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 この投稿を読まれる方には、現職教師も多いと思います。その多くの方が、「教師を辞めよう」と思われたことがあるのではないでしょうか。今回は、私が教師を辞めようと思った時のことを思い出しながら書いてみます。

1, 誰も戻らない職員室


 学級担任として、子どもたに全力で毎日向き合い、奮闘していたとき、管理職からの様々な要求がでていました。
「クラスがうるさすぎる。きちんと学年全体を指導知すること。」
「上級生として、学校全体を引っ張るよう子どもたちを指導すること」
「学力が上がっていない。今度の学力テストでは必ず結果を出すこと。」
「保護者からの要望には全て応えること、そうでないと教育委員会にクレームがいく。」
 これらは、私にだけでなく、全ての学級担任に毎日のように浴びせられていました。気がつくと、休憩時間にも放課後にも職員室には、誰も戻ってこなくなりました。職員会議でも発言する教師はいなくなりました。管理職の振る舞い一つで、学校は恐ろしい状況になるんだと言うことを実感しました。

2, 校内放送で呼び出されて叱責


 ある日、清掃時間に校内放送で呼び出されました。校長室に向かう途中、待ちきれなかったのか、校長が廊下に出てきて、私の前に立ちました。私は、清掃中の子どもたちの前で、叱責されました。内容は、管理職の無理な要求に応えなかったことに関することでした。人生初の経験でした。
 この日、あるクラスの帰りの会で、ある児童が、今日の一言を言う際「○○先生が、廊下で校長先生に叱られていてかわいそうでした。」と話したことを後日、別の担任から聞きました。子どもたちにとっても、驚く光景だったようです。
 私自身も、出口のない日々を過ごしていました。職場の同僚とは、「明けない夜はないから、我慢しよう。」と話していましたが、ため息ばかりの日々でした。

3, 「明日、辞めてきていいよ」


 とはいえ、こんな日々が何日も何ヶ月も続くと、心身のバランスを崩す教師も出てき始めました。教育委員会へも様々な情報が流れ、我々を擁護する声も上がっていたようですが、表だった動きは何もありませんでした。
 そうこうするうちに、私も教師を続けていく自信が揺らぎ始めました。パートナーに相談すると、「辞めてもいいよ。自分の心に正直にすればいい、仕事なんてまた見つかるから大丈夫。明日、辞めてきていいよ。」と言ってくれました。
 これで本当に楽になりました。いつ辞めてもいいんだ、と思えるようになったことで開き直れました。辞めるからには、やりたいこと、やるべきことをやってからにしようと、考え直して、仕事に打ち込みました。

4, 誰のために教師をするのか


そして、このときから、「学校の子どもたちのために」も大事ですが、それ以上に「自分と自分の家族のために」教師の仕事をするようになりました。  
 家族との時間をまず優先しそのために、タイム・マネジメントしながら、全力で教師の仕事をするということです。気がつくと、以前より、仕事はいっぱいできたし、家族との時間も増えたし、さらにボランティアをする余裕もできたくらいです。

5,教師を持続可能な仕事にするために


 教師を目指す若者が減っています。教師になってからも教師を辞める人も増えています。教師の仕事は、AIにはできない仕事だと私は思うし、人づくりは国づくりだと考えています。でも、それが根幹から崩れているのが、今の日本の教育現場です。
 教師を目指す若者や現場で頑張っている教師が、「教師という仕事を、持続可能な仕事」にしていくことが大きな課題です。自分自身、学校現場で管理職となった今、自分にできることを一つでも多く取り組んでいきたいです。
 今振り返ると、教師を辞めなくてよかったと心から思います。パートナーに感謝です。
                           大賀重樹

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