chiko

職業は、保育士です。

親を許す事がゴールじゃない③

いつか母は私に言った。
「おばあちゃんは私よりカズちゃん(母の妹)の方が可愛いと思ってる」と。
その時の母の寂しそうな横顔が忘れられない。

母は二人姉妹の長女である。
妹が生まれた日から母親の愛情は全部、妹の方へ向けられた。そう思っている心の傷が、今でも母を苦しめているのだ。

「自分は愛されない存在だ」
そう思っている母は、娘を上手く愛する事ができなかった。
そして娘である私にも自分は愛されな

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親を許す事がゴールじゃない ②

セラピストの先生に今までの事を話した。
誰にも言えなかった家族の事を口に出した。
口に出すのも嫌だった事を言葉にした。

涙が止まらなかった。

今まで、誰かに話した時、勝手に判決を下される事の方が多かった。「良かったね」「ダメだね」「もっとこうした方が良いよ」「考えすぎ」って言われる度、私の気持ちは誰にも分かってもらえない。私は普通じゃないんだ。という気持ちが確信に変わっていった。

話を聞いて

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さっちゃん、元気ですか?

小学生の頃、音楽の教科書に坂本九の「上を向いて歩こう」が載っていた。授業で歌った日の帰り道、いつも一緒に帰っていた“さっちゃん”という友達がこんなことを言っていた。

「涙がこぼれないように上を向くって、あれ、おかしいと思わへん?だって、
上を向いたら、目の端っこから涙がタラーって流れるもん。そしたらね、皆んなに泣いてるって、バレるやん?涙がこぼれそうになったら、すぐ下向くねん。下向いたら、涙が丸

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親を許すことがゴールじゃない

「お母さんが、思うように私を愛してくれなかったから、私は愛情を憎しみに変えました。 」

そう声に出して言ったら、私の中にずっとある、この憎しみは愛だったんだって、涙が止まらなかった。
嫌いで嫌いで嫌いで許せない分だけ、苦しんだ分だけ、全部全部愛だったんだ。
母への愛だった。

私は母親の事がずっと許せなかった。
今でも好きとは言えない。
許せたかどうかも分からない。
でも、かつての幼かった私は、

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オレンジ色。

電車に乗っていると、途中の駅で親子が乗ってきた。
母親は、抱っこ紐にまだ小さな赤ちゃんを抱っこして、もう1人、3歳くらいの男の子と手を繋いで、反対側の手には、パンパンに荷物が入った大きなトートバッグを持っていた。汗だくだった。その日は、35℃を超える猛暑で、私は思わず『お疲れ様です。』と心の中で呟いた。
その母親はやっと一息つけるといった様子で「ふー」と椅子に腰掛けて、横にトートバッグを置いて、そ

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歩きたい時。

私は怒っている時、兎に角歩いていたい。
いつもより大きく足を広げて、スピードを上げて、どこまでもどこまでも前に進みたいのだ。
今、まさにそんな気分である。

何故そんな気分でいるかと言うと、職場の同僚に仕事の相談をしていた時の事、その同僚が、〝先輩が私の事を悪く言っていた〟と、わざわざ告げ口してきたのである。
私は傷ついた。その先輩の事を信頼していたので、とても悲しかった。
家に帰ってから、同僚へ

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