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【コラム】「物語づくり」が、文系マーケターの武器になる!

■ショートショートとマーケティングが繋がってきた

昨年夏に開催されたnote公式コンテスト「2000字のドラマ」での受賞をきっかけに、僕はショートショートを継続して書くようになりました。

受賞は正直、「運だろうなー」と思っています。バットを振ったらうまいこと真芯を喰って、これまたうまいこと程よい角度で打球が上がっただけ。再現性がないですからね。つまり2度同じことができない、少なくとも今の僕には。

ただ運にせよ得難いキッカケです。だからあの時のホームランを再現できるよう、「物語づくり」の力を鍛えていくことにしました。脚本や小説に関する本を読んだり、他の方の作品を参考にさせていただきながら、ひたすら作品を書いていくようになりました。それが去年後半のハイライトです。


しかしそれらはあくまでプライベートでの活動であり、本職の広告プランナーとしての仕事とは切り離して考えていました。
ワークとライフ、昼と夜。ふたつは違う世界の出来事。

ですがショートショートを書き続けている中で、「物語をつくること」と、仕事で携わっている「マーケティング」が、なんだか繋がってるように思えてきたのです。
(僕の肩書きは”プランナー兼ディレクター”ですが、マーケティング領域にも深く関わっています。『IMSSA認定マーケティング実務士』という資格をちゃんと持っていたりもします)

特に僕が「あ、俺変わったな」と思ったのが、仕事でカスタマー分析をする場面。集めた情報やデータをもとに「カスタマーはこんなことを考えているのでは」ということを議論するのですが、その時の発言力がめちゃくちゃ上がってきたのです。

「こういう性格の人ならこういう行動を取るんじゃないすか?」とか、「このカスタマーは奥にこんな欲求を持っているのでは?」とか、ターゲットに関する考察が気持ち良く出てくるようになりました。

考えてみるとそりゃそうだよなーです。
リアリティを持って人の言動を想像する」という思考回路は、物語づくりで近ごろ頻繁に使っている部分ですから。


■ターゲット理解力を鍛えられる「物語づくり」

マーケティングで「人間心理を深く考えること」はとても重要。
そんなこと分かってはいるのですが、普段の業務ではどうしても表層的な傾向だけの会話になりがちでした。「この層の人たちは自己表現に対する投資を惜しまなくて〜」とか、そんなレベル。
自分ではない人間がどんな場面でどんな行動をするか、どんな感情を持ってどんなことを言うか、そこまで具体的にイメージする力ってなかなか鍛えられなかった。

しかしショートショートを書く時には、設定した主人公や登場人物がどんな行動をするか、どんな発言をするかまで、リアリティを考慮しながら考えます。考えまくります。
(いろんな書き手がいると思いますが、僕はこのような「心理的リアリティ」を物語づくりの大切なテーマにしています)

そしてこの積み重ねがマーケティング業務で、特にターゲット理解を深めようとする際に、めちゃくちゃ効く。これは思わぬ発見でした。

ニーズの多様化で、近年のマーケティングでは一人のターゲット像をより具体的に捉えることが大切になってきています。それがショートショートづくりで鍛えられる。なんという一石二鳥なことをやっていたんだ俺は!

日本を代表する脚本家・坂元裕二さんは、学歴や趣味など人生の全部をってくらい徹底的に登場人物の設定を考え抜く、という話を聞いたことがあります。そうすると、頭の中で登場人物が勝手に動いて話し出すのだとか。そうやって出てきたセリフはめちゃくちゃリアリティがあって、かつ人間臭くて愛らしい。
これもペルソナマーケーティングに近い考え方ですよね。近いというか究極のカタチですねもう。


■「物語づくり」を文系マーケターの強みに!

少し前に、マーケター森岡毅さんの『確立思考のマーケティング』という本を読みました。マーケティングを徹底的に科学して数式に落としこむ。圧巻でした。すげえなあと思いつつ、ちょっとションボリもしました。「マーケティングってやっぱ理系脳の人のもので、文系脳には不利なのかな…」と思ったからです。

しかし最近ショートショートを書き始めて、文系脳の強みを感じるようになりました。
理系学問が主に”物”や”自然”を対象にしている一方、文系学問は”人”を対象にしているものが多い。だから「人間心理を追求する力」は、文系マーケターだけでなく、多くの文系ビジネスマンの強みになると思います。そして「物語づくり」ほど、この力を集中的に鍛えられるものはないのではないでしょうか。


「物語づくり」は文系マーケターの武器になる!

この理論、なかなか可能性がありそうな気がしてきました。もう少し深く掘っていけば、僕のような文系マーケターだけでなく、物語づくりを趣味にする方々の素晴らしいスキルも、ビジネスで役立てられるようにもなるかもしれない。

なので、ショートショートを書きつつ、この論をもう少し展開してみたいと思っています。


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2022/01/08 追記

もう少しつっこんで、「インサイト」について書いてみたので、こちらもよろしくお願い致します!


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