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⭐️【挫折】とか【劣等感】とか 由美(仮名、長女)の場合

※ヘッダー画像は #もときよりお借りしました
ありがとうございます



下2人を書いたからには、上も書かない訳にはいかないでしょう。
由美が長子です。


生まれたての赤ん坊は、赤くて皺だらけで目が腫れていて可愛くないと思っていたからびっくりした。
この可愛い赤ちゃんが本当に私の子どもなの?って、嬉しくて嬉しくて。



「モラハラ夫編」や「麻子」にも書いたけど、由美は何度も命の危機に遭っている。
脳内出血2回、DIC(播種性血管内凝固症候群)、阪神淡路大震災で家屋全壊、てんかん発作を起こし浴槽内で失神……
命に別条はないものとしては、生理不順、PMS、子宮筋腫、卵巣嚢腫、乳房にしこり、甲状腺機能亢進症、高中性脂肪……他にも書き漏らしてるかもしれない。

ノンフィクション モラハラ夫編⤵️

小説 麻子、逃げるなら今だ‼︎⤵️



明るく元気で活発だった由美は、脳内出血を境に、運動が苦手で小柄で消極的でかなり冷めた子になった。
麻痺というほどではないけれど、左脚が細く歩き方は今でもちょっと変。
他人からは判らない程度。



幼稚園にも小学校にも丸坊主で復帰。
嫌がる素振りは見せなかったけれど、強がりだったのかもしれない。
繰り返す脳出血の原因が判明したのは何年も後のこと。
脳動静脈奇形だった。
手術か放射線治療かの選択に、迷うことなく「もう丸坊主になるのは嫌だ」と由美は放射線治療を選んだ。



由美の体の中には、未だに頭から腹腔までカテーテルが入っていて、耳の後ろには脳髄液の流量を調整するダイヤルが埋め込まれている。
不要だけれど除去するには相当なリスクがあり、一生このまま。
背が伸びなかったのはカテーテルの所為かもしれないと、本気で思っている。



「奇形」って生まれつきってこと?
私の責任?
妊娠3ヶ月のとき、元夫Hが運転する車の助手席で交通事故に遭った。
心配をかけたくなくて、両親には言ってない。
Hからも義両親からも「病院に行った方が良い」と言われることもなく、事故後の受診はしていない。



病院へ行ったところで、胎児の脳血管の奇形なんか判る筈もない。
それでも由美には申し訳なくて「事故にさえ遭わなければ」「直ぐに病院へ行っていれば」と自分を責めた。
事故と脳内出血を結びつけると「責められた」と思うのではないかと、Hには話さなかった。



不登校とは無縁だった。
学校行事には「面倒くさい」、感動して泣くクラスメイトには「泣く意味が解らない」と斜に構えていた。
勉強も運動も「どうせできないから」と向上心を見せることはなかった。



中学で虐めの対象になったことがある。
由美の髪はサラサラのストレート。
ゴムで結えてもスルリ、ヘアピンで留めてもスルリ。
前髪が邪魔にならないように、細くて(幅約1cm)目立たない(黒?紺?)カチューシャを使っていた。
先生からも風紀委員からも注意を受けたことはない。
それくらい目立たない。
それがヤンチャな女子グループの目に留まった。



由美達の女子グループは、自閉症の男子生徒を自発的にサポートしていた。
男子生徒と同じ小学校卒というだけで先生受けを狙った訳ではないが、先生達は目をかけてくれる。
それがヤンチャグループの気に障った。
攻撃の対象となったのが由美のカチューシャだ。



「先生、私のカチューシャは注意するのに、どうして由美にはしないんですか?」という訳。
羽根飾りの付いたド派手なカチューシャと必要に迫られて使っている由美の目立たないカチューシャを比べられてもね。
19:30〜21:00(時前アポもなく)先生が自宅に来て状況を説明してくれた。
「あの子達も寂しいんですよ」と言われたけれど、知らんがな。
寂しければ虐めても良いという理由にはならない。



高校は「皆んなが行くから行く」、志望校は「今のままで合格できそうな学校」。
本屋の中で一番薄くて小さな参考書を買い、最低限の中学英語•数学を教え、理科も少し教えた。
作文のお題を考え、毎晩添削した。
塾には行かないし、家庭教師も嫌だと言うから仕方がない。

未だ置いてた、シミ•埃だらけ‼︎
断捨離すればって?
私のボケ防止になるかなぁ?なんてね



勉強したくないから大学には行かない。
働きたくないから就職はしない。
身につけたいスキルはないから専門学校には行かない。
将来の展望もないまま、消去法で短大に進学。



2年間で卒業ということは、1年次から卒業後の進路を考えなくてはならない。
何に対しても「どうでもいい」「何でもいい」と投げやりな由美の誤算。
「遅くとも年が明けたら直ぐに動かないと遅いくらいよ」と伝えたけれど、案の定、出遅れた。



やりたいことはないし行きたい企業はない。
そもそも由美が腰を上げた頃には、次々とエントリーが締め切られていた。
それでも学校推薦でT自動車の系列会社から内定をいただいた。
「そこで良いの?」と訊くと「面倒くさい、もう就活するのは嫌」と就活に終止符を打った。



短大時代と就職して何年間かは、一緒に映画やフェスやライブや食事に行った。
早く母から離れたくて仕方がなかった私とは大違いだな、と不思議だった。
家族と行動するより友人と行動する方が、断然楽しいと思うのに。
由美は友人には大して思い入れを持っていなかった。



