マロンと駒

癒し求めて三千里。ラジオリスナー歴、約10年。思い出・記憶を引き出しながら、映画・読書…

マロンと駒

癒し求めて三千里。ラジオリスナー歴、約10年。思い出・記憶を引き出しながら、映画・読書・漫画の感想etc…エッセイ・日記・ときどき短編小説を書いています。『癒しの記事』を目標に、週1目安に更新中。毎日飲むのはカフェ・オレ。港町が好き。ネコ派。

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見逃された遅刻

お昼休みに書店で、阿川佐和子さんの著書『ないもの ねだるな』を手に取り、偶然開いたページを立ち読みしていたところ、ご自身の遅刻にまつわるエッセイが掲載されていた…

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奇跡の『ラ・カンパネラ』

『ラ・カンパネラ』とはイタリア語で『鐘』の意味だという。 10年近く前、ある大きなコンサートホールで、世界で最難曲と言われる『ラ・カンパネラ』のピアノ演奏をライ…

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人は人の心に従うもの

かなり前に読んだのに、憶えている言葉があります。 これもそのうちの1つ。 人心を薬で操り、物事を自分の思い通りに進めようとする人物が、後宮内で引き起こした殺人事…

マロンと駒
10日前
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試される時

人に裏切られた時は、きっと自分自身が試されている時ー 数年前、ミュージカルにもなった遠藤周作先生の名作『王妃 マリー・アントワネット』。 ………………………………

マロンと駒
2週間前
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神さまの使わしめ

問題を抱えた人のもとに現れる琥珀色の目をしたトラ猫。 まるで『大丈夫だよ』とでも言っているようなその目に惹かれていると、いつの間にか家に上がり込み、しばらくの間…

マロンと駒
3週間前
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時間は薬

失って初めて、その存在の大きさに気づかされるということは、誰しも経験することかも知れない。 先日、久しぶりに長めの残業をすることに…残っていた二人のうち一人が退…

マロンと駒
1か月前
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私のド真ん中

雨に濡れた桜は、どこか憂いがあって好き。 ……… 以前勤めていた職場で、私はいつも受付に一番近い席にいた。 書類を提出に来る人がいると、何気なく目を向ける日々。…

マロンと駒
1か月前
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ある日別れは突然に…

「〇〇さん、今朝急に退職したの。」 出勤早々、『ついに来たか…』と思った。 普段の会話や勤務中の電話を通して、退職を考えていることには薄々気づいていた。 心の準…

マロンと駒
1か月前
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スポットライトの先に

寒い夜に 大きく響く ネコの声 真夜中に、外にいるネコの鳴き声で目が覚めた。 喧嘩でもしているように聞こえた声。 ちょうど夜だったこともあり、子どもの頃に軽く悪…

マロンと駒
1か月前
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最短で取得した資格『フェムテックアンバサダー』

3月8日は国際女性デーということで、新聞に掲載されていた日本フェムテック協会認定資格3級に挑戦! これは5分でできるWEB上の無料テストで、合格すると『フェムテッ…

マロンと駒
1か月前
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初めての道

開通してからすでに30年近く経つ東京湾アクアライン。 先日、初めて自動車で横断する機会があった。 最近、自動車そのものに乗らない生活をしているので、仕事とはいえ…

マロンと駒
2か月前
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ネームがなかった白い傘

2月らしい寒さに震えながら、傘を持って出勤する憂鬱な朝。 ただでさえ荷物が多いのに、さらに荷物となる長い傘は正直持ちたくない。 そこに電車遅延まで加わる『弱り目…

マロンと駒
2か月前
18

魅せられる味

特に外食が好きという訳ではないが、たまに行くスパゲッティ屋さんがある。 このお店、とても長く続いていて、土・日は表に行列が出来ていることもある。 よくこの前を通…

マロンと駒
2か月前
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お声がけ

誰かに声をかけられた気がして何気なく振り向くと… 珍しい人から声をかけられたなと少し驚きながらも思わず微笑んでしまった。 これは、ある習い事の教室でのこと。 声…

マロンと駒
2か月前
19

名作は形を変えて

衝撃的だった最後の一文。 見事なまでの展開、殺人計画の動機、計画そして実行。 本格ミステリー『十角館の殺人』。 某新聞の週間ベストセラーに掲載されていた同作品。…

