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誰かと話すって、もうひとりの自分に出会うこと。

自分の声は誰かに聞かせるものじゃないって

思っていたのに。

声コンプレックスがあった。

声だけじゃないけど。

でもうっかり、わが声を幾人かの人たちに

さらしてしまった。

この間の日曜日、インタビューの場所を

設けてもらってお話させて頂いた。

聞き手はTwitterで出会った、noteの小説家の方

たちでつくられる文芸誌の編集長、並木一史さん。



そして、前々回スマホの不具合でうまくそこに

参加できなかった時に助けて頂いた、

ゲームデザイナーのnoterさん。

はじめましてを交わした時、やっと邂逅できる

喜びがあって、この感覚ってとても不思議だった。

話も下手だし大丈夫かなって思っていけど、

ホストの編集長さんのナビゲーションがとても

鮮やかだったので、雑談の延長のような形で話が

できたような気がする。

実は某所のカラオケ屋さんで二人で収録した。

となりの部屋からはガンガンと、ザ・熱唱みたいな

声が壁を筒抜けて聞こえてきて、緊張がほぐれた。

ありがとう、見知らぬお兄さん!

DМを通して1か月ほどなのに、いきなり

リアルで編集長さんとお目にかかるなんて!

なんなんだこの展開はって、豆腐メンタルの

わたしがそこを乗り越えようとしていた。

noteやればやるほど、豆腐メンタル鍛えられ

てゆく我よ。

スマホの向こうで、顔が見えない形で話を

するのとはちがって、そばにいるひとに話し

かけるという形は、自分に嘘をつけないし

飾れないし、たぶん緊張がほぐれてゆくまでの

経過が、そのまま言葉に現れていたのかもしれない。

●「ひらがなと漢字の使い分けをどうしていますか?」

とか。

●「小説の言葉が生まれる時って?」 とか。

結構、考えたことないです、やばいな!みたいな

質問もあったのだけど。

それぞれに

真剣度が高いとき、スピード感や速度を表現したい

時には漢字を使うようにしています、とか、

言葉が浮かぶことはないので、どちらかというと、

頭の中の情景を言葉に翻訳するようなことを

自然としているみたいたことを答えたと思う。

そして、わたしは彼が言葉をやさしく投げかけて

くれるたびに、あぁわたしはそう思っていたのか

とか

そう感じていたのか、みたいな再確認を

じぶんでやっている気持ちになった。

最後のほうで、彼が以前話していた人が誕生する

ということは「名前をつけるということでもあるね」

というラジオの言葉が、心に残っていたので。

たとえば「小説」にそれを置き換えると

どうなるかなって思って、話してみた。

小説には、さまざまな出来事が渦巻きながら

わたしたちの心をゆさぶってくる。

言葉にできない感情が、そこにはあって。

やるせなさであったり、形のない切なさで

あったり、悲しみの淵から逃れられた

幸せであったり、さまざまだ。

そんなことを思うと、小説ってもしかすると

感情を名づける行為のような気がすると

お話した。

わたしのなかにもない言葉だったけれど。

いつかそんなことを感じたかもしれない小説は、

よしもとばななさんの『ともちゃんの幸せ』だ。

よしもとばななさん著・『ともちゃんの幸せ』。


いずれにしても、神様は何もしてくれやしない。でも、それは神と呼ぶにはあまりにちっぽけな力しかもたないまなざしが、いつでもともちゃんを見ていた。熱い情けも涙も応援もなかったが、ただ透明にともちゃんを見て、ともちゃんが何か大切なものをこつこつと貯金していくのをじっと見ていた。

「ともちゃんの幸せ」よしもとばなな
「SWITCH」2003/January p32

ともちゃんは、かなり悲しい出来事の体験者。

大切な家族を失った経験もしていた。

そんなときのともちゃんの心の形が描かれていた。

最高に孤独な夜の闇の中でさえ、ともちゃんは何かに抱かれていた。
ベルベットのような夜の輝き、柔らかく吹いていく風の感触、星の
またたき、虫の声、そういったものに。

「ともちゃんの幸せ」よしもとばなな
「SWITCH」2003/January p32

これを読んだときにわたしは

まだ言葉になっていなかったけれど。

小説って、誰かに言葉で説明できない

感情を名づける行為のことなのだと、

ぼんやりと思ったのかもしれない。

インタビューを受けてみて、ずっともやもやして

いたわたしの中のわだかまりが解けていった。

こんなにわたしはいい小説に出会ってきている

んだよって。

それだけで十分じゃないかって。

でももし書きたかったら、四の五の言わずに書いて

いけばいいよって。

あらためてじぶんに声をかけているような

気持になった。

感情を名づけるって大変なエネルギーだけど、

きっとそんなふうにわたしは書いていきたい

のかもしれない。

インタビューって、受けると心が整理される。

海の中をあらたな呼吸を得た魚がぐんぐんと

進んでいるような気持になる。

Nさんにみつけて頂いたこと、とても

励みになりました。

その節はありがとうございました!

野やぎさん浮雲さんほんとうにお世話に
なりました。お聴きくださったみなさま
3度目の正直で雑談のひとときが完成したこと
心より感謝申し上げます。)

なにひとつ なにひとつって 次の言葉が
みつからない そんな夜も ちゃんと葬るよ

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