言語哲学史最大の問題点
20世紀英米言語哲学の初期、具体的にはフレーゲとラッセルから始まる言語哲学に関して、最大の問題点は、この二人が数学の意味論から始めた点にあると思う。彼らは数学の哲学から出発し、論理学的手法を開発し、それを自然言語に適用しようとした。しかしながら、数学と自然言語とは、以下に書くように根本的に異なる。
まず、数学に現れる表現の意味は、公理つまり規則によって完全に定まり、それに尽きる。例えば「2」のような数でも、関数のようなより抽象的な対象でもよいが、その時「対象」と言われるもの