外部からの人文系大学院試対策について


ついさっき筑波大学大学院博士後期課程に合格しました。

私の専門は日本文学(研究内容については近現代の川柳やその周辺)ですが、ここでは人文系全般の対策について忘れないうちにまとめておきます。

これをまとめる動機としましてはシンプルにネットに院試対策の記事が落ちておらず、自分自身がかなり苦労したからです。

特に外部から人文系大学院の修士博士を目指す方には参考になるのではないかと考えておりますので、院試という名の情報戦に備えて頂ければ幸いです。


人文系の院試では主に6つの要素が鍵になります。「研究計画書」「事前面談」「卒論あるいは修論」「英語」「専門科目」「面接」です。

前者三つは院試前の準備、後者三つは試験において対策せねばならないことです。順に説明していきます。



1.研究計画書について

当たり前ですが大学院に入りたければ研究をせねばなりません。そこで修士課程や博士課程の数年間で主に何をやっていきたいかの簡単な研究概略を大学院側に明示します。この概略を研究計画書と言います。

人文系の研究計画書の書き方はネットに沢山落ちているのでそれらも参考にしていただきたいですが、おおよそ以下の形で構成されるかと思います。

1.その大学院ないし教員を希望する理由

2.やってきた卒論・修論の説明

3.何を研究したいのか

4.3に関連してどういった先行研究や書籍が出ているか

5.研究の方法論

6.その研究の意義や新規性

7.参考文献


みたいな感じで書ければ問題はないかなと思います。分量は制約があると思うのでそれに従ってください。

そして書き終われば自分の今の指導教員に必ず見せて添削してもらってください。これは必須です。

2.事前面談について

事前面談は受け付けている研究室とそうでない研究室があります。が、絶対に事前面談はした方がいいです。大学院は数年以上、師匠と共に研究を進めていくことになります。事前面談をせずに入試に合格して入ると、あれ?思った感じと全然違うみたいな感じになる人ってたくさんいるんすよ。

そしてアカデミアは閉鎖的な環境なので残念ながら教員のハラスメントやネグレクトがかなりの確率で横行しています。そうした研究室ガチャの確率を少しでも改善するため、一通り師事したい研究者のパーソナリティ、できれば研究室の先輩方の話を聞いて事情を探っていくことが望ましいです。

そしてここからは肌感の話なんですが、事前面談を行なっていない研究室はブラック研究室である可能性も考慮した方がいいかなと思います。

また事前面談の段階で入試をそもそも受けることができないと伝えられる場合もあります。これによって不合格確定なのに突撃するという愚行を犯さずに済むので事前面談は本当に大事なんです。実際に自分は近現代川柳の研究をしているのですが、川柳を専門に研究できる研究室はほとんどなかったです。事前面談において10校ほどメールをしましたが、受け入れ可能であると言ってくださったのは第一希望の筑波大学ともう一校だけでした。(そのもう一校は一次審査落ち。)

なので情報を仕入れまくって、事前面談を何校かすることをオススメします。

3.卒論あるいは修論について

卒論や修論は大体の大学院で提出必須になっていると思います。しかし院に入る前の学部や修士の段階で研究論文の出来不出来はそんなに重視されないです。特に人文系は他分野と比較しても分かる通り、修士の段階で論文が全国誌に掲載される人なんてほとんどいません。めちゃくちゃ優秀な人だったら最短でD1とかなんじゃないですかね。多分。なので現段階のレベルはあまり考慮されないと思われます。

しかしどんな駄文であれ書き上げられなければ出願できないので今出来るベストを尽くして書き上げてください。実際、自分は卒論・修論ともに決して満足できるレベルにはなく、これから博士課程に行って頑張りが求められてきます。

人文系院試で提出する論文に関してはとりあえず完璧ではなく完了を目指しましょう。

研究計画書や論文作成に関しては東京工業大学の西田亮介先生のHPから「研究指導の進め方」というところにいけば大まかな学術論文のフォーマットが見れるので参考にしてみてください。


また研究計画書や論文作成で参考になった本も紹介しておきます。

上野千鶴子著/情報生産者になる


石井一成著/ゼロからわかる 大学生のためのレポート・論文の書き方


4.英語について

おそらく英語については二種類の審査が存在します。一つ目はTOEICやTOEFLのスコアを事前に提出する場合、二つ目はその大学院独自の英語の試験が課される場合ですね。大体後者が多いんじゃないですかね。

私はもともとロックやHIPHOP等の聴覚文化研究にも興味もあり、その研究ができそうな大学院はTOEICのスコアを提出する義務がありました。
なので3週間ほど対策してTOEIC650前後のカスみたいな実力をつけていた経緯があります。しかし、途中で切り替えて受けた筑波は独自の英語試験があったのであんまり意味なかったですね。(TOEICと英語論文を読解する試験は性質上だいぶ違う。TOEICは情報処理試験に近く大学院独自の英語試験は読解能力を試すパズル問題に近い。)

