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加速主義

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#加速主義

ゲンロン12、無料と自由と公共性と持続性と訂正可能性について

ゲンロン12、無料と自由と公共性と持続性と訂正可能性について

ゲンロン12面白かった。

まず創業者の東浩紀氏の論考「訂正可能性の哲学、あるいは新しい公共性について」と、それに関連して、東氏と政治学者宇野重規氏の対談。かなり興味深く、詳しいことは後述するが、東氏の論考から一節を引用しよう。

アーレントは、ひとがたえず新しく生まれ、新しい思考の可能性とともに参入してくることこそが、公共性の条件だとも語っていた。彼女は、子が生まれ、増えるという単純な事実が、思

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老いの苦しみは機械化で緩和できるか

老いの苦しみは機械化で緩和できるか

この週末は老いの苦しみと死の苦しみについて考えていた。ゴータマ・ブッダの四門出遊とはあまり関係がない。

老いの苦しみへの対応としては、年金と安楽死がある。しかし死の苦しみは、現代の日本ではほぼ無限大と見積もられており、なんとしてでも避けるべきものとなっている。よって現実的には年金で老いの苦しみに対応するほかない。介護などの制度については後述する。

年金とは本来は長生きしてしまった保険であった。

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『闇の自己啓発』読んだぜ

『闇の自己啓発』読んだぜ

衝動買いした『闇の自己啓発』さくっと読了。

本書は木澤佐登志氏が中心となって、江永泉氏のnoteで展開された読書会を、大量の注釈を付してまとめたものである。話題があっちにいったりこっちにったりする座談会では注釈は極めて重要である。

タイトルはもちろんニック・ランドの暗黒啓蒙からとったものである。というわけでトップバッターはニック・ランドの日本への紹介者である木澤佐登志氏の『ダークウェブ・アンダ

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ニック・ランド「暗黒の啓蒙書」読了

ニック・ランド「暗黒の啓蒙書」読了

やっと読んだぞ、新反動主義の啓蒙書「Dark Enlightenment」の邦訳「暗黒の啓蒙書」。

著者のニック・ランドとその系譜については木澤佐登志氏のブログに詳述されている。

衝撃的だったこのエントリーももう2年以上前なのか。時が経つのは早い。

新反動主義とはドゥルーズ=ガタリの脱領土化を極限まで推し進めて再領土化しないことで(右派もしくは無条件的)加速主義ともいわれる。中世の都市国家を

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ついに『クライテリオン』でも新反動主義が取り上げられる

ついに『クライテリオン』でも新反動主義が取り上げられる

保守系の思想誌である『クライテリオン』11月号は安倍晋三批判特集であった。主に保守側からの安倍首相批判で多くは妥当なものであったと思う。ただ多くの安倍批判が虚しいのは、別の人間が首相であっても似たりよったりの情況にしかならず、ことによってはもっと酷いことになるかもしれないということだ。

安倍晋三はただの空虚な器であり、そこにはさまざまな勢力の多様な思惑が入り込む余地がある。そして現実の政治力の強

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左派加速主義の書、ニック・スルニチェック&アレックス・ウィリアムズ『未来を発明する』

左派加速主義の書、ニック・スルニチェック&アレックス・ウィリアムズ『未来を発明する』

ドゥルーズ=ガタリの脱領土化を極端に押し進めるのが新反動主義だが、その一潮流である加速主義の書。加速主義もいろいろあるが本書は左派加速主義とよばれるものである。ながらく邦訳出る出る詐欺が続いている。

まず昨今のOccupy Wall Streetなどの左翼の運動をFolk politics(素朴政治)、個別的、即物的、具体的、局所的であると指摘し、一定の成果はあったもののネオリベラリズムに全く対

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『ニック・ランドと新反動主義』感想

『ニック・ランドと新反動主義』感想

 先日発売された木澤佐登志『ニック・ランドと新反動主義』さっそく読んだ。いま流行りの新反動主義や加速主義、そしてそこで常に参照されるニック・ランドについての紹介だ。これらは今までほとんど日本には紹介されておらず貴重な一冊といえるだろう。

 4章にわかれておりまず第1章はピーター・ティールの紹介である。いわずと知れたペイパルの創業者であり、著書の『ゼロ・トゥ・ワン』は日本でもベストセラーとなった。

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