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河内の霊場・紅葉めぐり <前編>

昨日、レキジョークル紅葉企画として、地元にほど近い「南河内」あたりを巡ってきました。
京都や奈良の紅葉は確かに素晴らしいのですが、とんでもない混雑ぶりなので行くとなったら相当な覚悟を要します。

今後また執筆する予定の過去3年以内に訪れた「梅小路公園」や「琵琶湖疏水」もそれはそれは素晴らしいものでしたが、人出の多さには正直のところ辟易して、それだけで疲れは倍増してしまうのが常なのです。

昨年は琵琶湖西側と竹生島を回りましたが、帰りには渋滞に巻き込まれました。

今年は、混雑を避け、移動時間も少なくて済む近場あたりを巡る事にしました。

メンバーはそれぞれが忙しく、なかなか日にち設定が難しいため、いつも誰かがどうしても都合がつかず全員参加は難しいのですが、11月18日のみが全員が○となったのです。

正直、これは奇跡に近い事です!

運転奉行はミコさんとロコさんの車2台で分乗し、総勢7名が遅めの10時に集合のスタートとなりました。



西国四十九薬師霊場十三番・弘川寺ひろかわでら

通り道の主要道路沿いに、大型ショッピングモールがオープンしたてのため、渋滞を危惧していたのですが、思いのほか車の流れはスムーズで、ほぼ予定通りに目的地の「弘川寺」に到着できました。

本殿前にて、通りすがりの男性に撮っていただきました。



🍁西国四十九薬師霊場とは?

薬師瑠璃光如来をまつる大阪兵庫京都滋賀奈良和歌山三重の七府県四十九ヶ寺の西国薬師霊場。1989年(平成元年)結成。

Wikipedia

近畿広範囲に及ぶ霊場の中には、
奈良の「薬師寺」「興福寺」「室生寺むろうじ」や、
京都の「醍醐寺」「長安寺」「三千院」、
そして大阪の「四天王寺」、
滋賀の「延暦寺」などを含む49のそうそうたる有名寺院が名を連ねているのです。

大阪の長閑な片田舎にあるとはいえ「弘川寺」は、その中のひとつに数えられているのをみると、かなりの由緒を持つ寺であるのがわかります。

弘川寺境内図


🍁開山は役行者えんのぎょうじゃ、真言宗の寺

大阪と奈良をまたぐ葛城山の麓にあり、天武天皇が行幸され、国家鎮護・皇室の繁栄祈願された勅願寺ちょくがんじでもあります。

行基が修行したり、
空海が再興したり、
名だたる僧侶が関わる真言密教の霊場なのです。



🍁「西行」ゆかりの古刹

平安時代末期から鎌倉時代初期の僧であり和歌の名手としても知られる「西行法師」終焉の地として有名な寺でもあります。

今年の大河「鎌倉殿…」では登場しませんでしたが、10年前の松山ケンイチさん主演の「平清盛」では藤木直人さんが演じていました。

そう。源平合戦などちょうど大きな時代の変わり目を生きた僧侶でした。

本堂の右横から、「桜山」に向けての遊歩道を登っていくと、西行に関わるものが続々とありました。

西行の墳墓の真後ろで写真のようなポーズを取ると「運」がつくと言うので、全員でやってみた。
言い出しっぺはロコさん?チコさん?どっちだったっけ??

最晩年の亡くなる一年前に当時の座主であった空寂くうびょうを慕って、この寺に移り住み、その1年後の文治6年2月16日に73歳でこの世を去ります。

願わくは花の下にて春死なん
   そのきさらぎの望月のころ

「願うことには、春の満開の桜の下で死にたいものだ。それも(釈迦が入滅したとされている)陰暦の2月15日の満月の頃に」

短歌の教科書

西行の有名な歌ですが、いつ頃詠まれたのかはっきりせず、おそらく亡くなる10年ほど前だと推定されています。

驚くことに、ほぼこの歌通りの2月16日に亡くなっているのを見ると、なんだか予言があったのでしょうか?
それとも偶然なのでしょうか?

旅に生きた流浪の歌人として知られる西行を思う時、この句の持つ意味を考えてみると、深く胸に響くものがありますね。

この歌の通り、西行の墓のさらに北西へ上ると「桜山」があり、この桜こそ西行への献花として植えられたものなのです。



🍁桜の名所でもある

さて次は境内の北東角の本坊庭園内にある「西行記念館」を目指します。

庫裡門くりもん

庫裡門くりもんをくぐって中に入ると、すぐに「本坊」があり、靴を脱いで先へ進むと、「篠峯殿じょうほうでん」へと繋がる渡り廊下に至ると、中庭も外庭もすでに圧巻の紅葉が真っ盛りでした。

本坊庭園

中庭の一番東の奥に「西行記念館」はあり、西行ゆかりのものや、本人はもちろん、関わった僧侶たちの像が展示されていました。

館内は撮影禁止なのでお伝え出来ないのですが、木像の僧侶たちの表情がとても豊かで、首を傾げて微笑む様子など見事に再現されているのを見ていると、こちらまで思わず微笑んでしまうほどでした。

古い寺院を訪ねていつも思うのは、技術だけでなくそれら木像たちの表情にとても愛嬌があって豊かなことです。

たとえば「法隆寺」で観た飛鳥時代の仏像の愛らしい表情も忘れられません。
絵画や彫刻に見る日本人のコミカルなユーモアセンスには目をみはるものがあり、いつも感心してしまうのです。

「西行記念館」のちょうど前に、見事な枝ぶりの桜の木があり、先ほど登った「西行噴」の「桜山」といい、まるで西行をいつまでも弔うように咲き誇るのでしょう。

また春に来なあかんな!

再度ランチがてら、半年後にリベンジを誓った私達でした。



ナッツカフェ

ランチは13時に「ナッツカフェ」を予約しています。
なんせ7人なので、予約しておかないとこの後の予定がスムーズに進みません。

実は違うところを予定していたのですが、すでに満杯で予約できず、こちらもすでにテラス席のみという状態でギリセーフでやっと取れたのです。

こんなに人気があるとはチラリとも思わず、どうせ田舎だからとナメていたら、危うくランチ難民になるところでした。

オンボロ一歩手前のようですが、どこか洗練されたようなこなれたオシャレ感があるお店でした。

予約を取る時、
「テラス席は雨が降るとキビしいですがよろしいですか?」
と念を押され、ちょっとそれは困るので返事を躊躇していると、さっと天気を調べてくれて、
「今のところ晴れですね~」と聞いて、予約しました。

確かに屋根も壁も一応はあるにはありますが、板塀は隙間だらけで、屋根は布製のロールカーテン風ですし、雨の侵入は防げなかったでしょう。

しかし、テラスを7人で独占できたので、とても良い時間を過ごす事ができ、結果オーライでした。

ただ、一番早く出来上がるだろうと日替わりランチである「ナッツランチ」を全員がオーダーしたのですが、料理がなかなか出来上がらず、次の予定を思うと時間的な段取りが厳しくなってきました。

もちろん、ランチ内容は
・おイモとほうれん草のグラタン、ミートソースかけ
・唐揚げ(1個)
・ブロッコリーの和え物
・その他和え物
・雑穀米とみそ汁
という和洋折衷のボリュームあるメニューで、お腹いいっぱいになるものでした。

これで食後のコーヒーまで入れて1400円は安い!

お腹が空いていたので、一気に食べ終わり、満腹となった重たい体のまま、紅葉企画後半戦のスケジュールをこなします。




河内の霊場・紅葉めぐり <後編> へ続く



【参考文献】
弘川寺
西国薬師霊場会巡り
Wikipedia


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