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美術館建築も楽しいヘルシンキ

 アアルト大学から地下鉄で15分くらいの距離にあるヘルシンキは私にとって、休日に足を運びやすい街です。2ヶ月過ごしてみて、美術館はヘルシンキにお気に入りスポットになりました。(一番の都市に建築ミュージアムがあることが地味に嬉しい。)その中で、印象に残っている美術館についてまとめてみたいと思います。

1. Kiasma ヘルシンキ現代美術館


入り口の長い曲線スロープ

https://g.page/KiasmaMuseum?share

 スティーブンホールが設計したヘルシンキ中央駅から最も近い美術館です。長い曲線スロープから導かれ、展示室をめぐり上に上がっていく構成が明快で美しい建築になっています。スロープだけでなく、建物の全体形もカーブになっているため、歩いていると徐々に違う空間が見えてきます。奥に向かうワクワク感がいろんな場所で感じられます。空間の構成力は本当にさすがだなと感動していました。


最上階の展示室

 北欧らしい光の取り入れ方の工夫もこの建築の魅力です。最上階の展示室の奥の光はライトアップしたかのように綺麗で、行く道を照らしてくれているようです。また屋根もカーブを描いていて、最上階の展示室を特徴づけています。

1階の奥の空間
入り口外観

 抽象画や立体彫刻的な空間構成が見られるところが個人的な推しポイントです。全体から見ると外れた不思議な部分だけど、そういうところに人間味感じたり、むしろ生き生きして見えたりしています。自分が将来設計するときにはこういう要素を入れ込んでみたいと思っています。

2.Amosrex

広場 地下の展示室とつながったトップライト

https://www.google.com/maps/place/Amos+Rex/@60.1714198,24.9335844,16.24z/data=!4m9!1m2!10m1!1e1!3m5!1s0x46920bafa5d1815f:0x68966d3b3179c68e!8m2!3d60.1706427!4d24.9364969!16s%2Fm%2F04070r2

 フィンランドで公共建築を多く手がけるJKMM architectsの設計の美術館です。もともとシアターとして使われていた場所に地下を増設する形でリノベーションが行われたみたいです。Kiasmaと非常に近い距離にあり、道路を挟んで向かい側にあるのでセットで行くのがおすすめです。
 広場に見える地下の展示室とつながったトップライトは、地上では屋外空間を形作っていて、走り回ったり座ったりできるスペースにもなっています。でも、自分にはどうしてもフィンランドの光への行き過ぎた執着が素直に表現された形に見えて面白いです笑

地下へ向かう階段
展示会から見たトップライト

 地下に降りるときに、上部に開けられた開口によって、地上の様子を感じながら徐々に美術の世界に入っていく感じが素敵なところです。いろんなテクスチャで構成された地上世界からシンプルなテクスチャに切り替わっていき、抽象化された芸術を見るための空間に入っていく構成になっています。

2階のシアタースペース

 また、2階に上がると、シアタースペースがあります。この空間が色彩や要素の構成が好きすぎて、自分の中ではヘルシンキの建築で1番かもしれません。今は貸しスペース、イベント会場になっているようで、この留学中にここでのイベントに参加してみたいものです。

3.Helsingin taidehalli(ヘルシンキ アートギャラリー)

入り口外観

https://goo.gl/maps/N2x8WncZuYQ4LsdB7

 この美術館は中央駅から歩いて10分ぐらいの距離にあります。古典的な美術館の中で自分が1番好きな美術館です。一つの理由としては、展示室のプロポーションと窓の関係性がうまく効いているところが好きです。どの展示室も開口によってそれぞれが特徴づけられています。

展示室
展示室
階段空間

 この建築の1番推せるポイントは階段空間の色彩です。展示室の間に位置しているこの空間は、吹抜や手すりのディテールも単なる動線ではない印象的な場所だと思いました。

カフェ

 一階にはカフェが併設されており、ここもまた落ち着く場所でリピートしたいところです。普通に一階にあるのに、窓が高い位置にあるので半地下みたいな雰囲気を味わえます。

4.最後に

 現在美術館の設計を考えていることもあってか、なんとなく美術館に行くことが増えた気がします。その中でもヘルシンキのお気に入りをもう一回見返すことで、ちょっと思考が整理された気がします。
 ヘルシンキの現代建築では北欧らしい光の取り入れ方や伸びやかな空間構成が体験できました。また古典様式を見ることによって色彩に対する感覚を広げてもらった気がしています。室内の光が限られる気候でどのように彩りを与えるかが大事だったのかもしれません。また見直してみると暗いからこそ映える色彩だと感じます。
 今回紹介した美術館は自分にとって、色彩や北欧の古典様式の勉強をするいいきっかけになったと思います。冬にじっくり本とか読んでからまた見に行きたいと思います!


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