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叫びの造形【山川冬樹】

現在SNOW Contemporaryで展示されている山川冬樹の《Frozen Screams 凍れる叫声》。先に公開された水戸で作品を見た。

この出入り口も作品。通る度にドキドキする


展覧会で作品を見る機会も多いのだが、山川のライブに行ったことがある。
「ホーメイ」は遠くの人に情報を伝えるために発達した歌唱法(発声法に近いかも)で縁遠いように感じるが、日本においてはモンゴルにはない多様な表現が発展したそうで、ホーメイのコンテストで優勝する日本人も多いという。確かに聞いたことない音楽というか、表現で結構面白い世界であった。
山川はモンゴルに行ったとき、飼われていた羊を山川に提供するために屠殺した体験を話していた。鼓動に合わせて照明が明滅し、山川の脳天に響くような、直接脳に訴えかけてくる音楽が印象的であった。

映像作品とは親和性の高い彼が、オブジェクトを制作するのに興味があった。

触りたくなるほど魅力的だけど触るのはNG

真っ白な砂がカンバスの上に撒かれ山を成しており、そこに振動が伝わって波紋を作るというのがこの作品の元になっている。
キャプションも結構ショッキングなものもあってその叫びの振動を作品化している。

音は見えないし、アートのような残り方もしない。
舞台芸術はその一過性の芸術性や時間の共有が価値の一端を担っている。
しかしこの作品は違う。
見えるし残っている。
しかも悲痛な叫びや社会的なメッセージを孕んで。


※私が本作を見たARTS ISOZAKI

※現在作品を展示しているSNOW Contemporary


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