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小説

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記事一覧

人喰いデジタルサイネージ(短編小説)

みずきは、自分の背丈もあるその動画、デジタルサイネージの表面をタップした。 すると、みず…

千縁
2か月前
17

弥太郎とお月様(童話)

「今日も月がきれいだなぁ」 「おまえはまた、月ばっかり見て」 弥太郎は、床に寝そべって、…

千縁
3か月前
43

ナユタとAI猫ロボットの弥太郎【短編小説】

ぼくたちの目の前には青い地球が浮かんでいた。 「きれいですね」 弥太郎はぼくの隣に並んで…

千縁
3か月前
16

金魚と君とぼく(短編小説)

ぼくの家には金魚がいる。 金魚の「きんちゃん」と娘が名前をつけた。 きんちゃんは娘が縁日…

千縁
6か月前
11

どこまでも広く、遠く(詩)

あなたが生まれた日に私も生まれた。 はっきりと誰にでもわかる声でその存在を明らかにしたあ…

千縁
6か月前
10

その花が咲いた日(短編小説)

ぼくはある日拾われた。 ぼくを拾ったのは、まさよさん。 今、カチャカチャいわせながら、キ…

千縁
5か月前
12

たまらない背中(短編小説)

わたしは情緒が少し不安定だ。 すぐ落ち込むし、なかなか這い上がれない。 思い込みが強くて、気持ちの切り替えや気分転換も下手。 だけど、わたしにはお薬みたいな人がそばにいた。だから平静でいられる。 ウジウジ悩むと一喝される。 またそんなこと考えてるの?めんどくさ。とか、そんなの自慰行為とおなじだよ。消えない怒りは自分を気持ちよくさせたいだけ。とか、今言ったって遅い。やっちゃったんだから、こっからは課題の切り離し。やってしまったことはもうやり直せないんだから考えても仕方ない

あやかしと柳ぎんと町娘(短編小説)

「きゃひゃひゃひゃ〜」 椿が声のする方を見ると、柳ぎん(やなぎん)がの廊下や庭木に飛び回…

千縁
6か月前
12

作家のふやけた米粒(短編小説)

作家は人生の天と地を経験したほうが、より濃く鮮明で深い感動を与えることができるのか。 す…

千縁
6か月前
10

分子再構築の果て(短編小説)

 ぼくはドーム型の機械に体を横たえた。今回のプログラムに必要な電子線はすでに蓄積させてお…

千縁
6か月前
9

お弁当箱の四隅(短編小説)

お弁当箱を洗っていた。 四隅に汚れが残っていないか、すすぎながら指の腹で確認する。 ヌルヌ…

千縁
7か月前
17

一瞬の恋(短編小説)

その日は雨だった。 ぼくは、雨の商店街を行きかう人の中に、その人をみつけた。 傘で隠れて…

千縁
7か月前
12

夢のあと咲き(短編小説)

「おかあさん、またね」 声が聞こえた気がした。 ハッと目が覚めると、私は病室にいた。 なん…

千縁
8か月前
9

土曜の夜の恋人(短編小説)

彼女がくるのは、決まって土曜の夜だった。 私の店はカウンター席のみの小さな居酒屋で、通りに面して2階にあるから、ひとりで入るには普通は勇気がいるもので、女性で、さらに、ひとりで来るお客さんはなかなかに珍しかった。 彼女が初めて来た日は、土曜日のもう20時をまわっていて、貸し切り客が帰って一般のお客さんが入り出した頃だった。 私はその日、正直少し疲れていた。25時までの営業を思い、あと5時間か、と心の中でため息をついたところだった。そんな時、彼女がフラッと現れた。 「い