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カウンセリングが何の役に立つのですか?と問われたら

誰もがそわそわと気ぜわしく落ち着かない年の瀬である。

だから,メンタルヘルス業界の業界人にとっては,メンタルの調子が崩しやすいハイシーズンの1つの年の瀬は要注意になる。

先週当たりなんて陰極まって陽となす冬至だったから,落ち着かなさがマックスで,おかしな様子になっていた。

臨床心理士の資格更新も4回目を数えると,相手の言うことにギョッとはするけれども「まぁそうだよねぇ」とギョギョっと応じることができるようにはなった。

わたしにとっては,当たり前のことでも相手にとっては当り前でないことなんてたくさんあるから,そこを丁寧にご説明するのも業務の1つ。

とはいえ,小学校・中学校の義務教育課程にスクールカウンセラーが初めて配置されたのが1995年で2019年には中学校で約97%配置されて,ほぼ全校配置になっている。

わたしもスクールカウンセラーを10年近くやっていたけれど,「カウンセリングルームに行く人は心が弱い」とか,そこらへんの誤解を少しずつ心理教育していくところから始めた学校もあれば,既にスクールカウンセリング文化が育っている学校もあった。

働く人のメンタルヘルスもそうで,事業の規模で産業医やメンタルヘルスのチェックも決められているけれど,社内評価に関わるとか,いろいろな憶測で利用をためらう人も未だにいる。

「わたしは大丈夫」

そう言う人に限って大丈夫ではなくて,むしろ「メンタルヘルスが弱めかも」と自覚している人の方が先手を打っていろいろとメンタルケアサービスを利用してメンタルの健康を保っていたりする。

だから,「どうしたらこんなにこんがらがるの!もっと早く相談してくれていれば」という厄介なケースばかりがスクールカウンセラーの元にやってきたりする。

で,しぶしぶカウンセリングルームに送り込まれた相手が言う。

「カウンセリングして何の役に立つんですか?早く教室に帰りたいんですけど!」

「うんうん,確かにそうだよね。わけがわからない不安が相手への先手の攻撃になるんだよね。やられる前にやれ!のストレス因への闘争反応で,自律神経の反射だね!」

なんて説明して理解できる相手だったら生理学的に説明するけれど,そうでない相手だったらこう言う。

「でもカウンセリングは義務でもないし強要もしていないけれど,ここに来たってことは,あながた何かしらの気がかりがあって,ここに来たんだよね?少しおしゃべりしてもいいんじゃないかな?」

「だって,喋っているだけじゃないですか。お喋りなんて無駄ですよね」

いやいや,ただ喋っているだけにみえるかもしれませんが,あなたがお話しやすいように場を整えていますし,こうしてやりとりをしながら,実は水面下であなたの神経回路を整えているんですよ。

神経生理学では,それを「神経回路を貸す」って言うのだけど,呼吸したり,姿勢を保ったり,見えないところでわたしたちの体は生命の維持をしていて,中でも自律神経回路を通して,わたしたちはやりとりをしている。

だから,心理士はおしゃべりしながらも神経をそばだてて,クライエントの安全安のためにめっちゃ働いているんですよ。

親と子の温かなやりとりに似ていて,公園で子どもがお砂場で遊んでいる時に親はベンチで子どものことを見守っているのと同じ。そして,子どもが「ママ見てて」と声をかけ時に,「なになに」と一緒に見たり応答することと同じ。

ただ子どもを「見ている」のではなく,「見守っている」。親は子どもを見守りながら,そして子どもは見守られていることを経験して,側にいてもらい見守られる安心感を得る。

これらのお互いのやりとりを「協同調整」というのだけど,カウンセリングも同じ。

言葉だけがカウンセリングではなくて,「ただ側にいて場を共有する」それも心理セラピーだ。

セラピー(療法)を受けることは,弱いことではない。

誰だって不調になるし,体と心は繋がっている。

体が先に不調になって,その後,心も不調になるように連動している。

だから「眠れていますか」「食べられていますか」と,心理士は聞く。

東洋医学では健康体でもないけれど病気まではいたらないモヤモヤした状態を未病という。

自覚のない不調は,未病に近いかもしれない。

積もり積もった不調が未病段階でとどまっていればいいけれど(いやよくないけれど),心のダムが持ちこたえられずにドッと決壊してしまったらどうするのだろう。

人は自分のことは見えないもので,わたしとて自分のことは全部はわからない。そんなの誰でもわからない。

だから,対話や非対話を通して心を解読して回復を伴走する心理士がいる。

ここからは,ボヤッキー。

でも,対話の有益さを理解できない相手にカウンセリングのイロハから心理教育の必要性を教育する,ゼロを1にする作業ってやっぱり疲れる……。知識のベースがない相手に神経系を全力で投入して応戦しているからめちゃくちゃ疲弊するのにわかってもらえない虚しさって,なんだかモヤっとくるわ……。


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論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。