TOEIC対策も大学院独自の英語試験も対策したので、それぞれ勉強法を紹介します。が、しかしTOEICに関しては完全に実力棚上げで語ります。私よりスコア高い人無限にいるので彼等彼女等を参考にしてください。あくまで急ぎで650ぐらい取りたい人向けですね。

まずTOEIC対策ですが、単語帳と公式問題集を二、三冊シバけば600点までは何とかなります。
単語帳は高校で使っていた大学受験の標準的な単語帳+金フレを使ってました。
とりあえず公式問題集を解く前に金フレを10周ぐらい高速で回してください。
単語の覚え方はAtsueigoさんの動画の通りに遂行しました。Atsueigoさんは神さま仏様。

TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)


そしてTOEICの主催者側が出している公式問題集を最新版から遡って二、三冊潰してください。

やり方としては一回問題を時間を測って解く→丸つけ→リスニングで落とした問題のスクリプトを全てシャドーイング→パート6.7の問題で落とした長文を何十回も音読する→もう一回通しで問題解く

みたいな感じでしょうか。

シャドーイングのやり方はこれまたAtsueigoさんの動画を参考にしてやっていましたね。


公式TOEIC Listening & Reading 問題集 10


あと追加でパート5の文法問題対策もしていました。以下の文法問題集を使っていましたね。難易度的にもこれぐらいが完璧に解けていたらパート5はほぼミスらないと言われています。なお自分はミスしまくりましたが。

TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問


正直言って人文系大学院を目指すならスコア800ぐらいは取った方がいいと思います。といっても毎月試験あるのでそんなに高くない壁なのではないかなとも思います。自分もちょくちょく挑戦していきます。一緒にTOEIC頑張ろう。

次に大学院独自の英語試験に関してです。自分はTOEICよりもこちらの方がやりがいがあって好きでした。自分が受けたのはこっちの試験ですね。

自分の対策法はかなり遠回りになりそうな気もするんで、他の人の対策法も参考にしていただきたいですね。

↓この方の英語の勉強法ならびに参考書はかなり参考になるかなと思いやす。

それで自分がやったこととしましてはCINIIなどの論文サイトで近世から近現代日本文学の英語論文を10本ぐらいコピーして全て読み込んでいきました。
やり方は時間測ってA4一枚分を30分で読破していきます。その間、辞書は引かずにひたすら多読です。わからなかった単語は印をつけておいて後で辞書で理解しました。自分が推測した単語の意味と実際の意味が乖離していたらなぜ乖離していたのかを考えながら読んでました。

ただ注意が必要なのは英文法やら英単語やらの基礎知識が無い状態で読んでも意味が分からないと思うので、ある程度そこらへんの知識はある前提でやった方がいいと思います。


5.専門科目について

次に専門科目についてです。専門科目は二つのステップで対策しました。
まずは過去問の分析です。過去三〜五年分ぐらいはHPにあったり大学院側に問い合わせれば入手できます。大学院によっては閲覧のみでメモのみしかできないところもあったりしますが、そういった場合は要所要所の大事なところだけ抜き書きしていきましょう。

そして過去問を入手したら次にやることは10冊ほどの読書リストの作成です。過去問にある知識がどの教科書から出ているのかを考え、それらの教科書の内容を完璧に理解します。

自分は教科書選定に間違いがないようにするため、学部のときの師匠に過去問の内容を伝えて読書リストを作成していただきました。おかげで専門はほぼ書けたと思います。まあ、専門に興味があって大学院を志望する人がほとんどでしょうから、あまり大きな失敗はしないと思うので気楽に対策すれば良いと思います。


6.面接について

さあ、いよいよ最後の面接についてです。面接は主に卒論あるいは修論の内容、そして研究計画書の内容の二つにかなり突っ込まれます。
自分の場合を言うとかなりフルボッコにやられました。特に自分が書いてきた卒論や修論には予想される質問を何十項目も考えておくと良いかなと思います。例えば研究計画書に書かれている内容の先行研究を、ある程度読んでいてかつ自分なりに要約して説明できるかなどですね。

そして絶対に答えられなければまずい質問は

1.卒論・修論の内容

2.大学院に入ってやりたい研究

の二点に尽きます。この二点を中心に深掘りして面接対策をしましょう。

しかし大学院は筆記試験で大体合否が決まっているという話も聞くので、外れ値にならないように対策する程度でもいいのかなと思います。


まとめ

参考になったかどうか分かりませんが、自分はこんな感じで対策していきました。

院試はあくまでスタートラインなので、さっさと受かって研究しまくっていきましょう。
この記事を見た全ての院試受験生が良い人生を過ごせますように。

まとめ長く書こうと思ったのですが、ウイイレしたくなったのでこの辺で。

最後に試験勉強が辛くなった際に聴くべき音楽をあげておしまいにします。



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