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映画は映画館で見るもの。〜ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書〜

映画は映画館で見るもの。〜ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
※ネタバレを含みますのでお気をつけてください。

地方紙が国と戦うお話。


スティーヴン・スピルバーグが以前監督した「ブリッジ・オブ・スパイ」
この作品を見て、スピルバーグが描くアクションが無いヒューマンドラマをもっと見たい!!と2年間思い続けていました。
昔はスピルバーグといったらアクションだ!SFだ!ヒューマンドラマなんて退屈だ!と思ってたのですが…歳を取るごとに映画の見方も変わり
「スピルバーグの落ち着いた映画…めっちゃカッコいいじゃないの…」
と、なるようになってきたタイミングで「ペンタゴン・ペーパーズ」の公開!

映画を見る時には、事前情報を極力入れないようにしてるんですが
この映画てっきり「最高機密文書」を手に入れたり、その内容を巡って争うものかと思ったんですけど
ベトナム戦争を分析・記録したアメリカ国防総省の最高機密文書(通称「ペンタゴン・ペーパーズ」)の存在を地方紙であったニューヨークタイム紙とワシントン・ポスト紙が内容を暴露したというお話だったんです。
あれ?メインは最高機密文書というよりもワシントン・ポスト社のお話だな、そして報道の自由とは?という内容だな…と思い調べたら
邦題が「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」で、原題は「The Post」
そりゃそうだ!原題の方が映画の内容にぴったりだ!
なんで邦題はこんなタイトルにしてしまったんだ!
原題も映画にする際に「The Papers」に変更する予定もあったらしいのだが「The Post」のままで行くという流れもあったらしい。
それぐらい「The Post」というタイトルの重要性になぜ邦題は気づかなかったんだ…。

邦題の話ばかりしていますけど、内容は史実を元にした、報道の自由を求め政府と敵対したジャーナリスト達と新聞社の命がけの戦いのドラマ。
1971年という約半世紀も前のニュースなんですが、今の世界の報道に繋がる話でもあるので「昔は大変だったんだなぁ」という気持ちではなく「これ、モリカケ問題の報道とかに通ずるところがあるな…」という報道の自由について再度考えさせられます。
他にも主演であるメリル・ストリープは、ワシントン・ポスト社主を努めています。今でこそ男女平等社会を訴え、女性主導も見られる世界ですが
約半世紀前の世界は男性主導がメイン。この時代を生きる女性主導者を描いているのも大変興味深い。
ワシントン・ポスト社主と言っても、最初は夫から受け継いだだけの自信のないただの主婦が物語が進み、少しずつ女性として新聞社としての誇りをもち立ち上がる姿は輝いて見えました。

スピルバーグが「脚本の初稿を読んだとき、映画化まで2年も3年も待てるような作品ではない、つまり、すぐにこれを映画化しなければならないと感じました。」と言っている意味が少しだけ分かる気がします。
今の世界に通ずる話、今だからこそもう一度考えた方がいいんじゃないか?と、そんな風に考えさせられる映画でした。

そして今作、小物がとても魅力的!タイプライターや電話なども小物もいいんですけど…
なんといっても新聞を印刷している輪転機がカッコいい!
ラストのシーンで輪転機がクローズアップされるんですが、輪転機が動いた瞬間に歴史も動いた。と言わんばかりの大迫力。
民主主義のウイニングランを見ているような感覚に陥りました。


この映画から得られる教訓は
ジジイとババアが活躍する姿は心底カッコいい

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映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』公式サイト
http://pentagonpapers-movie.jp

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