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#01 農地がないと農家になれないが、農家でないと農地を借りられない!?

2022年夏
農地を探して数ヶ月。
Uターン移住で大分県に戻ってきた地元民なので農地を探すことにそれほど苦労するとは思わなかった。しかし現実は厳しかった。想像以上に田舎は保守的だ。

どこの県にも「農地中管理機構」という組織があって、農地の集積、集約を進めているのだが、いざ借りようと思うとなかなか役に立たない(失敬!)ことが多い。当たり前ではあるが、いい条件の農地はほぼない。

農地が決まらないので、居住地は大分市内とし、まず家を借りた。
そこから農地探しの旅。県内の市役所を何箇所回っただろう・・・。
市役所の農政担当部署や農業委員会などに顔を出し、借りられそうな農地を探す。どこの担当者も、「農地は皆様ご自身で探されていますよ。いい農地があればご連絡します。」と当然といえば当然の対応。
そんな中、ネットで由布市に農地バンクなるものがあることを知る(いまでは大分市にも農地流動化銀行というものがあって、こちらは情報が充実している)。
電話をかけると、市役所に来てくださいと言われ、訪問する。
「ここにファイルがありますのでご自身で御覧ください。いい農地があれば所有者に連絡します」と言われ、土地勘がないためスマホを片手に地図をみながら、探すこと10分。それほどいい条件ではないが、候補地は2つ。
ひとつは、市の担当者が連絡するとすでに他の人に借りられていたようだ。情報更新があまりされていないし、そもそもウェブ対応していない。
もう1つの農地は耕作放棄地。ただし大分市内の家から然程遠くない。

「由布市挾間町下市(ゆふし はさまちょう しもいち)」
大分市に隣接し、隣の野田山に向かって傾斜地となっている。
畑地としては、法面が大きく決して優良農地とはいえないが、高台からの眺める由布岳、鶴見岳の景色が美しい。

農地がないと農家になれない。いまの私には借りる以外の選択肢はないので即決!

耕作放棄地の状態の田
一番高い田からの眺望(草刈後)

5箇所に分かれた約5反程の広さの田んぼ。もう10年ほど耕作されていないようだ。周囲の田はほぼきれいに米作りがなされていて、美しい景観もこの耕作放棄地が台無しにしているようにみえる。

後日、由布市に所有者の連絡先を伺うと、所有者はすでに他界され、その息子さんとお話ができた。
「自分も弟も農業はしないので、ぜひ使ってほしい」と言っていただく。
また、本来は売却が希望のようだがまずは使ってみてくださいと言っていただき、早速、農業委員会に届出をした。

こうして挾間の最初の農地ができた。
数ヶ月かかったが、これもご縁だ。この地でなんとか農業をやっていきたい、そういう気持ちが沸々と湧いてきた。






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