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小学校3年生のころ あゆの和菓子と出会った

ーきっかけは家庭訪問だったー

どら焼きの皮みたいな生地にもちもちしたものが入っていて、鮎の形をしている和菓子のことを「若鮎」と呼ぶと知ったのは、つい最近のことだ。

若鮎との出会いは小学校3年生にまで遡る。


・・・


当時はまだ家庭訪問という文化があった。

(今もあるのかな?私の地域は小5くらいからなくなった気がする。)

新年度が始まって少し落ち着いてきたころだったから5月くらいだっただろうか。


担任の先生たちが近所を自転車で走り回っているのを見て、子どもながらに大変そうだなあと思った記憶がある。


我が家にも担任の先生がやってくる。

その年に来たばかりのちょっと恐めな男の先生だった。

一介の大人しい女の子にすぎなかった私、5月時点でそんな担任の先生とはもちろん親しくない。

特段深刻な話をされないことはわかっていても緊張する。

担任の先生が来て帰るまでの間、家の奥の方に隠れてじっとしていたような気がする。


・・・

そして玄関のチャイムが鳴る。

来た!!


母親が冷たいお茶を持って玄関に向かう。

そして話すこと数分。

(会話は全く聞こえてこなかった。)

(ビビリだから聞きたくもなかった。)

・・・

終わりの挨拶をして、先生が出ていく音がした。

ドアをそっと開けて玄関の様子を見る。

「終わった?」

小声で母親に聞く。

「終わったよ。」


何もしていないのに達成感まじりの安堵のため息をつく。

と、そこに、お盆の上に置かれたお菓子を発見。

(ケーズデンキのちびまる子ちゃん並にめざとい私。)


よく見ると、それは見たこともない魚の形をしたお菓子だった。

「えっ、これどうしたの?」

「あーそれ、先生に出したんだけど、食べなかったやつだから食べていいよ。」

先生は保護者から物を受けとっちゃいけないと思って食べなかったのだろうか。

魚も和菓子もそんなに好きじゃないTHE・平均小学生だった私は、若鮎を前にしてもそこまで気分が上がらなかったものの、3時のふんわりと漂ってくる甘い匂いの誘惑に勝つこともできず、一口食べてみることにした。


ぱくり。

もちっ。

・・・

も、もちっ!?


ほんのり甘い若鮎を見たら、かじった部分に白いおもちが入っていたことに気づく。

(この時はまだ求肥という存在を知らない。)

どら焼きの皮みたいなのの中におもちが入ってたの!?

先に知りたかったおもち大好き人間。


てかどら焼きの皮ってよりもホットケーキかな?

こいつは和菓子の顔をした洋菓子な気がする。

(でももちが入ってるんだよなあ。)


こんなおいしいものを残していってくれた担任の先生、ありがとう!!という感謝の気持ち。


・・・


それからしばらくして、またあの若鮎が食べたいと思い、母親に買ってきてと頼んだ。

しかし「もう売ってなかった。」とのこと。

そこで初めて和菓子には時期があることを知る。


それから毎年初夏になると、和菓子屋さんの前に張り出されている若鮎のポスターが目に止まるようになった。

「今年も若鮎が食べられる季節がやってきた」と。


それから10年以上経った今でも、初夏になると母親は決まって若鮎を買って帰ってきてくれる。

母親の中で、私は一生若鮎が好きな娘なのだろう。


・・・

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