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ドキュメンタリー「香港革命2019」に香港の力と歴史をみました。

胸が締め付けられるような思いでドキュメンタリー「香港革命2019」を観ました。

香港の特徴

香港はその成り立ちからしてとても独自です。清朝時代に中国からイギリスに割譲され、その後はイギリスによって世界との交易のために開かれた場所であり、中国の一部、それもごく小さなエリアでありながら長きにわたり自由が許された場所でした。

中国の一部でありながら、イギリスの統治により自由と民主主義のもと人々が生きるこの状態が一国二制度の下地と言えます。

「一国二制度」の期限が切れる前に始まった中国本土による取り込み

1997年7月1日、香港は中国に返還され「特別行政区」となります。この時点から50年は「一国二制度」が確約され、独自の法制度を持つことや、表現の自由などの権利も保障されていました。ですが中国本土は「一国二制度」の期限が切れる前に香港を本土に取り込もうとし始めます。香港市民たちの運動はこれに抗ってのものなのです。

失敗に終わった2014年の雨傘運動から得たもの

「雨傘運動」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

若者を中心とした2014年のこの運動ではデモが数週間にわたって続き、香港人が自分たちで行政長官を決める権利を求めました。しかし中国政府からの譲歩はなく、活動に携わった多くの市民や文化人が逮捕されもしました。雨傘運動はそれ自体を見れば失敗に終わってしまったのです。

それでも香港市民は2019年に蜂起した

2019年、香港の犯罪者を中国本土に引き渡す法案「逃亡犯条例」が提出されたことで、香港の人々は再び蜂起しました。

*2019年のデモの様子

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中国への引き渡し反対を叫び、約200万人がデモ行進に参加。香港で史上最大規模のデモでした。さらにネットを駆使し自分達でアプリを作るなどして、活動は続きました。

*香港を回転させると加油(頑張れの意味)になるTシャツのロゴ

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結果だけを見れば失敗に終わった雨傘運動でしたが、この運動により香港の人々は自分達は抗議ができるということを、抗議の方法を学び、それが2019年の運動に繋がったのです。

2019年に至るまでの中国本土による介入はそれまでの自治と民主主義が許されていた香港にとってはこれ以上ない変化でした。

それ故この運動は若者だけでなく、シニア世代のデモや、街の弁護士団による抗議運動、医療事業者や公務員によるストライキという様々な世代、職業の人が一丸となって行われたのです。

香港人が求めるもの

ドキュメンタリーの中の言葉「自由もなく、人権を含めすべての権利が剥奪される。そんな国で生きるくらいなら、死んだほうがましだ」がこの運動の全てを表していると私には思えます。

リーダーが投獄されても、彼らは抵抗をやめません。また仲間たちが警察の激しい暴力にあうのを見て「平和なデモは無駄だとあなたたちに教わった」と言いながら、リーダーの一人である青年は抗議運動を続けるのです。

雨傘運動の経緯や結果から、自分達の運動に流血の事態が起きることを彼らは予想していたに違いありません。成就しなかった革命を見た人間こそ、自分の信念に基づいて生きることを決めたらきっと迷いがないのでしょう。

同じくドキュメンタリーの中で「捕まるのは怖くない?」という問いに、メンバーは「自由を奪われることのほうが怖いです。香港は僕たちの故郷です。自由のため闘うのが僕の使命。命尽きるまであきらめません」とも答えています。

ここに見えるのは、自分達の自由と民主主義を守るために命懸けで闘う香港人としての誇りと決意の強さです。

どんな屈強な相手が敵であっても進み続けようとする彼らの姿と言葉に、私は胸が締め付けられました。










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