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初雪とホームシック|カナダ高校留学日記 Vol.17

オンタリオへの旅行からPEIに帰り、1週間分の遅れを取り戻そうと必死に学校生活を送っている最中、11月中旬の夜に初雪が降った。

日本で体験した手で触れた瞬間に溶けてしまうような雪ではなく、半ばヒョウのような雪だったため、すぐに地面に積もった。

次の日の朝起きてみると一面銀世界が広がっていて、わくわくしながら登校した。

その週の気温はほぼ毎日マイナスで、その後も何度か雪が降った。

近くの川に行くと、浅いところは水面が凍っていた。

11月とは信じられない天候で、既に日本から持ってきた中で一番暖かい上着を着てしまう始末。

落葉樹も皆葉が落ちて裸ん坊になり、日が暮れるのも早くなり、いよいよ冬の訪れを感じた。

近所の家々はクリスマスのライトアップを始め、こちらの家でもでも屋根にライトを取り付けたり、徐々に準備を始めている。


雪が降り始めたのと同じ時期に、こちらに来てから初めてストレスの限界を経験した。

挫折と言えばかなりの回数あったが、ここまで落ち込んだのは久々だった。

ホストファミリーと隣に住むホストファーザーの家族と一緒にゲームをした土曜日の夜、遊び終えてベッドに入るも何故かなかなか眠りにつけず、その時突然、得体の知れない不安や悔しさがこみ上げてきた。

色々とストレスがたまっていたのだと思う。

涙にすらならない感情を音楽を聞いて抑え込み、深夜に何とか眠りに落ちた。

次の朝ももちろん気分は良くならず、教会には行かないとだけホストマザーに連絡し、しばらくベッドで過ごした。

頭痛もあったので薬を飲むと徐々に回復し、1日が終わる頃にはかなり元気になっていた。


月曜日学校に行くと、これまでにないくらいに活動的でおしゃべりになっていて、笑って楽しい1日を過ごせた。

しかしそのハイテンションが急降下の前触れだったのか、月曜日にエネルギーを使い切ってしまったのかは分からないが、火曜日は逆にこれまでにないくらい気分が落ち込んでいた。

1週間は元気で過ごせそうだと月曜日に安心しきってしまっただけあり、前日との大きすぎる気分の差に不安を覚えながらも何とか学校での1日を乗り切る。

ふらつきながら帰宅しベッドに寝転ぶと、だんだんと抑えつけていた不安が姿を現し、思わず泣きたくなってしまった。

とりあえずシャワーだけでも浴びようとバスルームに入ったものの、そのまま座り込んで号泣してしまった。その後も涙はなかなか止まらず、ホストファミリーとの夕食以外の時間は、自室の明かりを暗くして満足いくまで泣いた。


日本の友達からもらった手紙を何度も読み返して涙している内に、ホームシックになっていることにも気づいた。

優しくしてくれている友達はたくさんいても、何年もかけて築いた日本の友達との友情にや居心地の良さに勝ることはやはりなかなかない。

加えて言語的にも性格的にも自己表現が上手くできないがために、無意識のうちに寂しさと孤独感を溜め込んでいた。

著者:ぴーなっつ
新しい世界が見たい。新しい自分が知りたい。そんな思いから留学を決意し、長年の憧れだったカナダ・プリンスエドワード島にて10ヶ月間の高校留学を経験。留学先での新たな出会いや気付き、挫折や失敗、そして苦難を乗り越えて手にした成長など、人生を変えた10ヶ月間の日々を綴ります。