小説 メルヘン #1
ピンクサロン「メルヘン」では、働いている女の子が、お客さんの連絡先を聞いたり、自分の連絡先を教えたりする行為は、禁止されている。
でも私は、彼らの電話番号を聞くのをやめられなかった。
他の女の子には、内緒にしていた。ヌキに来ただけの男の人を、プライベートに流れ込ませるなんて信じられないと、軽蔑されそうだから。
女の子は、名刺を持たされる。表に「メルヘン」、下に店の電話番号が印刷されていて、裏には各々、自分の名前と出勤日や得意技を書く。
私は名刺の入れ物として、レターセットの