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東京オリンピックDAY10―なでしこ世界一の幻想

結局、無観客といえども色々なコネで会場に入ることができるので、上級国民と一般国民の隔たりが大きくなっていることをひしひしと感じる。また、SNSの普及によってその隔たりが可視化されてしまっている。

そしてその隔たりの可視化が、どういうわけかアスリートへの誹謗中傷につながる。私も理解に苦しむところなのだが、アスリートは一般国民から見える距離にいる一般人で、彼らに怒りの矛先を向けているということなのか。

そんなエセ弱い者いじめをしてもつまらない。皆が電通電通と言うのであれば、電通本社に直接物を言えばいい。株でも買って、株主となって回答を強制させるように質問状を叩きつければよい。しかし、そこまで面倒なことをしたくないのも一般国民なのである。

東京の一般国民の一握り・3300人の上に成り立つ東京オリンピックについて今日も例のごとく言及する。

柔道

曽根の金メダルによって、毎日金メダルを見ることとなった(と思う)。日本柔道に有利なルール改正となったことも挙げられているが、地元開催で体調管理をしやすいこと、ロンドン五輪前後の混乱によって合宿のペースや学校・実業団での役割分担が明確になったこともあるだろう。

これだけ金メダルを獲得すると、2010年頃の柔道を思い出す。福見が、中村が、小野が、穴井がこの井上・増地体制下でオリンピックに出場すれば、どのように活躍していたのだろうか。

しかし、福見は指導者として女子チームをサポートしている。また、福見と代表を争った浅見も同じく女子チームの指導者になっている。選手時代の活躍はほんの一部なのである。指導者としても花開いている(実際のところはわからないが)こともスポーツの醍醐味なのかもしれない。

陸上(長距離)

三浦は3000mSCで日本記録を樹立した上で決勝進出。速い選手にコバンザメのようについていったことを自覚したインタビューだったので、好感を持った。三浦は駅伝だと出雲2区、全日本1区、箱根7区のような、短くてペースを一定にした上で最後に自分のペースで押していける区間で走ると良い記録は出るだろう。これは去年の時点で全日本1区・箱根1区の結果が物語っていることをただ言い換えたまで。もちろん主力選手として主要区間で起用されて然るべきだけど、あれだけトラックで世界で勝負できるのであれば、駅伝の負担を軽くするに越したことはない。

比較対象として思い浮かんだのは、中央学院のエースとして獅子奮迅の活躍をした潰滝である。駅伝での活躍のわりに、3000mSCでは三浦の後塵を拝してしまった。大学時代の潰滝は非常に魅力的な選手だったのだが・・・。

国内では佐藤悠基がコバンザメで無敵になりながらも、ロンドンオリンピックでは周回遅れをかまされて日本と世界との差を見せつけられた10000mでは、やはり終盤のスパートではアフリカ勢の力を見せつけられたものの、相澤のタイムは28分そこそこと、持てる力は出し切ったのかもしれない。

女子5000mは廣中が決勝に進出した。田中も14分台を出して、2人の状態の良さを感じた。廣中と田中があれだけ走ることを考えれば、その2人以上に戦闘力が高いであろう新谷、そして女子10000mは、ブックメーカーで新谷がメダルを獲得できるかどうか賭けられるとすれば、迷わず賭ける。

女子サッカー

先日、大御所の澤穂希が喝を入れた女子サッカーは、点差こそあったものの内容が良かったらしく、澤から一定の評価を得ていた。

今のなでしこはかわいそうな面がある。世代交代が上手くいかなかった。荒川、澤、宮間、鮫島、大儀見、岩清水、川澄、丸山といなくなり、また指導者が佐々木から高倉に変わり、どのようなサッカーを目指すのか不鮮明になっていたのではないか。そして、理想と現実の実力が追いつかないようなもどかしさもあったのではないか。しかし、周りからはどうしても10年前の世界一と比べてしまう。なんともかわいそうだ。あの頃とはメンツが違う。そして2011年と2021年の間に大きな断絶がある。

余談だが、澤は監督として上手くいくかというと私は上手くいかない気がする。澤はあらゆる世界のサッカーを知っている一方で、本来は職人タイプ。上記で挙げた中だと、宮間が監督になるとよい。宮間は色々な苦労をしてきた分、指導者として大成すると思う。その宮間の相談相手として澤がいる、ぐらいの感じだと、自分たちのやりたいサッカーを形にできていくように思う。

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