マロンと駒
3か月前
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充電スポットを求めて

何事にも対応策はある。 先日、スマホの充電をしようとしてハッとなった。 充電器のプラグがない! 最後に充電したのは会社でだった。 充電後、ケーブルだけ抜き、プラ…

マロンと駒
3か月前
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見逃された遅刻

見逃された遅刻

お昼休みに書店で、阿川佐和子さんの著書『ないもの ねだるな』を手に取り、偶然開いたページを立ち読みしていたところ、ご自身の遅刻にまつわるエッセイが掲載されていた。

読んでいるうちに、中学時代のある同級生が遅刻した朝のことを思い出した。

彼女とは、中学3年間一緒のクラスだった。彼女は非常に優秀で、成績は常に上位3番以内にいた。中1での初めての定期試験で、彼女は国語と数学が100点だったのを、今で

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奇跡の『ラ・カンパネラ』

奇跡の『ラ・カンパネラ』

『ラ・カンパネラ』とはイタリア語で『鐘』の意味だという。

10年近く前、ある大きなコンサートホールで、世界で最難曲と言われる『ラ・カンパネラ』のピアノ演奏をライブで聴いた。

複雑に織り成すこの曲を、一音一音丁寧に弾いていく。

・若い頃の叶わなかった恋。
・異国での極貧生活と差別。
・ピアニストとしての生命を絶たれるほどの難聴との闘い。
・ピアノの代わりに慰めだった絵を描く時間。
・復帰後の大

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人は人の心に従うもの

人は人の心に従うもの

かなり前に読んだのに、憶えている言葉があります。

これもそのうちの1つ。

人心を薬で操り、物事を自分の思い通りに進めようとする人物が、後宮内で引き起こした殺人事件。

裏で手を引く黒幕がハッとなったのが、カイル皇子の放ったこのセリフです。

かつて、カイル皇子の母親であるヒンティ皇妃が同じことを言っていたのを回想するこのシーン。

その皇妃のただ1人の忘れ形見のカイル皇子に、その思いが受け継が

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試される時

試される時

人に裏切られた時は、きっと自分自身が試されている時ー

数年前、ミュージカルにもなった遠藤周作先生の名作『王妃 マリー・アントワネット』。

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この作品に登場する娼婦マルグリットは、ある晩、石畳の上に倒れている。

まだ17才の若い娘だが、食べるために路に立っていて、酷い風邪をひいてしまったのだ。

近くの家に担ぎ込まれ、回復の後、司祭館に女中として雇われ

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神さまの使わしめ

神さまの使わしめ

問題を抱えた人のもとに現れる琥珀色の目をしたトラ猫。

まるで『大丈夫だよ』とでも言っているようなその目に惹かれていると、いつの間にか家に上がり込み、しばらくの間、一緒に暮らす。

これは唯川恵先生の著作『みちづれの猫』に収録されている短編小説『運河沿いの使わしめ』に登場する不思議なネコの物語。

ある時は、認知症の義母を抱え、介護に苦労する主婦のもとへ。
この家での名は『ニャン助』。

またある

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時間は薬

時間は薬

失って初めて、その存在の大きさに気づかされるということは、誰しも経験することかも知れない。

先日、久しぶりに長めの残業をすることに…残っていた二人のうち一人が退社し、私は最後の一人になった。

割と一人の時間は好きなのだが、なぜかこの日は無性に寂しく感じた。

春だからか…それとも桜が少し散り始めたからか…

孤独には強いはずなのに…自分でも『変だな』と思いながら、仕事を少し早めに切り上げ、施錠

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私のド真ん中

私のド真ん中

雨に濡れた桜は、どこか憂いがあって好き。

………

以前勤めていた職場で、私はいつも受付に一番近い席にいた。

書類を提出に来る人がいると、何気なく目を向ける日々。

ある日のこと。

受付に人の気配がして、いつも通り顔を上げた瞬間、思わず一目惚れしてしまった。

正に私の理想像だったその人に、目を奪われる。

キチッとスーツを着て、眼鏡をかけ、髪型も決まっていたその人は、受付で必要事項の記入を

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ある日別れは突然に…

ある日別れは突然に…

「〇〇さん、今朝急に退職したの。」

出勤早々、『ついに来たか…』と思った。

普段の会話や勤務中の電話を通して、退職を考えていることには薄々気づいていた。

心の準備があったから、その朝私が受けた衝撃は、他の人たちよりは軽かったかも知れない。

約1年7カ月ほど、その人にはお世話になった。

初めての分野で戸惑う私を導き、ほぼ同時に入社したもう1人の人と2人、何とか2人で乗り切れるまでに育て上げ

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スポットライトの先に

スポットライトの先に

寒い夜に 大きく響く ネコの声

真夜中に、外にいるネコの鳴き声で目が覚めた。

喧嘩でもしているように聞こえた声。

ちょうど夜だったこともあり、子どもの頃に軽く悪戯した時のことを思い出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以前『太陽の帝国』(1987年 アメリカ映画)という映画を観たことがある。

