【韓国文学】어떤 섬세함 - 이석원 (2023)
어떤 섬세함 - 이석원 (2023)
難易度: ★★☆☆☆(中級基準)
前回の記事で触れたように、これを読む前、私は鬱症状に悩まされていました。
毎日毎日を刺激的に過ごしたかった以前の私と、喜怒哀楽をできるだけ抑えて無感情で自分を守ろうとする今の私が混在し、何がしたいのかわからなくなっていました。
大好きだった韓国。
年末に人に会う約束を取り付けたので数日旅行に行ったのですが、大好きだったからやりたいことがあったはず、食べたいものがあったはずなのに、あまりよく分からない。何から始めていいのか分からない。
例えば、まずホテルから身支度をして出ても、どこに行ったらいいのか分からない。ホンデに色々あったなあと思い出しホンデに行ってみるも、電車から降りたらどこに向かえばいいのか分からない。駅構内で立ち尽くして携帯で「ホンデ やりたいこと」などと検索し、自分は「カフェに行きたい」や「買い物をしたい」も特になく、気づいたら改札前の柱に寄りかかって携帯をいじったまま30分が過ぎている。
そんな時に出会えた本でした。
江南のCOEXにある本屋さんにふらっと立ち入った日。
山積みになっていて、1〜2冊購入されて少し見えにくくなっていたこの本。
まるで、観察眼の鋭い作者のような人を探しているようでした。
この本は、<보통의 존재>などで売れっ子になった이석원作家が、日常生活で見聞きしたことを日記のようなエピソード形式で紹介している本です。
心に響いたのは、'어떤 이의 꿈'の章。
映画『サムジングループ 英語TOEICクラス』に出てくる女性たちは、TOEIC600点で代理職になれるとの約束を信じ、英語を勉強します。でも彼女の中には、代理になってこれと言ってやりたいことがあるわけではない、という人もいるかもしれない。これと言ってやりたいことがなくても、大卒の男性陣の世話焼きや靴の管理はしなくてよくなる。それを目指しているのではないか、という話です。
この章中の「『やらない自由』はやりたいことの実現よりもずっと重要だ」という言葉が妙に響いて、今までの消極的な自分の行動が腑に落ちました。
1文1文は詩よりは長いですが、難しい単語も1文に1〜3個ほど(수발을 들다:世話をする、심부름:使いっ走り など)しかなく、非常に読みやすいです。
また、作者の日常からの気づきを題材にしているため、とても親密感があり没頭できます。
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