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「聞く気」になる電話のかけ方

売れない営業電話

休日、机に鏡を置いて化粧をしていた。

携帯が鳴り、画面を見ると知らない番号からかかっている。

なんの気もなしに電話に出ると電力会社の営業電話であることがすぐにわかった。

電話の相手は女の人で、若めな印象、優しい印象を受けた。


「お世話になっております、わたくし〇〇電力のサトウと申します。本日は弊社の新しいサービスについてお話がありお電話差し上げました。カスミ様(本当は苗字)、いま少しお時間よろしいでしょうか?」


丁寧で、ゆっくりと言葉を発する人だった。


わたしも仕事ではこういう風な営業電話をかけるし、かける側の気持ちも理解している。

いや時間ないんで…って言われたら少し凹むものだ。


「大丈夫です」と言うと、その電話先の女性は「ありがとうございます」と言い、すぐにサービスの紹介を始めた。


このサービス紹介が非常に長かった。


わたしはほとんど相槌を言葉を出さず(出す暇がなかったのだ)、無言でひたすらサービス紹介を聞いた。 


その時間、6分。

女性は一方的にサービス紹介をし、6分30秒後くらいになってからやっと「…で、ワタガシ様はこういったことはお考えだったりされますか?」と聞かれる。

6分も喋ってやっとお客様への質問があるのか。


社会人2年目の営業マンが言うのもアレだけど。これじゃ全然売れないよ、、、。


💋


ひとは自分のことしか興味がない

「他人の骨折より自分のささくれ」という言葉を知っているだろうか。

相手の立場になって考えよう というのは耳にタコが出来るほど聞いていると思うが、結局そんなのは無理なのである。ひとが興味を持つのは大体にして自分であり、他人ではない。

これを念頭に置いておくのと置かないのとでは、営業電話をするにしてもやり方が全く変わってくる。


先ほど紹介した電話先の女性は「自社の新サービス」を先に紹介し、それから「お客様の考え」を聞くという流れで話をしていた。

わたしはザ・営業会社で電話をかけアポイントを取る業務をしているが、会社でこんな営業電話をしたら「そんなんじゃアポ取れないよ」と叱られるレベルだ。


お客様は基本的に「聞いてほしい」のである。

自分たちの会社を、ひいては自分のことを「聞いてほしい」「気にかけてほしい」と感じているものなのだ。

それなのに一方的にサービス紹介をしたところで、(ピンポイントで欲しい商品でもない限り)「結構です」となるだろう。


電話では相手のことをヒアリングする

基本的すぎるかもしれないが、BtoCの営業電話をする企業では浸透していないのかもと感じたので、
自分の復習も兼ねて電話コールで気をつけていることをまとめてみたい。


①なんの電話なのかを端的に話す

日本語は分かりづらい。述語が一番後ろにくる言語(韓国語と日本語など)はまわりくどく、

「で、結局なにを話したいの?」と言われることが会話でも多い。

営業電話は迷惑がられるのもわかった上でかけているのだし、

最初はしっかりと電話をする「目的」を伝える必要があると思う。


「本日は新サービスのお話でお電話さしあげました」

「お客様が今お使いの携帯電話をよりお安くお使いいただけるプランをご紹介したく・・」

「一度ご挨拶にお伺いしたくお電話しました」


ちなみに最後の文はわたしがよく使う。カウンタートークだと思うけど、この単体のワードだとなかなかアポイントはとれなかったりもする。

そこでアポをとるためにはまだ聞くべきことがあるのだ。


②サービス紹介よりも、お客様の現状理解

商品紹介は最初にするものではない。お客様の現状を聞いてから、「あれ、そういえばうちにあるこんなサービスがちょうど課題を解決できそうですねぇ」なんて放り込むものが商品紹介である。

最初に重要なのは、そのお客様が今なにを使っていて、なにで困っているのか、なにを欲しいと思っているのかを聞き出すことである。

相手がなにを欲しがっているのか知らないうちに自社商品をPRするのは良くない。

『先に言わせる技術をつける』ことが重要だ。

商品紹介をしたあとに「いや、困ってるのはそれじゃないんですよね・・・」とか言われたら、商品を買ってもらえる可能性は低くなる。

まじか、ミスったぞ!!!ってなり、慌てまくってしまう。

だから自社商品なんて紹介するのは後回しにして、先にヒアリング。

BtoBでもBtoCでもここは変わらないだろう。


③思う存分話させてからPRする

お客様の困っていることを聞けたとして、たくさん話してくれるひとがいるとする。その場合はメモをとりながらお客様の情報を聞けるだけ聞き、話させることが重要だ。

で、このときに、お客様の感情としては、たくさん話しちゃったな・・と思ってくれるので、こちら(会社側)の商品紹介を聞いてあげなきゃいけない心理状況となっている可能性が高い。

ここでちょこっと商品紹介をするのだけど、ただ話せばいいというわけではなく、さっき聞いた課題を解決できそうなポイントのみ話す。

商品自体のメリットはたくさんあっていいけれども、個人個人にヒットするメリットはそう多くない。

課題解決できるところだけを推し、あとは興味を持ってもらうだけ。

ここでもし興味を持ってもらえなかったら次!次!

最終的には電話をかける数が重要になるけど、最初よりもずっとお客様がこちらと電話する時間を多くとってくれているようになっていたらわたしは嬉しい。

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気持ちよくなってもらわなきゃ聞いてもらえない。

冒頭で例に出した電力会社のお姉さんが悪いとか言いたいわけではなくって、
(恐らくお姉さんは用意されたマニュアルを丁寧に必死に読んでいたのだと思う)
マニュアルを用意した会社の方針のほうが間違っていると思うのだ。

聞いてもらうには、まず相手のことを聞いてから。

これをするようになったら電話営業も受注確率が上がるのだと思う。



時代的に、電話をかけることが憚られるようになってきている。

電話はそのひとの時間を奪い、何もできなくなるからしないほうがいい、伝えたいことはメールかチャットで済まそう。

こんな流れが社会全体に起きている。

ただ、メールやチャットよりも相手の心を動かせるのは電話だと確信している。

電話の向こうの声を聞いて、こちらも話す。

無言にならない限り、電話は双方向のコミュニケーションツールだし、電話がきっかけで新しい取引が始まることは多い。

迷惑がられるかもしれないけど、どうせ話すなら確率を上げたい。

確率を上げるにはお客様を気持ちよくさせる必要がある。

それをするためにはまず、お客様に話してもらおう。

さっき電話をかけてくれたお姉さんがもし読んでいるのなら、次回はもっとたくさん話そうね。

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