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日本でヒヨコ豆料理がますます存在感を増しているわけ

最近、ヒヨコ豆をやたらと目にすることが多い。英語でCHICKPEAS、アラビア語ではホンモスと言い、主に中東地域で食べられる食材だと思っていた。それが、日本で、ヒヨコ豆を茹でてペーストにした、その名も「ホンモス」(日本ではフムスということも多い)や、ペーストの素揚げ「ファラーフェル」、あるいは「ヒヨコ豆カレー」などというのを提供するレストランにも出くわすようになった。

果ては、和風居酒屋のお通しにも出てきたりする。これは、一種のブームといっていいのではないか。まず、本場の中東でどのように食べられているかをみてみよう。

ホンモスは中東でとてもポピュラーな前菜だ。「ホブス」とか、「アエーシュ」とか、「ピタ」と呼ばれる薄く丸いパンですくって食べる。朝食の定番でもある。

ファラーフェルは、アラブ圏のファストフードの代表格ともいえる。これも薄く丸いパンの中に野菜などと一緒に詰めてサンドイッチにして食べる。

店の前に揚げ機を出して、ファラーフェルを店頭売りしているところもよくある。

エジプトでは、平たい形にして揚げるのが一般的。ただし、エジプトでは、ヒヨコ豆よりも、緑色のソラ豆を使うことのほうが多い。これは「ターメイヤ」と呼ばれる。

パンにはさむと例えばこんな感じになる。エジプト・カイロで食べたもので、アエーシュ・バラディ(地元のパンの意味)にターメイヤ(ソラ豆)をはさんだサンドウィッチ。野菜をたっぷり加えたり、「タヒーナ」(日本では「タヒーニ」と呼ばれているようだ)というゴマを使ったソースをつけたりもする。

ついでに、エジプトでは、B級グルメの王(ファラオ)と呼ばれるコシャリというなんとも形容しにくい食べ物にもヒヨコ豆が乗っていることもある。

中東で、これだけポピュラーなヒヨコ豆。日本でも、ホンモス(フムス)、あるいはファラーフェルの材料として使われることが多い。日本での特徴としては、「絶対菜食主義者」(ヴィーガン)向けの食べ物として推奨されていることが多いことだ。これは、恐らく、欧米の食の潮流が日本にも入り込んできているためだろう。

東京・中目黒の「Ballon」という店の看板には、「100% Vegan」と書かれていた。 

東京・渋谷に近い神泉にある「クンバドゥファラフェル」は、開業から約10年と、ファラーフェル・ホンモスの店としては老舗の部類に入る。Vegan向けと明確に銘打ってはいなかったと思うが、メニューに肉や魚を使ったものは、なかったと記憶している。

大阪の「フィルクトゥミエール」は、無農薬や在来種の野菜の使用を売りにしている。土が生み出した自然の味を堪能するというところに主眼を置いているようだ。上記の3つの店は、ベジタリアン向け料理の「核」としてファラーフェルとホンモスが使われていることは明らかだろう。

東京・銀座の中東料理店「ミシュミシュ」では、ファラーフェルを、中東式でいれたコーヒーや中東風ハーブティーと一緒に食べる、というイベントも行われていた。この料理店では、普段もファラーフェルやホンモスも提供しているようだ。

ホンモスやファラーフェルは、日本でまだまだなじみの薄い食べ物だが、急速に多国籍化している社会の中で、これからさらに日本の食生活に入り込んでいくことなるだろう。東京新大久保の「イスラム横丁」と呼ばれる通りにある食材店などでは袋入りの乾燥ヒヨコ豆が売られたりもしている。日本でも、中東料理の枠を突き抜けて当たり前の食べ物になる日も近いかも知れない。




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