ある日、映画に行く約束をしていた由美が、直前に「行かない」と機嫌悪く言った。
理由を訊いてもだんまり。
事前に行かないと判っていれば、別の人を誘えたのにと思いながらひとりで出かけた。
帰宅した私とも口をきかない。
「母とは接点ゼロ希望」はそのときから始まり現在に至る。



由美は就職してから毎月5万円入れてくれている、今もずっと。
短大の入学金と授業料全額も私に渡してくれた。
支給奨学金を受けていたから、返そうとしたけど受け取らない。
物もお金も私からは一切受け取らず、私が作った料理も食べなくなった。
自炊もしないから、同じ家に住みながら外食か買い食。



Hのことが嫌い過ぎて、由美が家を出ようとしたことが2回ある。
自宅(小規模な賃貸マンション)の隣室が空いたとき。
車なら国道や幹線道路へのアクセスが良く、バスの本数が多くて東西方向に同じ所用時間で別の私鉄線の駅に行ける。
でも毎日の通勤を考えたら、駅から徒歩圏の方が良くない?



2回目は内覧も済ませて、契約するだけの物件。
「雨の日に行ってみた?」「夜に行ってみた?」「公共交通機関で行ってみた?」いずれもNOだった。
消防車や救急車が通りにくそうな路地があったり、築浅の集合住宅なのに「木造2階建」で耐震•耐火に不安を感じた。



由美が選んだ物件に意見は言ったけど、家を出ることには一切反対していない。
このとき妹(由美と仲良し)も側にいて一部始終を観ていて、私とは意見が一致している。
それでも由美は「2回も反対された」と、私だけを恨んでいる。



ゴミと一緒に握っていた硬貨を、由美がゴミ袋に落としてしまった。
45L袋に、8割りくらいプラスチック包装容器が入っていた(生ゴミやティッシュは入っていない)。
「一緒に捨てないように気をつけようと思ってたのに」と笑いながら500円玉1枚を捜し出し「もういいわ」と諦めた。
「全部回収できたの?」と訊いても返事はない。
やめときゃいいのに3回訊いてしまった。



「渡されても受け取りませんからねっ‼︎」と大きな声が返ってきた。
私が訊いたのは「全部回収できたかどうか?」であって、それ以上のことは訊いていない。
「そんなことは一言も言ってないよ。『YES,NO』で返事してくれたらいいだけよ」と言ったら激昂した。
Hもそんな人だった。



「そういう絡みがウザイんですっ‼︎
会話は望んでませんっ‼︎」
その後は「イライラする」という独り言と「はぁ〜」というため息をたっぷりと聞いた。
翌朝は「むかつくっ‼︎」と言って仕事に出かけた。
これね、つい最近の話。



由美の記憶の中には「ウザイ母親像」ができ上がっている。
以前「幼い頃、泣くと口の中にスヌーピーのタオルを詰め込まれた」と言っていた。
そのタオルは厚手のスポーツタオルで、大人の口でも入りきらないのに。
「幼稚園の頃からずっと死にたいと思い続けてきた」と言っていた。
私は笑顔の由美を知ってるし、写真だって、「大好き」と書かれた手紙だって持っている。



職場に嫌な人がいても、嫌なことがあっても、忙しくても「転職が面倒くさい」という理由だけで辞めない。
昭和な社風で、さぞかしストレスが溜まっていると思う。
あり得ないほどロングスリーパーなのは、実はうつ症状なのではないかと疑っている。



仕事から帰宅して買ってきたもので夕飯を済ませるや「眠くて堪えられない」と仮眠。
アラームが鳴っても止めて眠り続ける。
深夜に目覚め第一声が「眠い〜」。
入浴することもあれば、そのまま眠ってしまうこともある。



休みで外出予定のない日など、昼過ぎまで眠り「眠い〜」と起きて、簡単に昼食を済ませると「眠い〜」と眠る。
夜に「眠い〜」と起きて夕食を済ませると、「眠い〜」と眠る。
ぶっ続けで16時間くらい眠る日もある。
子どももびっくりの睡眠時間。


入眠には10〜15分程度要するのが正常で、枕に頭をつけるや眠るのは「睡眠不足の証拠」と専門家は言う。
由美は横になるのと入眠がほぼ同時らしい。
「うつらうつら」という状態はなく、常に「ぐっすり」という体感らしい。
耳元でアラームが鳴っても聞こえていないらしい。
何時間眠っても眠いらしい。



睡眠障害経験者で今でも服薬して眠っている身としては、足して2で割りたいくらい羨ましい。
ストレス症状だとしても、由美が辛くないのならこのままで良いのか?
いや、どこか故障してるでしょ、きっと。





今や仮面家族となり、母には寄り付いてくれない3人の子ども達。
それでも母は子ども達に大絶賛片恋中。
小学生くらいのときから言い続けてきたのは、「いつ何どき、どんなことでも相談にのるから母には遠慮なくSOSを出せばいい」「たとえ味方がいなくなっても、母は最後まであなた達の味方でいる」「自分の幸せか母親かを選ばなければならないなら自分の幸せを選びなさい」。



こういうことを常日頃言ってたから「ウザイ」のかもしれない。
「自分が育ったようには、育てたくない」と思って接してきたけれど、子ども達には伝わらない。
3人ともHのことが大嫌いで、Hと離れるのに時間を要した私を気に入らない。


でもね、覚えておいて。
生きているだけで良いよ。
母より先に逝かなければ良いよ。

鮮やかなローズベゴニア



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