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#04 農家仲間、増える

2023年、とにかく植えてみる

農地を1.5ha集めたものの、農地は水田のままだし、私は草刈作業に追われていてまともな栽培はまだできていない。幸いなことにお借りした田のうち1枚だけがすでに畑地化されていたので、この畑をつかって試験栽培をすることにした。なぜならピーマンの栽培経験しか持ち合わせていないからだ。
成功体験を得たかったので、栽培期間が短く、栽培難易度が低い葉物野菜の中から自分で食べたい野菜を片っ端から植えてみる。自宅の庭に簡易育苗ハウスを設け、そこで育苗する合間に挾間の農地を耕し、春には定植を開始した。

”レタス、サニーレタス、ラディッシュ、春菊、とうもろこし、ビーツ、ほうれん草、小松菜、スイスチャード、ロメインレタス、ブロッコリー、枝豆”

甘かった、とうもろこし
大成功、無農薬ビーツ

ホームセンターで種を購入し、日々目が届くように自宅の庭で育苗。他の野菜を栽培していると応用がきくもんだなと、自画自賛しながらの栽培。なかなか楽しい。
春菊、レタス類は直接圃場に播種し、生育を待つ。
ラディッシュは二十日大根というだけあって本当に一箇月もかからないうちに収穫ができ、我が家のサラダに彩りを加えてくれた。
7月には待ちに待ったとうもろこしの収穫。とうもろこしは甘みもあっておいしかった。一気に収穫したので、ご近所にも配った。
とうもろこしのコンパニオンプランツとして植え、大した期待もしなかった枝豆がとてもおいしかった。食べ慣れている冷凍の枝豆と比べるともはや別物か、と言えるくらい美味しい(自画自賛が過ぎるが)。

栽培の様子や収穫物をインスタにあげていたら、農業に興味があるという方からダイレクトメッセージがいくつかあった。農業に興味があり、私の畑をみたい、とのことだった。

仲間、増える

私のインスタに連絡をいただいたのは複数人いた。農業に興味のある人は多いんだな、とうれしく思った。
この中のひとり、Sさんが見に来てくれた。畑の近くにお住まいで、普段は会社員。会社員ながら山を購入して小さなキャンプ場を経営しているという。農業は素人だが、興味があって家庭菜園以上の農地を借りたいということだったので、私が借りている畑のうち一枚をお貸しすることにした。
ついに、この挾間農場に仲間が増えた。私にとってはうれしい第一歩だ。

また同じ頃、知人にこのあたりで同じように農業を始めた方がいることを知って、お会いしてみることに。私の畑から見える近くの田を借りて、今年から玉ねぎを植えはじめたWさん。普段は自営で他の仕事をされているが、農業に興味をもって知り合いの農家に指導を受けているそうだ。畑も近く、お互い新規就農者なので協力し合いましょう、ということでこれまた仲間が増えた。

農家を集めて地域を変えたい

仲間を増やしたいのには理由がある。
この挾間町下市エリアは水田地帯で、初瀬井路という井路が整備されている。調べてみると、大分県でも最も古い井路のうちのひとつらしい。
この初瀬井路から水田にも水を供給しているが、このエリアは利用者の多くが稲作農家ということで、水の利用が夏から秋までに制限されている。つまり、冬から春にかけての野菜栽培にはこの水は利用できないのだ。
市役所や井路を管理する土地改良区にかけあっても、数人の農家のために冬季の水を供給しても管理費が賄えない、ということで水は使えないという問題に直面しているのだ。
この地域では、水利組合は農地の所有者から構成されていて、平方メートル単位でその管理料金を負担し、土地改良区に管理を委託している。水は利用者負担ではなく、所有者負担になっており、土地の所有者が農業を離れていくなか、所有者は新たな経済的負担を快く思うわけはない。利用者が支払う農地の賃料には、当然この水利代を含んでいるので、正当な値上げによって利用者に負担させてもよいのだろうが、ことはそれほど単純ではないようだ。

ということもあって、市役所や県に相談しても「組合が何もしてくれないのであれば、ボーリングをしてみては?使える補助金があるかもしれません」と親切にご提案してくれるものの、私としてはしっくり来ない。

”せっかく整備した井路があるのに、なぜにまた税金をつかうのか!”

この問題を解決するためには、水利組合や土地改良区など関係各所としっかり交渉できるよう自らが農業法人として力をつけるか仲間を増やすしか方法はないと思っている。

長く続いて来たものを変えるには大きな力が必要だ。大きな力になれるよう、志を同じくする仲間を増やしながら、時間をかけてしっかり取り組んでiいきたい。

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