生卵の白身が苦手なので、白身の半分ぐらいは味噌汁に入れて食べています。黄身をのせたらみりんを少量、味付けは醤油。よくかき混ぜたら、トッピングに天かすをどばーっと。 コクが出て、おいしい卵かけご飯になりますよ。
晩秋よ銀座の鐘が告ぐ別れ何をか思わんうつむく君よ
吾は無力モノクロームになりゆく君をとどめる手立て我になし
薔薇のとげ親指だけで抜き取って恩讐の果てに父に捧げん
夜の浜辺連打の打ち明け花火見る歓声吾を見る君神秘
屠所《としょ》の羊連絡なんて来ないって笑って自戒す我の目の色
冷ややかに切られし縁に手を伸ばす我は抜け殻いのち繋がん
吾の想い消せる日を問う蝉時雨惑わず生命焼き尽くすかな
あなたなんてあなたなんてと言いながら襟首引っ張る突き放す
口噤み動かぬ君を恋う我を泣いて許さん愚かなりとも
我は恋う便りなき君悲しみを大海原に投げるが如く
第三話 明宏は母と兄と姉達と、田んぼの 畔に腰を下ろし、握り飯と沢庵だけの昼飯を、大きな口で平らげる。 日頃から忙ししないだの、落ち着きがないだの、明宏は家族から小言を食らっている。 一族が食後の休息を取る中で、先に御神山の麓にある自分の田畑に戻って来た。 動いていないと、尻の辺りがムズムズしてくる質なのだ。 すると、苗を植えたばかりの田畑を見下ろすように、すらりとした少年が立っている。 袖のない単衣の着物に、膝丈の半袴。 遠目に見れば、百姓の小せがれの
第二話 すわ、熊か。 深作は身をひるがえして、腰の刀に手をかける。 だが、立ち並ぶ杉の幹の間から、うっそうと茂る熊笹《くまざさ》や、野草を踏みしだきながら現れたのは少年だ。 両袖を外した単衣の着物は、だらしなく肌け、肩口から出た長い腕は、擦り傷だらけになっている。 右手には弓を持ち、弓筒を背中に斜めに背負っていた。 深作は、総髪を高々と括《くく》った少年の、黄色の組み紐に目がいった。 あの色艶は絹だろう。 粗末な身なりにそぐわない、高価な絹の組み紐で、
第一話 「僕、今度、五十崎将衛を書いてみたいと思ってるんです」 縄暖簾でも掛かっていそうな、渋い店構えのカウンター席。 佐紀雄太は、隣の男性に持ちかけた。 「五十崎将衛ですか?」 案の定、早乙女は、渋面を浮かべて押し黙る。 ライトノベル作家の佐紀の、新しい担当編集者だ。メールや電話で、引き継ぎは済んでいる。 十代後半で単行本デビューした佐紀のキャリアは十年近い。 数冊連作しているヒット作もあり、新作も定期的に出している。 売れ行きはといえば、可も
キャッチコピー 俺はもう、考えるのをやめる。 この道が途絶えているのか、どこかへ繋がるのかはわからない。 間違いなのか正しいのかもわからない。 間違いだったと気づいたとしても、それはその時の話でいい。 二十六歳の五十崎将衛は隣国の覇者、今野正考率いる総勢三万の大軍勢を、三千にも満たない兵力で迎え撃つ。 覚悟を固める。 撃って出た。 #週刊少年マガジン原作大賞 #連載部門 サドンデス -Sudden Death- | 記事編集 | note
最終話 日本文化の継承 コロナ禍前は連休の度に、建物の中庭の、能舞台に似せた石舞台で、舞妓さんの芸を鑑賞するなど、催しものがありました。 来訪されたお客様も、ここぞとばかりに着物の意匠に凝っている。 着物と帯の斬新な色合わせや小物使い、和洋折衷の装いなど、拝見するだけで着物好きには堪りません。 コロナ禍と呼ばれるようになって以来、そういった催事は一切取りやめ。 もう何年も芸者さんを見ていません。 日本の古き良き伝統は、こういった遊びによって継承されます