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【マサイの薬草の知恵】~マサイの伝統文化体験スタディツアーのウォーキングサファリから~

マサイは自然界に存在するありとあらゆる植物を様々に活用しながら生きていて、その多様な活用方法にはいつも驚かされる。
マサイの伝統文化体験スタディツアーでは、マサイの長老ジャクソンさんと、その助手の若者と共に自然の中を歩き、いろんな植物や昆虫、動物などを見せて解説してくれる。これはツアーの醍醐味のひとつだ。
私はいったい何回案内してもらったかわからないくらい、何十回も、いやそれ以上かもしれないくらいこのエリアを歩いているけど、いまだに新しいことを教えてもらって感動したり、感心したりしている。

で、この近隣には病院はなく、獣医だっていないのだけど、彼らは自分自身で病気を治療し、予防もして、ありとあらゆる植物から薬を作り、その知恵を次世代へと伝えている。これは、ただ単なる腹下しとか風邪とかそういうレベルの日常的な不調だけではなく、マラリアとか腸チフスとか、ライオンに襲われた傷とか骨折など、かなりの重症であっても何もかも対応できるからこれまた驚く。

今回、2月のスタディツアーで私が見せてもらった植物で、マサイのマー語で「オサララ」という植物、その薬効効果の高そうな味にまずは驚き。何しろ、ビックリするほど苦い!なめるだけでも苦い。それを噛む。ほんのちょっと噛んだだけでもゲーッと吐きそうになるほど苦い!こんなにちっちゃい葉っぱなのに。

で、このオサララを活用する方法はいろいろあって、まずはマラリアの特効薬。マラリアの症状に苦しんでいるとき、このオサララをたくさん取ってきて、叩いてつぶして、水につけて、その水を一気に飲む。そうすると、カーッと体の中の毒がすべて体外に出るくらいに吐きまくり、その末に熱が下がってマラリアが治るのだと。

このオサララはこんなに苦いのにヤギが大好きなのだそうで、なるほど、マサイはヤギを屠殺したときに胃袋を取り出してその残留物を絞り、胆汁を混ぜ、マラリアの予防薬や治療薬として飲んでいたが、オサララもそこに混ざっているのかもしれない。

そして、このオサララは、虚弱体質の赤ん坊にも効くのだそうだ。生まれてすぐの新生児で、お乳を飲む力が弱く、生きる気力がないような赤ん坊には、まずはこのオサララを黒く焦がして炭にして、そこに牛乳を煮詰めたときに上に出てくるクリーム状の油を混ぜ、それを赤ん坊の口に入れて食べさせると、そのあとで食欲が出てきて母乳を良く飲むようになるのだそうだ。

つい先日、私はモンバサ近郊ミリティーニ村で私たちの子どもの家ジュンバラワトトで新しくレスキューした子どもたちがいたのだけど、(そこはドゥルマ族の村で、開発により自然は失われている)、その6人の飢餓状態の子どもたちのうち、末っ子の6か月の赤ちゃんは、たった4kg弱しかなくて目だけが大きくらんらんと輝いていたがガリガリだった。このマサイの虚弱体質の赤ちゃんを救う薬の話を聞きながら、その子のことを考えていた。その子の姿がずっと私の脳裏に焼き付いて離れない。

自然があれば、人間に必要なものもすべてを与えてくれる。その知恵を大切に生きてきたマサイにとっては、この大自然の中で牛と共に生きる暮らしをこれからも永遠に送っていきたかったのに、もうそれができない状況は刻一刻と、ひしひしと押し寄せてきている。

ジャクソンさんたちのマサイの大地は、まさに最後に残された奇跡の楽園といっていい。マサイにもたくさん様々なグループがあって、私はそのいろいろな地域に行ったけど、ここは本当に最後の最後のサンクチュアリと言えると思う。

そんな貴重な自然体験や伝統文化の中に生き続ける知恵を、是非体験しにきてください!

【マサイの伝統文化体験スタディツアー、今後の日程】
●3/14 レクチャー & 3/15~3/17 マサイ村
●8/2 レクチャー & 8/3~8/5 マサイ村
●9/21 レクチャー& 9/22~9/24 マサイ村

参加希望の方は私か永松真紀さんにfacebookのメッセンジャーでご連絡ください。Messengerに参加者スレッドがあり、そこに加えて詳細をご覧いただけます。

早川千晶のfacebook
https://www.facebook.com/chiaki.hayakawa1/
マサイ第二夫人・永松真紀さんのfacebook
https://www.facebook.com/maki.nagamatsu.1

★この写真は、オサララと、オサララを噛んで苦い顔をしているジャクソンさん。

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