエイター”です。ひと昔前であればYouTuber事務所がサポートするクリエイター活動といえばYouTube上の活動のみを指していました。しかし今となってはどうでしょうか。YouTubeそのものも多くのクリエイターが参入してきたことにより、動画1つ1つに求められる企画力・編集技術・伸ばすためのマーケ戦略も日に日に難しくなってきています。また、広義な意味で”インフルエンサー”でもあるYouTuberの活動範囲はYouTubeに留まらず、Instagram, TikTok, SHOWROOM, Twitter, note, など多岐のプラットフォームに渡ります。また当然、YouTuber支援に求められるのはこうしたプラットフォーマー配信だけではなく、グッズ展開やブランド立ち上げ、ひいては音楽活動、なんなら場合によっては法人立ち上げや税務関連の業務なども発生する可能性があり、もはやYouTuber事務所という表現が適切かわかりません。

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(UUUM株式会社決算説明会資料より)

1人をサポートするだけでもこれだけ活動の横展開が考えられます。これが何十人いることを想像してみてください。こうして考えますと、最近は何かとYouTuber脱退などでネガティブに取り上げがちなUUUMのような事務所がいかに凄いことをやっているか分かっていただけると思います。だからこそUUUM規模の事務所はそう簡単に誕生するものではないと思いますし、逆に言えばUUUMのような会社に所属せず小さなチームを作って活動をするというクリエイターさんが現れてもそれはごくごく自然なことだとソクラテス自身は思っております。

いろいろ前置きが長くなってしまいましたが、上記の活動内容を踏まえますと、YouTuber事務所が提供するサービスは大きく2種類に分けられると思っております。

1)クリエイター個人のニーズに見合う業務:とても平たく言ってしまいますと代替性は低いけれどもその個別性・手間暇からスケールが難しい業務のことを指します。

個人的にはこの中でもさらに2分することができ、

1a) ハイバリュー/ハイコスト業務:クリエイターの想像を超えた動画の企画立案、音楽制作など個人では実現困難なサービスや活動機会の提供。手間はかかりますが、それだけ対価は認められる業務となります。

1b) ローバリュー/ハイコスト業務:支援内容は日々の動画編集、撮影準備、企業案件調整を含めたスケジュール管理など。収益上は儲かりませんが、オペレーション上必須となってくる業務を主に指します。

2)一般的なクリエイターサポート業務:こちらも平たく言ってしまいますと代替性は高いけれどもスケールができる業務のことを指します。スケールすれば儲かりますが、単体でやっているとあまり儲からないビジネスです。例えば、複数プラットフォーム間の収益機会提供や経理などのバックオフィス業務を指します。

YouTuber事務所の最適な運営形態について

YouTuber事務所の最適な運営形態ですが、大きくサポートするクリエイターの数と上述した提供価値によって変わってくると思います。なんならどちらかというと事務所としてどういう演者(YouTuber)と組んでどういうところで差別化していきたいかによってサポート体制はおのずと決まってきます。ご参考までにYouTuber事務所としての戦略を考える際のポイントをリストアップさせていただきます

・サポートするYouTuberは何のために事務所に所属するのか?

→お金のためか?楽しむためか?

→YouTuberだけやりたいのか?インフルエンサーになりたいのか?

>横展開する場合はそこの準備はできているのか?

>クリエイターの特性上、エンゲージメントが強いクリエイターなのか?大衆受けするクリエイターなのかニッチなファンに受けるクリエイターなのか?

・どれくらいのクリエイターサポートを想定しているのか?

→大人数か?少人数か?

・事務所としての価値がどこにあるのか?

→付加価値か?費用対効果か?

→クリエイターカスタマイズ業務が強いのか?一般管理支援業務が強いのか?

>クリエイターカスタマイズ業務のどこが強いのか?(コネクション・企画力・編集力・横展開力・データを活用した分析力など)

これらを踏まえた上で最適な事務所戦略を考えてほしいところです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!本記事の反響等もみながら関心が高ければ、話せる範囲で事務所で働いているからこそわかるリアルな話を次回以降させていただければと思います。

最近つくづく思いますのが、こうしてここまで最後読んでくださる読者の皆様とより近い形で交流できる方法はないかなぁということですね。僕自身も関心のある皆様と一緒に自分が経験してきたYouTuber事務所や外資金融で働いてきた経験も興味があればよりざっくばらんに話したり議論したいですし、皆さん1人1人のストーリーを聞いてみたいですね。

興味があればnote上のサークル運営を通した交流会やそれこそYouTubeやラジオなどを通した交流の場もニーズがあれば是非ともやってみたいです!興味のある方いらっしゃいましたら是非ともこの記事でのハートやコメント、あとはまだすぐ何か動かす予定はないですが試しにサークルを作ってみましたので軽い感じで参加していただけますと嬉しいです!参加度合いやニーズを見ながらまたいろいろ考えたいと思います!

引き続き宜しくお願い致します。


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