作中に、主人公の少年が船の中から窓に懐中電灯を押し当て、

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最短で取得した資格『フェムテックアンバサダー』

最短で取得した資格『フェムテックアンバサダー』

3月8日は国際女性デーということで、新聞に掲載されていた日本フェムテック協会認定資格3級に挑戦!

これは5分でできるWEB上の無料テストで、合格すると『フェムテックアンバサダー』に認定される。

早速受験し見事一発合格。
小さな試験だが、やはり合格は嬉しい。

履歴書に書けるかは不明だが、とりあえず資格が1つ増えた。今まで受けたあらゆる資格試験のなかで、最短取得した資格である。

合格すると、こ

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初めての道

初めての道

開通してからすでに30年近く経つ東京湾アクアライン。

先日、初めて自動車で横断する機会があった。

最近、自動車そのものに乗らない生活をしているので、仕事とはいえ久しぶりに自動車に乗るというだけで子どものように嬉しくなった。

後部座席に座り出発。

通り過ぎる街を眺めているうちに高速道路へ。

数ヶ月ぶりに乗った高速道路を一気に駆け抜ける。

以前は100キロ近いスピードで走り続けることが快適

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ネームがなかった白い傘

ネームがなかった白い傘

2月らしい寒さに震えながら、傘を持って出勤する憂鬱な朝。

ただでさえ荷物が多いのに、さらに荷物となる長い傘は正直持ちたくない。

そこに電車遅延まで加わる『弱り目に祟り目』な日。

こんな日は、小学生の時、新しい傘を持って登校した日のことを思い出す。
その傘は白くて、広げると全体的に内向きに広がる可愛らしい傘だった。

当時、小学校では『傘はたたんだ後に必ずネームで留めてから傘立てに入れること』

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魅せられる味

魅せられる味

特に外食が好きという訳ではないが、たまに行くスパゲッティ屋さんがある。

このお店、とても長く続いていて、土・日は表に行列が出来ていることもある。

よくこの前を通るのだが、平日の夜など、表に人が並んでいなくて店内に余裕がありそうな時、気が向くと私はフラりと立ち寄る。

何十種類ものスパゲッティのメニューが並んでいるが、私が注文するメニューはいつも決まっている。

いくつか試してみて、そのメニュー

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お声がけ

お声がけ

誰かに声をかけられた気がして何気なく振り向くと…

珍しい人から声をかけられたなと少し驚きながらも思わず微笑んでしまった。

これは、ある習い事の教室でのこと。

声をかけてきた彼女は、私より先に習い始めていた。
つまり『先輩』である。

通い始めて一年半あまりだが、彼女とは挨拶くらいしかしたことがなかった。

その教室には特に在籍クラスはなく、いつでも自分の都合の良い時に自由に行って良いことにな

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名作は形を変えて

名作は形を変えて

衝撃的だった最後の一文。

見事なまでの展開、殺人計画の動機、計画そして実行。

本格ミステリー『十角館の殺人』。

某新聞の週間ベストセラーに掲載されていた同作品。

40年近く前の作品なのに、今もベストセラーに輝く。

ミステリーの女王アガサ・クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる物語。

携帯・スマホがない、使えない状況で起きた連続殺人事件。

今年3月、実写化されると話

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充電スポットを求めて

充電スポットを求めて

何事にも対応策はある。

先日、スマホの充電をしようとしてハッとなった。

充電器のプラグがない!

最後に充電したのは会社でだった。
充電後、ケーブルだけ抜き、プラグはコンセントにはめたままにしてきたことに今頃気づく。

困ったことに金曜日の夜だった。
土・日の2日間を何とか乗り切らなければならない。

真っ先に思い浮かんだのは、携帯キャリアショップに出向くことだった。
とりあえず、残り18%の

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