子育て中のひとは激しく首肯してくれると思うが、自分ひとりの時間というものが本当にない。子どもができるまでは毎週末峠ライドに出かけていた。それが、ぱたっとできなくなった。
 
以前は100キロ走ることが普通だった。あの頃の絞れていた体は遠い昔のはなしである。今100キロ走れと言われてもたぶん走れない。
 
去年から子どもたちが習い事を始めて、それで週末に2時間ほど時間ができるようになった。いつもは部屋の片付けをしたりぼんやり過ごしてしまっていたが、どうにもこうにも自転車に乗りたくなってでかけた。制限時間以内に帰宅しなければいけないから、近所を走ることぐらいしかできない。でも今日はどうしても乗りたかった。
 

昨夜雨が降ったのでグラベルに行くのは諦めて、ロードバイクで多摩湖と狭山湖のダブル貯水池巡りをすることにした。ああ、やっぱりロードバイクは気持ちがいい。久しぶりに乗る7気圧のタイヤは石のように固く感じたけれども以前はこれが普通だったのだ。逆に言えば、3気圧の太いタイヤがいかに乗りやすいか実感したんだけれども。
 

多摩湖から狭山湖へとつながる多摩湖周遊道路は信じられないほどアスファルトが荒れていて、おまけに苔むして夜降った雨でとてもスリッピーだった。乗ってくる自転車を間違えたと思って、そんな考えにずいぶん軟弱になったなと少し反省した。
 
子どもたちのことは大好きだし一緒にいて幸せを感じるが、ときにはおひとりさま時間が必要であり大切なのだ。ぼくは束の間の静寂を堪能すると、ただひたすら自分のペースでペダルを回し、また賑やかな家庭へと戻った。