深夜のかりすま名画座:映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~

映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~

 春日部にて多発した、人々が我を失い暴れる事件。狂暴化した皆が「ラーメン食わせろ」と口を揃え、それを見たラーメンチェーン・ブラックパンダの面々は不適な笑みを浮かべました。
 春日部にある中華街アイヤータウン。この街でマサオくんは「ぷにぷに拳」というカンフーを習っていました。一見するとおバカな拳法ですが、極めると人々の心を癒す奥義を得られるらしく。その力を以てかつての戦乱が収められた事が伝説として語り継がれていました。
 しんのすけ一行はマサオくんに誘われ、また伝説上の奥義が「ビームみたいで格好良い」という理由からぷにぷに拳に入門します。
 しんのすけたちは道場にブラックパンダ傘下の地上げ屋がやって来た事で、彼らの野望を偶然にも知ってしまいます。

 映画クレヨンしんちゃんとしてツボを押さえている印象です。
 おバカ満載でエンディングは「そんなのアリか」という力技。然しその一方でテーマが明確で、シリーズの良さを損なわせず尚且つ無難過ぎない、制作者の熱量を感じられる作品でした。
 本作の特徴としては分かり易く、勧善懲悪の否定が描かれています。
 宿敵ブラックパンダの利己主義に対し、ある人物が自らの正義を過信し「白か黒か」「臭いものには蓋をせよ」という方向に暴走します。”正しさ”を追求する程に敵が増え孤立して行く。この場面は視聴した子どもたちの印象に強く残ったのではないかと想像します。
 作中ではマサオくんが周囲への劣等感に悩み、自分なりに考えて「上手く行かない」「他人より劣っている」事に対する向き合い方を見つけます。それが結果的に”正義の暴走”への対抗手段として、展開上で最も重要な鍵となりました。

ぷにぷに拳の真の奥義は「ぷにぷに真掌」でなく「ジェンカ拳」

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