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決別しても、再び出会ってしまう運命/大河ドラマ『光る君へ』第12回・第13回



ふたりの青春が終わった

道長がどんどん嫌な男に思えてきた第12回。道長の若さゆえ、なのだよね、おそらく。「なぜ自分の話からする! 先にまひろの話を聞きなさい!」と腹立たしさを覚えたら、その足で倫子の元へ行ってしまって、ぬわぁーーーーーと変な声が出た(笑)。

「その足で行くのかよ」
直秀にも突っ込んでもらいたかった。

それだけ、道長にとって決別は辛かったと考えるべきか。身を翻したまひろを追えば、そのまま彼女を求めてしまうと思ったからか。けれど、まひろの本心に気づけずにいた彼の落ち度は大きい。

崩れ落ちそうになりながら屋敷に戻ったまひろが、独りでなくてよかった。あののんびり屋の弟がすべてを察するぐらい、彼女の落ち込みは激しかった。明るくさっぱりとした性格のさわの存在に、かなり救われたと思う。

ヒリヒリする倫子とまひろの会話

道長の行動は、純粋に彼を慕っていた倫子にも後々酷なことになると思うのだが。まあでもかなりの強気ハンター倫子。やはり抜かりない倫子最強だった。

第13回では、ヒリヒリする展開が早くもやってきた。大石さんの鬼脚本全開(怖)。

まひろが倫子に会うのは4年ぶり。ここで私たちは、まひろがあれからサロンには行っていなかったことを知る。土御門の屋敷で働くことを提案されるも、仕事が決まったと嘘をつくまひろ。道長のことを胸に仕舞ってきた彼女に、「道長さまが大事に取ってあった文」と女の影を相談する、何も知らない倫子。その文は、まひろがかつて愛する男のために書いた漢詩。道長、婿入り先まで持ってきちゃったんかい……。まひろはとっくに彼からの文を燃やしてしまっているのに(笑)。しかし時を経て、こんな形で道長の思いに触れることになるとは……。

まひろは倫子の話から、道長があの日に屋敷へやってきたこと、ふたりの間には彼に良く似た娘がいること、道長にはもうひとり妻がいることまで知ることに。心がザワワ、ザワワだよ。倫子は倫子で、自分は文すらもらっていないのに、道長から文を送られた女がいるのだと嘆く。まさに、知らなくていいコト。何度も書いているけれど、道長がただ一人愛する人がまひろだと気づいたときの倫子を想像すると、こわい。

運命が引き裂いても離れられない

決別の前、道長は兄・道綱から、ただ待つしかない妾の辛さを聞かされた。一方まひろも、為時が妾のなつめに対して愛情深く世話をし、最期を看取った姿を見て、妾でもいいと考えなおした。同じところに辿り着くはずだったのに。悲しい運命。それでも、また出会ってしまうのがこのふたりである。

倫子との再会の後、まひろは帰ってきた道長とばったり会ってしまう。表情がかたまる彼に、とまどうまひろ。きっとこのまままたすれ違っていく。けれど、よりよき世をつくるために動いているのはふたりとも同じ。特に道長は、まひろとの約束をどうしても果たしたい。あの文も、自分を鼓舞するために持ってきたのかもしれない。直秀への懺悔も当然ある。全部引っくるめて、まひろへの愛の形ということ。乙丸と百舌彦、まだまだ主たちに悩まされそう(笑)。

4年後の登場人物たちの変化

物語は後継者争いに突入。兼家の老いを見事に演じる段田さん。そして高畑充希さんの定子がかわいい! 詮子、完全に姑顔。ここ数回は、宣孝グッジョブ!と叫んでいる。困窮するまひろの家を頻繁に訪れて、話題を振り撒いて帰っていく。グッジョブ! まひろ×実資ルートを提案しながら、赤痢にかかった実資を見た宣孝の「あれはダメだ、もう半分死んでおる」には笑った。為時が宣孝の息子はどうかと尋ねると、宣孝は「ダメダメダメダメ」と即答。自分の息子は高貴な家の娘に婿入りさせたいと思っているからなのか、それとも実は宣孝すでにまひろのことを気に入り始めているからなのか。蔵さん、どっちなの!? 

そして気になるのが道長のもう一人の妻・明子。呪詛で兼家を殺そうとするのだが、公式では明子の人物紹介欄に「のちに、まひろ(紫式部)の存在に鬱屈がたまっていく」と書いてあることに最近気づいた。これは、いつかまひろも呪詛されてしまう展開? 『源氏物語』の六条御息所はまひろの心が生むものだと思っていたが、明子のことを描くのだろうか。いろいろ考え出すと、止まらなくなる。次回も楽しみにしている。


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