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シュタイナー教育のエッセンス

残暑はまだ残るものの、朝晩の風はすっかり「秋」に変わりました。今年は6月から猛暑となり、長い夏だったため、夏バテだけではなく秋バテという言葉も聞かれるようになりました。これからからだを動かすには気持ちよい季節になりますが、焦りは禁物です。

まずは、心身の疲れをゆっくりと休ませて、リセットし、正しいスタートラインに戻ってから始めてくださいね。そうしないと夏バテや秋バテでスタミナは無くなっているので、せっかくの運動も疲労が重なり、不調が長引くことになります。これから寒さに耐えうる力を付けて行く時期になりますから、慌てずに整えてくださいね。

さて、今日は私が子育てで一つの指針としていたシュタイナー教育のお話をします。

30年前にはすでに早期教育ブームでもあり、数十万円の英語教材を0歳からではなく、胎教から勧められたこともあったので、その異常さに逆に不安になり、原点に戻ることを考えた時に出会ったのがシュタイナー教育でした。
今でこそシュタイナー教育に書かれたわかりやすい本やインターネットで情報を知ることも簡単にできるようになりましたが、30年前は情報も限られたものでした。翻訳された本を読んでも、哲学的、思想的な内容なため、途中で挫折することも多くありました。

それでも私の子育てにはこのシュタイナー教育、そして思想は、共感することも多く、一般的な子育て書とは違う大切な教えがあることを感じていました。それはおそらく時代が変わっても、国や思想や教育が違っても、子育てにおける普遍的なスタイルがあったからです。

とはいっても、私自身も子どもたちもシュタイナー学校に入れたわけではありません。あくまでもエッセンスだけ取り入れた、なんちゃってシュタイナー教育です。

それでも大人になった子どもたちをみると、なんちゃってシュタイナーのエッセンスは効いていたように思います。例えば、その理由として、二人の子どもたちは、「自分」をよく知っているということです。とてもシンプルなことですが、大人になってこれを持っているか否かでは大きく異なります。

もちろん「自分」があることで、うそやごまかしがきかなくなるために苦労することもあります。あまり、良いことではありませんが、調子よく適当に周りに合わせて流されておけば済むことも多々あります。あえて波風立てずに、目をつむってしまったほうが楽かもしれません。でも、彼らはそれができません。つまずいた時には、徹底的に考えています。

自分に正直であるためには、辛いことも多々ありますが、最終的に「自分」で納得する答えを見つけています。考える力、見極める力、決断する力、納得する力は、「自分」を持っていなければできません。「自分」を大切にする「軸」を持つことができたのは、シュタイナー教育のエッセンスが効いていたのだと思います。

大人になっても、「自分がわからない」と悩んで生きづらいと感じていたら、シュタイナー教育を見直してみると良いかもしれません。シュタイナー教育は「教育」というよりケアになるものだと思います。

0~7歳までの教育

シュタイナー教育は、脳や体の発達、年齢に応じた教育指針があります。特に0~7歳という未就学の教育について、一般的に「教育」というと、頭を使った早期教育を行う傾向がありますが、そればかりが「教育」ではありません。この時期はそれ以外に体験しなければいけないことがたくさんあります。まさにその体験教育こそ、大人になってからも影響するところです。

英語は2歳から習わなくても、13歳から学んでも間に合います。もちろん20歳を過ぎてからでもやる気になれば身につきます。でも、その子どもの成長と一生を形作る基礎づくりには、脳とからだの発達に合わせて習得するべきことがあるのです。チャイルドケアでも未就学までのケアの重要性はお伝えしていますが、自立していく過程の中で、一生に関わる重要なことがあることを忘れないことです。

0~7歳までは「世界は善である」ことを学ぶ


シュタイナー教育では、0~7歳までの教育のテーマの一つに「世界は善である」ことを感じられるようにすることが重要になっています。
「世界は善である」とあると、何?と思ってしまうと思いますが、この世に誕生した子どもは、人の力を借りなければ生きていくことはできません。

食べることも、排泄することも、あらゆることを親や周りの人に助けてもらわなければなりません。つまり、絶対的に周りを信頼しきって誕生しているわけです。

そして、たくさんの愛情を受け、何も心配や不安など抱えずに生まれた世界を受け入れていくのです。つまり誕生した子どもが不安や心配などないように、いつも愛情を与え保護していくことが親や周りの大人がすべきことです。子どもが生まれてきたことを安心して、この世界に喜びをもってゆだねることができればいいのです。

でもこの時期、私たち大人は自分が安心したいがために、「ダメ」「いけません」という否定する言葉を多く発してしまいます。保護するためには仕方ないことですが、やや過剰な心配から、「危険」と判断したら、それを遠ざけることばかりで、経験する機会を奪っています。何をもって危険となるのかという教えはあまりしません。

危険なことを教えることは難しいことですが、大事なのはこの時期は、大人が余裕をもって子どもを見守ることだと思います。余裕を持つことで、時間をかけて伝えることができれば、どれだけ何が危険なのか、その加減が子ども自身わかるようになるからです。子どもが考える時間を奪ってただ教えることばかりでは、なかなか伝わりません。

余裕をもって、急ぐ必要がなくなれば、「ダメ」という言葉も使わずに子どもと関われる時間が増えます。子育てには余裕を…といわれるのはそんな意味合いもあると思います。忙しない(せわしない)は、「世話しない(せわしない)」につながるのだと、30年前に私自身が自分に思ったことでした。

コロナ禍の3年間で生まれ育った子どもたちの世界は、「不安」「恐れ」ばかりでした。子どもの無意識に刷り込まれています。先日、4歳の子どもが、大事に抱えているウサギのぬいぐるみにも「アルコール消毒をしましょうね」と遊んでいました。物心ついた時から世の中はマスクだらけ。距離を置き、何かとアルコール消毒。大人と違い、同じ数年でも小さな子どもたちにとっては、これからの心とからだに大きな影響が出てくると思います。

この数年は、世界は善となっていたでしょうか。私たち大人は、ここ数年で起こったダメージをしっかり受け止め、「世界は善である」こと、この世は不安なだけではなく、素晴らしいヒト、モノ、コトがたくさんあるということを子どもたちに伝えていく必要があります。

五感に入るものに興味を持ち、心が動き、からだを動かしたいという子どもらしい素直な欲求を満たしてあげること。できるだけ萎縮しない状況を作ってあげてください。そして今ならば、夕焼けの空の美しいこと、紅葉の葉の色づく美しさや楽しみを感じてもらうこと、秋の実りのおいしいこと、美しい音楽を静かに聴いたり、軽快なリズムにからだを動かしたり、何気ない日常から体験して得られる感性を親子で共有していくことで、安心を重ねていくことができると思います。

「世界は素晴らしい」と感じとってもらえるように、私たち大人が「世界は善である」ように発する言葉や行動を示していけるようにありたいですね。

【執筆】チャイルドケア共育協会/本部講師 松本美佳


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