見出し画像

全てが面倒になったら自衛官になるといい

自暴自棄の鬱青年が自衛隊に入って希望を取り戻した話。
どうしてそうなったのか、どんな人に自衛官がおすすめかアドバイス。

4分前後で読めます。

全然大したことない自分

僕はたくさん恥をかいてきたし、昔からずっとかっこ悪いです。
小学校半ば頃から次第に自意識は肥大し、プライドだけが先行し、大した努力もせず、外面だけを取り繕って生きてきたように思います。

就職活動もうまくいきませんでした。

とても無気力な青年でした。
全てが面倒でした。
不満でいっぱいでした。

入隊を決意するまで

オーストラリアワーホリから帰国した僕は、父と口論になりました。

優しい父ですが、僕が遠くに住むことに関しては拒否反応を示しました。
そんな父の態度を受け入れきれず、僕は怒りを表しました。
父も怒りました。
普段穏やかな父が豹変する恐怖で、僕は過呼吸を起こしてしまいました。

父と対立する一方で、
自分の弱さ、弱さからくる思いやりのなさを痛感しました。
自分というものに絶望しました。

死のうとは思いませんでしたが、死んだ方が楽だと思いました。

強く優しくなりたい

その夜、自衛隊に入ろうと決めました。

強く優しくなりたい

不思議とそう思いました。

それ以外にやりたいことも思いつかない。
自衛官(自衛官候補生)は生活費もかからなければ、3年働いたとして100万円くらい退職金も出る。

もちろん、キツいことしたくない、逃げたいという気持ちもあって戦いました。
でも一度きりの人生だから、軍人もやってみようと考えたのです。

入隊するとどうなるのか

余計なことを考えずに済むようになります。

強くなりたい

それだけで訓練に励んで大丈夫です。
なんにも考えてなくても大丈夫です。

入隊後は「教育隊」に数ヶ月入ることになり、寮生活となります。
3度の飯や生活費のやりくりなど、瑣末な行事に心奪われることはなくなります。

生きてるだけで、自然と貯金も増えていきます。
定額積立や共済組合まで世話してもらえます。

ある意味でとても楽なのです。

死ぬこともある職業

入隊に際して「殉職することへの同意」書類にサインすることになるし、「死ぬこと」を想定した訓練に従事することになります。

任務行動では、「自分は末端の兵士で、いつ殉職してもおかしくはない」と実感させられる出来事もありました。

怖かったです。

数ヶ月前に「死んだ方が楽だ」と思った自分。
死が間近に来ると「死にたくない」と思った自分。

とにもかくにも今は、死ぬまで生きようと思えています。

退屈と向き合う

僕は海上自衛官の船乗りでした。
船乗りは特に「たくさん働いて、たくさん休む」働き方なので、任務行動は大変ですが休暇も多いです。
艦艇に乗るだけで大きな手当てがつくので、収入も多いです。

停泊中も、5日に1回程度「当直」が回ってきます。
訓練がなければ、書類作成や掃除などの”暇つぶし”をして過ごすことになります。

僕はこれが苦手でした。
死ぬほど退屈で。

同期(僕と同じ下っ端)が平気な顔で「何もしない」のを見て、その図太さに感嘆しました。

気が小さく堂々としていられない僕は、何か仕事を無理やり見つけてこなし、”やってる感”だけ出しました。

任務行動中は寝る時間もほとんどなく、働きっぱなしです。

ヤる時はヤる
この緩急が、軍人の軍人たる所以だと思います。

本物の軍人がいる

自衛隊の現場では”本物の軍人”だと思える人にたくさん出会います。

本物ほど「普通の優しいおじさん」に見えます。
対峙すると、その懐の大きさや、厳しさの中に深い海のような優しさを感じます。

この人たちは苦しい顔ひとつ見せず、陰から日本を守っている。
国防を支えているのは、軍人の凄まじい精神力です。

苦しい時ほど笑顔で。

本物と一緒に仕事できたことは大きな財産です。

根本的な部分は変わらない

不安なら、不安が消えるまでいろんなことに挑戦するべきです。

「不安でいっぱいなら、学生運動に参加したり、海外旅行や、世界中の女とデートをしたり、好きなことをやりなさい。マリ○ァナを喫うのもいいでしょう」
手塚治虫が悩み相談みたいなコーナーで、そんなこと書いてましたね。
いかにも。

数年くらい、心の底から好きなようにやってみたらいい。
我慢や妥協ばかりしてる場合ではありませんよ。
明日死ぬかもしれませんよ。


やりたいことをやり尽くしてもまだ不安なら、自衛隊入ればいい。

と言いたいのですが、入ったからといって、根本的な部分が変わるわけではありません。

僕は結局1年半で除隊してしまったし、その後会社員になったけど、精神的にキツくなって辞めてしまったりしています。

強く優しくなりたい

この思いで取り組んできましたが、別段変わったかと言われればそうでもありません。
子供のまま、脱皮できていないのかもしれません。

それでも、一度は困難な道を選択したことで、自分も捨てたもんじゃないと思えています。
苦境を笑顔で乗り越えるマインドを携えています。
(でも限界はあります。僕もまた途上です)

もし就活や進路選択で迷っている方や自衛隊について聞きたい方がいれば、ぜひ気軽にコメントしてきてください。
お金のこととか現場の雰囲気とか、なんでも。
いいことも悪いことも事実のままお話します。

難しいことも言ったけど、最後まで読んでくれて本当にありがとう。
みなさんのこと心から応援しております。

この記事が参加している募集

就活体験記

皆さまの施しによって生かされています。 一期一会を大切にしてまいります。 受けた御恩は一生忘れないようにいたします。