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初出のあなた

最近、探していた雑誌の『女性』大正15年4月特別号を入手して、ほっこり上機嫌。

8000円もしたので財布がピンチだ!

女性はプラトン社が発行していた雑誌で、小説がいっぱい掲載されている。

有名な作家がズラリである。

私がこの号が欲しかったのは、稲垣足穂の『天体嗜好症』の初出の場だからであって、筆おろしの場だからである。
私は一番、一等に愛している小説は『天体嗜好症』であって、これだけあればもう何もいらない、というくらい大好きなのである。
だから、この号はとても嬉しい。

なにせ、なかなかに人気のある号のようで、他月は結構出回っているのに、これはなかなか手に入らず難儀していたのだ。
(他の号は3000円〜5000円くらいで、それも高いなー)。

初出、というのは、世の中に初めて産声を上げた場所であって、最近ではそれがネット媒体も増えてきているかもしれないが、やはり『本』、或いは『雑誌』、としてこの世界に生まれ落ちるというのは、非常に重要なことなんだろうと思える。
好きな小説があると、それの様々な装丁の本を買ってしまったりするものだが、初出雑誌というものなかなかに蠱惑的な存在なんである。

当時の広告も楽しいね。


さて、『女性』の表紙カットは山六郎、山名文夫やまなあやおが描いていて、このモダンなイラストは今でも人気があるようで、その図案を集めた本も古書で5万とかそんな大金で取引されている。

山名文夫は資生堂のグラフィックデザイナーとしても働いていた超一流の図版家で、今見ても大変にモダン、いや、おそらくは永久にモダンで有り続ける魅力を備えている。


今見ても素敵な雑誌だなぁと思う。
この時代の美しい雑誌の表紙デザインなどを集めた書籍も販売していて、資料としても、色彩としても、デザインを楽しむにも良い、そんな作りで、是非オススメである。



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