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Original My Novels

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ショートショートの小説。夢日記。体験、経験したことを小説化。 内容によっては有料化。
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記事一覧

乗り越える

乗り越える

私、頑張る。

彼女は大きな目をさらに大きく、前を見つめて
私に言葉を放った。

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逃げるは恥だが、役に立つ

逃げるは恥だが、役に立つ

なんで行ってくれないの。わからない。腑に落ちないわ

そりゃそうだろう。
じぶんは、右から左に情報を伝えただけ。

相変わらずいやになる。自分が。
聞いたこと、言うべきことを急いだために。起きたこと。

お客さんが、担当を変わってほしいって。いいかな。

そんな一言を放ってから、見る見るうちに顔色が変わっていく彼女の顔を見つめていた。

ああ。言ってしまった。もっと考えるべきだった。
もう遅い。言

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ネオンを見ながら呆けるひと@1

ネオンを見ながら呆けるひと@1

私は今日、ひとり。スターバックスにきている。
慌ただしい年末に背中を押されながら
カフェラテを飲んでいる。

もう36才にもなるのに彼もおらず
ただ、自分のしたいことを、するためだけに買い物をする。
21時。気になっていた小さめのパソコンケースをテーブルの上に出す。

ここは家電売り場とカフェと本屋さんが
一緒になっている喫茶店。まだ、帰る時間じゃない。
おもむろに、ケースからパソコンを出してみる

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おこられた

おこられた

今日 怒られた
歩行者優先 妨害 通行
よっただけ 見てなかった
悪いかった 怒られた

夜 走った
帰ってきたら 鍵を中に入れて出てしまった
出るときになんか いわかんあったけどお
何なのか 気にならなかった
鍵がない
ドアから出たり入ったり うろうろ
耳にしていた イアホンを
刺そうとしたしたり ドアを引いてみたり
昔 そんなことをした記憶があって
でも はいらない
どーしよー
402 顔を満

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河の流れは変えられる

河の流れは変えられる

まじでか。あいつも結婚か。

2019年の大晦日。
天変地異に襲われた日本列島。奇々怪々な芸能ゴシップ。不可解な理由で起きた殺人事件。政府の陰謀が見え隠れする政局がうずまく日本。そんな年の最後の日。

僕にとって、どんなことよりも、大晦日最後の日の一大事だった。

まぁ考えてみれば至極当然。そりゃそうだ。お互いに30半ば。ここまで馴染みでも人生はひとのもの。自分がどうこうできるもんでもない。

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渡り鳥は、わたっていく

渡り鳥は、わたっていく

「キスをしてほしい」
エレベーターで二人きりになったとき、突然彼女はそういった。
いつも、相談するときには、いちばんに来てたし、その純粋なまっすぐな眼で、上目づかいに聞いてきた。

まさか、そんな言葉が彼女から出てくるとは。想定外だった。

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あの子はグラファー

あの子はグラファー

あ、写真撮影してる。
町の郊外の山のすそ野に広がる広い公園だ、遠くには、泊るような大きな施設もある。

その子は、子供の遊具にモデルの子を乗せ、カメラマンとして写真を何枚もとっていた。周りには撮影クルーが何人か。まだ駆け出しだからなのだろう。数人程度。でも彼女の顔つきはプロそのもの。ちょっと大きめのつなぎの服に、長めのスカート。秋色が目立つ。

まさか気づくまいと、横を遠巻きにぐるりと回る。
どこ

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ひと@

橋を渡ってくる 3人
一人の女の子を中心に 2人を引き連れて
真ん中の女の子は 背が小さい でも 
その目は、切れ目で ネコ目
細めだけれど 力がある

迫ってくる 僕は下校しながら
背中にその気配を感じながら 家路にいた

追いかけられて 追いかけられて
その子の横には 2人
一人は そこまで 特徴はないけれど
リーダー格の子の 引き立て役
一人は クラスの中でも 足の速く 一目される存在 

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ひと@2

23:30大晦日まであと30分
2019年最後の一日まであと少し
竹屋のお店で今日も働いている。
あの牛丼も美味しいし、カレーも美味しいし、最近じゃあ復刻版も出ている。
このご時世、この時間までシフトにはいれる人なんかいるわけない。私はなろうか50才半ばで旦那は年上で、早期退職を2年ばかり前にされたところ。私が働かないとやってられない。

仕事はばっちりだ、淡々とこなせる。お客が食べていようが、ド

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ひと@

私、あなたの子供ならできてもいいと、思えたの。

朝、底冷えのする部屋の中。カーテンから朝日が漏れ見える。彼女はベットに腰掛け、ブランケットを肩にかけたまま。光越しに、白い肌が眩しかった。

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ひと@

あの頃は僕は自分に言い訳をしていたのだろうか

言い訳を探していたのだろうか

あなたも何かに理由を探していませんか

今はあの人は50才になろうとしている

あの人は幸せだろうか

一人の女の子を授かり

幸せに過ごしているだろうか

涙を流し

優しさは、時に人を傷つけることもあるんだよ、と

教えてくれた

ベットで涙した日を

私は忘れない

あの頃私は

何を求めていたんだろうか

ひと@

僕は心の中で こそばゆい感情を 押しとどめていた

大きな公園の入り口、なぜか2人きり
どんないきさつだったか、あまり記憶がない

そう、学級委員会の終わりだったのかもしれない
僕の帰り道とは逆だけど、その子と一緒にいたくて
一緒に帰ったのかもしれない

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