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書店パトロール17 複製の美、同じもの大集合

『ブルーピリオド』の15巻を買い、読む。

『ブルーピリオド』は面白い漫画で、特に藝術、創作をしている人には刺さる漫画なのだろう。

然し、私はこの15巻を手に取り、違和感に気付く。ん?紙質とカバーの質感が変わっている……?
インクの匂いも違う気がする……。印刷所が変わったのか、はたまた、紙代の高騰により、紙を替えたのか、それとも私が馬鹿で何も変わっていないのか……。可能性は無限にある。どうなんだろう、然し、この15巻、14巻からずーっと続く八雲のトラウマみたいのを延々と描いて、もーええわい!ってなる。

嫌な画商の蟹江さんって人がいて、その人が出てくると話が面白い。友達同士のいやーなギスギスがこの作者の持ち味なので、いっその事悪役として振り切った方が話がドライブして面白い。何よりも、ギャラリー、画商の話が面白い。画家、アーティストとして生計を立てていくには、画商の存在が必要不可欠なのだろう。私はよく識らないが、ギャラリーの話というのは面白いし、やっぱり金ですよ、金。世の中金じゃい!画商の本ってたくさんあって、アート界隈ってお金と藝術という対立する軸が恋愛しては喧嘩してって感じでそれ自体が藝術で、画家の成功から破滅までが一つの物語として壮大に機能して大金が生まれて藝術に咽び泣くっていうこのメビウスの環が堪らなくゾクゾクする。藝術って傍から見るのが正しくて、押井守曰くの、映画監督は自分の金で映画を撮るな、人の金で撮れ、っていうのは正鵠を射ている。当事者になろうとも、どこかで線を引かないと破滅する。でも、破滅しないでいるとそれは凡人で、破滅=藝術なわけで、そこにリープオブフェイス(町山智浩流に言うのであれば)できるかどうかだよねー。

そんなこんなで、美術書の中に青い絵画を集めた本を発見。でも名前を失念、調べたら他の青い書が出てくる出てくる。
でも、探しものは見つからなかった。

で、藝術コーナーで落語の本を発見。落語の本、いっぱい出てるなー。

これは2003年で発売された本の続編なのかな。落語もまた人生破滅(とまではいかなくても)願望がないと進めない気がするな。お笑い芸人もそんな感じ。伸るか反るか、という博打で、博打打ちは芸能の世界に行く。まぁ、小説家志望も大概博打打ちだと思う。小説家志望は日本に10万人はいるらしいが、まぁ、その中でも1万人くらいはいい小説を書けるのだろう、表面上だけでも。その中でさらに数百人が才能あふれる作品を書いていて、ただ、その中で拾われるのが数十名なわけで、才能があったのにただ破滅、或いは行き止まり、これもまた小説家を選んだ者の悲劇である。

特に、小説は本当に人は最後まで読まないし、読み取らない。正直、漫画や映画と比べると読者に読まれる可能性が著しく低い。漫画や映画はやはりハードルが低い。能動的に楽しむ本、という媒体で、小説は読ませることだけで難事業で、逆にいえば読ませる文章を書くことが出来れば才能がある。ある意味わかりやすい。

さて、私は今気になっている漫画をもう一度確認に赴く。何度も逡巡し、何度も反芻する。これを買うべきか、田舎、いや否か。

ただのエロ漫画に見えるかもしれないが、これはどうやら恋愛漫画らしい。私はジャケ買いをよくするので、それで買おうか迷った末、まだ様子見。
以下、公式の紹介文を引用させて頂こう。

焼き鳥屋の青年が恋をしたのは、5人の美しいバニーガール……!?

焼き鳥屋の若き店主・朗(あきら)くんが好きになったのは、美しいバニーガールの峰香(ほうか)さん。しかし彼女のまわりには、峰香さんを真似するそっくりなバニーガールが4人も付き添っています。
「いったい、誰が本物の峰香さんなんだ?」
こんなユニークな出会いから始まる『ピッコリーナ』。作者は前作『欅姉妹の四季』で多くの読者から実力を絶賛された新鋭・大槻一翔さん。
得意の日常描写や飲食場面に加えて、今作ではバニークラブが登場! ていねいかつ派手な、新しい感覚の読書体験が楽しめます。

と、いう内容のようで、絵は好みである。だが、なんかそんな話が他にあった気がする。そうだ、『五等分の花嫁』である。あれも正直1話しか読んでいないため、偉そうなことは言えないが、まぁ、恐らく作風のベクトルが違うのだろう。多分、これはアートよりっぽい気がするんだよねー。

なんか、導入部ではあるんだけど、こういう同じ容姿、或いは同じ格好の人間が集まる耽美、というものがある。
複製は複製を呼び、それは複製の軍隊へと進化する。双子の美しさ、それから、兄弟姉妹の、親子の、友達同士、同じ格好をしてー。
どうして同じ格好になると、これほど藝術的になるのだろう。ああ、キャンベル・スープ缶だってそうだろう。だから、たぶん、アンディ・ウォーホルだって識っているわけだ。




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