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雨の降る日に【140字小説】

彼女は雨の中、泣き崩れていた。

一体何があったのか……。
気になったが、聞けなかった。

私は手を差し伸べた。
彼女は手を取らずただ泣いている。

その痛みが私にも伝わってきた。

私では彼女の傷を癒せない。
それが辛かった。

でもそばにたかった。

やがて雨が上がり、彼女はポツリと言った。

「ありがとう」


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