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地区防災計画チャンネル―コミュニティの防災活動を応援―

執筆 地区防災計画学会の有志の研究者

 地区防災計画学会(会長 室﨑益輝 神戸大学名誉教授)は、2014年6月に内閣府、総務省、消防庁、国土交通省、地方公共団体等の防災担当官や東京大学、京都大学をはじめとする全国の大学教員等の研究者によって設立された学術研究団体です。
 本チャンネルでは、「地区防災計画学会」に所属する有志の大学教員等の研究者が、東日本大震災の教訓を受けて、災害対策基本法改正によって創設された地区防災計画制度に関して執筆しています。
 記事の内容は、各研究者が、研究の成果を受けて執筆しているものであり、学会としての公式見解を示しているものではありません。
 本チャンネルの記事の無断転載・複写を禁じます。引用等の場合も、知財関係の法令を遵守してください。

概要

 ①地区防災計画学会とは
 ②地区防災計画とは
 ③地区防災計画と地域防災計画の違い
 ④地区防災計画学会誌とは
 ⑤サポーター(連携会員)とは
 ⑥地区防災計画チャンネルの趣旨

解説

①地区防災計画学会とは

 地区防災計画学会(会長 室﨑益輝神戸大学名誉教授)は、2014年6月に内閣府、総務省、消防庁、国土交通省、地方公共団体等の防災担当官や東京大学、京都大学をはじめとする全国の大学教員等の研究者によって設立された学術研究団体です。
 2011年の東日本大震災の教訓を踏まえ、2013年の災害対策基本法という法律の改正によって創設された地域コミュニティの共助による防災計画づくりに関する「地区防災計画制度」の普及啓発や調査研究等を目的としています。

②地区防災計画とは

 地区防災計画とは、「地域住民及び事業者(地区居住者等)による地域コミュニティにおける自発的な防災活動に関する計画」です。
 関係者によれば、下記のように説明されています。
 「2011 年の東日本大震災では、地震や津波によって、市町村自体が被災してしまい、行政が被災者を助けることが難しい地域も多かった(公助の限界)。そのような中で、地域コミュニティでは、生き残った地域住民等が助け合ってその危機を乗り越えた。
 このような例を踏まえ、地域コミュニティにおける共助による防災活動を促進し、地域防災力の向上を図るために、2013 年6月に「災害対策基本法」を改正し、地域住民及び事業者(地区居住者等)による地域コミュニティにおける自発的な防災活動に関する計画である「地区防災計画制度」が創設された。そして、2014 年3月には、地区居住者等向けに内閣府から「地区防災計画ガイドライン」が公表され、同年4月から同制度が施行された。」

引用 
西澤雅道・筒井智士・金思穎「地区防災計画制度の創設の経緯並びにその現状及び課題に関する考察~東日本大震災の教訓を受けた災害対策基本法の改正を踏まえて~」『国土交通省国土交通政策研究所報』58号(2015年春号)

参考
西澤雅道・筒井智士・金思穎「地区防災計画制度とICTの在り方に関する考察 東日本大震災を踏まえて」『情報通信学会誌』32巻2号(2014年)

 この地区防災計画づくりは、その経緯を振り返ると、内閣府の「地区防災計画ガイドライン」やその概要に基づいて、全国のコミュニティに急激に広まっています。この地区防災計画ですが、住民主体で実施されるボトムアップ型の共助の活動であり、強制や義務ではなく、あくまでも自発的な活動です。
 地区防災計画の策定状況(策定数)については、全国5,000地区以上のコミュニティで地区防災計画(地区防災計画の素案)づくりが進んでいます。 内閣府の2021年4月1日時点のデータによると、地区防災計画の策定に向けて活動中であるのは、47都道府県、310市区町村、5,145地区(地区防災計画が地域防災計画に掲載済であるのは、37都道府県、140市区町村、2,030地区)であり、2020年度に新たに地区防災計画づくりのための活動を開始した地区は1,117地区(2020年度に地区防災計画を地域防災計画に新たに掲載したのは316地区)であるとされています。

③地区防災計画と地域防災計画の違い

 なお、地区防災計画と地域防災計画は違うものです。前者は地域コミュニティの防災計画、後者は行政(防災会議)がつくる防災計画になります。
 災害対策基本法によって、前者は、後者の中に定められることになっています。この仕組みによって、コミュニティの防災計画と行政の防災計画が連携することが可能になり、地域防災力を底上げする仕組みになっています。

④地区防災計画学会誌とは

 地区防災計画学会では、社会実装の観点から、この地区防災計画づくりの学術的な研究を進めており、設立から8年間で、機関誌「地区防災計画学会誌」を26号発刊し、掲載された査読論文、寄稿、予稿等は400本以上にのぼります(2022年9月時点)。

⑤サポーター(連携会員)とは

 地区防災計画学会では、博士号や修士号を有する研究者を中心とした正会員のほかに、2020年からは、サポーター(連携会員)の仕組みを設けています。このサポーター(連携会員)として、地域コミュニティの現場で活動されているコンサルタント、防災士、自主防災組織、自治会、公務員等の方々も気軽に便利に活動されています。

⑥地区防災計画チャンネルの趣旨

 地区防災計画チャンネルの記事は、大学教員等の地区防災計画学会の有志の研究者が執筆しています。記事の内容は、各研究者が、研究の成果を受けて執筆しているものであり、学会としての公式見解を示しているものではありません。
 本チャンネルの記事の無断転載・複写を禁じます。引用等の場合も、知財関係の法令を遵守してください。

参考
内閣府「みんなでつくる地区防災計画」のHP


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