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「そう、サンタクロースはいる」

12月24日。クリスマス・イブ。今年もまたこの日がやってきました。
私はクリスチャンではありませんが、クリスマスの華やかさはとても好きです。クリスマスの伝統やエピソードは美しく、暗い冬の中でも心が明るくなるような気持ちになります。きっと、同じような方は他にもいらっしゃることでしょう。
そして、子どもの頃、こう考えた方も多いのでは?
“ サンタクロースは本当にいるの?
私も子どもの頃はずっとその疑問でいっぱいでした。いつどんな風にして答えを知ったか、今ではもう定かでなくても、もし子どもの頃、こんな風に答えてくれる大人がいたならと思う文章があります。

1897年と少し旧い時代のこと。アメリカに住む8歳の少女ヴァージニア・オハロンは、友だちから「サンタクロースはいない」と聞かされます。
本当のことを話してくれるようにせがまれ、困った父親は「有名な新聞の編集長なら何でも知っているから、きっと答えを教えてくれるよ」とヴァージニアに伝えました。
そして、彼女からの手紙を受け取ったサン新聞社編集長フランシス・P・チャーチは、こんな返信を綴ったのです。

“ ヴァージニア、あなたの友達の考えは正しくありません。疑い深い時代の懐疑主義に毒されています。疑い深い人は見たものしか信じません。狭い頭で理解できることしか、ありえないと考えています。ヴァージニア、大人であれ子どもであれ、人間の頭は小さいのです。
そう、ヴァージニア、サンタクロースはいる。愛と寛容と献身がこの世にあり、しかも豊かにあって人生に最高の美と喜びを与えるのと同じぐらい確実に、サンタクロースはいる。

ああ!サンタクロースがいなかったら、この世はなんとさびしいことでしょう!そんなことになれば、サンタクロースという存在を可能にする子どもらしい確信も、詩も、ロマンチックな考えも消えてしまいます。感覚と目から入る以外の喜びはすべてなくなります。幼年時代の持つ、世の中を照らす永遠の光が消えるのです。
サンタクロースを信じないとは!では妖精も信じないのですか。この世で最も大切な本物は子どもも大人も見えないものです。妖精が芝生で踊っているのを、あなたは見たことがありますか?もちろんないでしょう。でもそれは妖精がいない証拠ではありません。
あなたは赤ちゃんのガラガラを破いて、何が音を出しているのか調べようとするかもしれません。けれど見えない世界にはベールがかけられていて、どんな強い大人でもそれを引き裂くことはできません。信仰、空想、詩、 愛、物語のみがカーテンを押し開けて、中の美と栄光を覗けるのです。それは本物かですって?ああ、ヴァージニア、この世でこれほど本物で不変のものはありません。
サンタクロースがいないだなんて!なんということ!サンタクロースはいる、永久に存在します。今から千年後、いや、十万年後でもサンタクロースは子どもの心を喜ばせ続けるのです。”

『星の王子さま』の冒頭で、サン=テクジュペリは書きました。
「おとなは、だれも、はじめは子どもだった」
これは紛れもない真実で、私や、今これを読んでくださっているあなた、世界でいちばん長生きのお年寄りも、はじめは子どもでした。大人になってもうずいぶん長い時間がたっていたとしても、全ての人の中には、子どもだった自分がいます。
その子どもがこんな返事を受け取ったなら、どれほど嬉しがることでしょう。きっとヴァージニアと同じように、興奮した面持ちで声に出してみんなに読んで回りたくなるに違いありません。
そう、サンタクロースはいます。
私はそれを知っています。
あなたもそうですよね?


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